7-10.甥の自転車(Frey385)の修理
■2019年8月
ひさしぶりに実家に行くと、となりの姉の家にクロスバイクが分解されて置いていた。「どうしたん?」と聞くと、「なんかチェーンが外れるようになって・・・」とのこと。甥の自転車なんだけど相当の距離を乗るらしく「これはこのまま廃棄かな」と言っている。なんか壊れた機械を見ると直したくなる! というわけで持って帰ってきた。
自転車のモデル名を調べるとFreyの385というものだ。でもネットにはあんまり情報がないねぇ。
一通り自転車の状況を確認する。
変速まわりは大丈夫そう。クランクまわりも観察。
※追記:ワイヤーガイドが1つ空きがあるのはドライブギヤの変速が付いているモデル用のものだろう。
リアタイヤの変速ギヤの車軸の部品(カラー)がなくなっているもよう。
リアシャフト軸を外す。
リアのベアリングがごろごろ出てきた。
リヤ車軸は軸長185mmのもの。左側(写真の)の玉押しと玉押しナットを外そうと相当頑張ったが外れない。売っているシマノのハブ軸組立て品の商品を見てもこっち側の玉押しと玉押しナットはついたまま。たぶんこの玉押しと玉押しナットは簡単には外れないのだろう。ということは玉押しだけ買おうと思っていたけど軸ごと購入するしかなさそうだ。
変速ギヤまわりの構造は下図のようになっている。下図の黄色の部品(カラー)が見つからない。
他の部品もバラしていく。
チェーンはバイクなどと違い外すコマがないのね。チェーンを外す場合はチェーンカッターという工具が必要になる。
フロントフォーク周辺は全然きれい。
フロントのベアリングは10個ある。サイズも数も前後で違うのね。
玉押しなどは虫食いがあり結構傷んでいる。
ハブ側はまあまあ大丈夫そう。
次にペダル部を外していく。
ペダルの玉押し部(外側)はこのような部品構成。
ペダル内側のベアリング部はサビサビ。
クランク軸側もサビサビ。
ペダル軸を取り外そうとがんばるのだが・・・。
相当固い。無理やり外したらレンチが変形して広がってしまった。
左側のペダル軸はもう外れなかった。
次にハンドルを外す。ハンドル中心のボルトを緩めても固着しているようでびくともうごかない。ボルトを5回転くらい緩めてから、ボルト中心をハンマーで叩いてやる。
抜けました。こういう構造なのね。
ハンドル周辺もサビサビ。
軸受けのロックナットはサビついていてなかなか緩まない。タガネとかなづちで無理やり緩める。でもナットを傷めないためにも、大きいプライヤーではさんで回したほうが良かったかな。
ヘッドリテーナーの構成部品。
よく見るとヘッドリテーナーの玉押しにも凹みがある。
上側のヘッドリテーナーはまだグリスが残っていて大丈夫そう。
下側のヘッドリテーナーはグリスが完全に無くなっていてサビサビです。
塗装を始める。艶ありの黒。
シートの固定金具も塗る。
フロントフォークの下地は白。
Freyの文字を模ってマスキングテープを貼る。
そしてダークグリーンを塗り、マスキングを剥がすと綺麗な文字が浮かび上がる。でも夏場だからかマスキングテープのノリが残りべたべた。まあ100均のマスキングテープだからだろう。ノリのべたべたはシンナーで落とそうとしたのだが、塗料も溶けてきたので、灯油で拭き取った。
リアタイヤの分解。ボス抜き工具というものを購入。密林さんで200円しない。安すぎる。でも到着まで2週間。
工具を差込んで廻して緩める。
変速ギヤが外れました。なるほど、こういう構造なのね。
ボス抜き工具を入手するまで変速ギヤを外せなかったのでどの部品が欠落しているのか確信が持てなかったということもあり、リヤの車軸は新規に購入した。
玉押しを比較する。高さが結構違うねぇ。でも玉押しのロックナットの厚さも違うし全体としては同じくらいになるかな。
泥除けは圧入しているのでちょっと工具を使えば取り外せる。
まだクランクまわりの工具が届いていないが、組み立てに入る。グリスはどういったものがいいのか知識は乏しいが密林さんで価格とのバランスを考えAZのセラミックグリスというものを購入。ちょう度が2号ということだが、思ったよりは粘度が低い。もう少し粘度が高い方が長持ちしそう。シマノのデュラエースとか良さそうだけど高すぎ (^^;
フロントの軸の組み立てを始める。グリスをたっぷり塗って組み立てる。
リヤの車軸も組み上げる。
でもちょっと軸部の出っ張りが少ない感じ。これだとフレームと回転部が干渉しそう。なので、玉押しとカラーの間にワッシャを一枚挟む。
ワッシャを挟んだら丁度いい出っ張りになった。
そしてやっとコッタレス抜き工具が大陸から届く。送料込みで300円強。これも安すぎだね ('ω')ノ。
コッタレス工具の片方をクランクペダル部にねじ込んで・・・
コッタレスのボルト部をねじ込んで回していくと
クランクペダルが取り外せました。
ボトムブラケットのロックナットを緩め
ふ~ん、こんな感じね。
ボトムブラケットの玉押し部を緩めるのが問題。これも専用工具が売っているけど、ここは手持ちの工具でなんとかなると思ってた。
モンキーレンチではしっかりつかめないので無理でした。
タガネとかなづちで無理やり緩めた。
クランク軸を外すとボロボロっとベアリングが出てきた。
なんか思った以上にぼろぼろですね。
クランク軸を旋盤で咥え、ベアリング受け部を磨いていく。
まあまあ綺麗になった。
ペダルのさびさびだった軸受け部も耐水ペーパーで磨く。
ペダルの玉押し部も磨く。ペダル部は5/32インチのベアリングが11×4の44個使っている。36個を450円で某クションで入手し、不足分はきれいなものを再利用。ベアリングの数が多いだけに一番高くついた場所になる。
クランクとギヤ部のサビを落とし塗装すると綺麗になった。
フレームの下地は白。
文字やら帯やらの部分にマスキングテープを貼り、ダークグリーンを塗る。
そしてマスキングテープを剥がす。う~ん、いい出来だ(自画自賛)。
フロントフォークの組み立て。ヘッドリテーナーは新しく購入。某クションで250円。
フックレンチを買いたかったけど、まあなしでもなんとかなるよね。
クランク軸の組み立て。ベアリングリテーナーオリジナルは9玉だったけどは11玉にした。というか9玉ので安価なものが見つからなかったからだけど。某クションで280円。
リアディレイラー部も組み立てる。ここの調整はネットさんでいろいろ勉強した。
下写真のボルトを回して変速部の左右の動きのリミットを決めるのだ。この調整をちゃんとしないと、1速よりも内側に来たり、6速よりも外側に来て、チェーンが外れてしまうのだ。あとは微調整のボルトを調整してやればいい。
調整の終了した変速部。でもテンショナーの張りが弱い気がする。甥っ子の話によると、ギヤは適正な位置にあるのにチェーンが外れそうになるとも言っていた。テンショナーの張力が弱いのか、またはチェーンが伸びているのかな? 組み上げてちょっと乗った感じでは大丈夫そうだけど、これで遠出とかはちょっと不安だな。甥っ子は新しいピストバイクを買うとか言っていたのでそちらに期待しよう。
最後はブレーキの調整。調整がうまくいかないとブレーキを握っていない時でも片側のブレーキシューがリムに接触して抵抗になる。下写真のボルトを右に締めていくとブレーキ部を開く(リリースする)方向のバネ力が強くなるので、左右同じくらいになるように調整する。
左右の調整がうまくいくと、ブレーキレバーをはなした時(リリースした時)に左右ともブレーキシューとリムの離れぐあいが同じになる。
これで修理は完了である。塗装のできも満足できるレベルだ。
といっても私が乗るわけでもない。壊れかけた機械を修理したかっただけである。甥っ子に返したら、一通りの称賛を受けたのでこれでミッションは終了。ただしこの自転車が甥っ子の要求レベルを満足させられるかは不明である。
はじめは自転車の仕組を見てみたいという気持ちで、塗装までするつもりはなかった。しかし工具を発注してみると、それが手元に来るまで2週間ほど待機時間ができたのだ。どうせならサビとか落とすか、と少し綺麗にしたのが運の尽き。なんかいろいろ勢いづいて塗装までしてしまった。ちょうどその頃にガンダムのジ・オリジンがテレビでやっていて、ジオン色(ダークグリーン)がかっこいいなあ、と気持ちが昂ぶり甥の好みとは関係なく、私の一存でこの色になった。しかも白黒赤青黄のスプレー塗装は安いけど、このダークグリーンは3倍の値段がする。さすがジオン色。この話を甥っ子にしても「何のこと?」と。「ジオンで3倍と言えば?」と確認してもきょとんとして「?・・・」。という感じ。まあ、ジェネレーションが違うのね。
交換部品はすべてのベアリングとリヤ車軸(玉押し含む)。フロントの玉押しだけは良さげな商品を見つけることができなかったので昔のをそのまま使用。部品代は2000円程。自転車は安くていいよね。
※次回ベアリングなどにグリスアップする時の必要工具(その前に廃車かもね)
メガネレンチ :14mm,15mm,24mm,32mm
薄スパナ :13mmと15mm(自転車専用)
ボックスレンチ:10mm~16mm
大型のモンキーレンチ
ボス抜き工具
コッタレス抜き
かなづち・たがね・大きいマイナスドライバ
ヘキサゴンレンチ
大きなペンチ(多段式)
グリス・ネジ緩み止め剤
■2020年7月に追記
久々に実家に行く機会があった。この自転車はまだ玄関前にあったが、もうダメっぽいもよう。当初はなんとか動いていたようだが、発進時に転倒したとの話。詳しく状況を聞くとおそらく、発進時に若者の強大足腰でペダルを踏みこんだら、チェーン飛びを起こして転倒したもよう。自転車に詳しい親戚もそこにいたので話を聞くと、おそらくチェーンが伸びた、またスプロケットの摩耗でチェーン飛びするのだろうとのこと。このチェーン飛びの話は当初から聞いていたが、私がメンテ後試乗した感じでは普通には乗れたので、踏み込んでの対策はしていなかった。チェーン周りをいじっている時に、チェーンの張りが弱いなぁという気はしていたが、私も自転車の整備はほとんどしたことがないので、こんなもんかな?という感じでスルーしていた。しかしこの転倒で甥っ子も少し怪我したとのことなので、この自転車はこれで廃車と決まりました。