O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

6-2.アイのターボ化_12(クランクシャフト、ピストンの組付け)

6-2.アイのターボ化_12(クランクシャフトとピストンの組付け)

■2019年9月

 シリンダーにクランクとピストンを組み付けていく。今は部屋の中にベアリングキャップ、メタルリング、ピストン、ピストンリングがばらばらになっていて、場所をとるし、うっかりナンバリングがわからなくなると困るので、はやく組んでしまいたかった。その前にもう一度ホーニングをやりたい。前回やった時は、シリンダー下部のカーボンを除去せずにやったので、#240の耐水ペーパーがすぐに目詰まりしたし、回転速度の調整も不慣れで、回転がびびっていた(精神的にではなく、物理的にね)。今度はびびらないようにホーニング回転速度も抑え気味に、またシリンダー内面にオイルを塗ってやればもっと滑らかにホーニングできると思う。でもその前にピストンリング合口すき間を再計測しておこう。

あれ?なんだか前回の計測に対して再現性の低い感じの結果が出た。合口の向きを前回と同じにしていなかったし、その辺が理由かな?それでもホーニング前後で全体的には合口すき間が広くなっているよね。つまりシリンダー直径が大きくなったのだ。おかしいな~? 一回目のホーニングの時は表面に傷をつける程度でサッとすませたので、シリンダー内径にはほぼ影響していないと思っていたんだけど・・・。いずれにせよ標準値の範囲より広いし、再度ホーニングしてまたシリンダー内径を広げるような行為はだめな気がしてきた。ということで二回目ホーニングは中止。写真はピストン番号が1番と3番が逆だった(タイミングチェーン側が1番です)。

 では次の作業に移ろう。シリンダ周辺の最後の確認となる、平面度の確認である。ストレートエッジなどは持っていないので定盤を使った(この定盤の精度もあやしいのだけど)。定盤に光明丹を塗りたくって、シリンダーのヘッド面を擦りつける。

一様に光明丹が付いている(赤当たり)。結構良さそう(^^)/。

よし、次は黒当たりだ。定盤側の光明丹を拭き取り、シリンダーを擦りつける。

でもなんかじゃりじゃりという手応え。シリンダーをひっくり返してみると、すり傷っぽい跡があちこちにある。定盤の表面がまだまだ荒れているんだな。でもシリンダーの平面度はOKだと思う。シリンダーヘッドを組み付ける前にもう一度オイルストーンで磨いておこう。

次にクランクジャーナルのオイルクリアランスを測る。メタルリングを綺麗に拭いてシリンダーに取り付けていく。クランクのラッピングを経験した目線でメタルリングを見てみると状態は結構いいよね。大切に乗ってくれていた前オーナーに感謝だな。

メタルリングには識別ナンバーは1~3まであるのだが、このエンジンはすべて2だった。

メタルリングとスラストベアリングを取り付けて、

クランクをやさしく置く。

メタルベアリングのロワー側もきれいだ。下写真の縦筋が一番大きなキズだった。

やっとプラスチゲージの出番。

ジャーナルの幅に切って軸と並行に置く。

そしてベアリングキャップを取り付けボルトを規定のトルクで締めていく。するとプラスチゲージが潰されてオイルクリアランスが計測できる。

オイルクリアランスは標準値の下限ギリギリでした(No.1はちょっと超えてるけど)。まあ限度値には相当余裕があるし、4つとも近い値だったということはいいことだな。プラスチゲージの読値も0.025と0.038の間がちょっと空きすぎなので、微妙な値はかなり適当に書いている。0.025と0.038mmの中間くらいというレベル。いちいちノギスなどで測るのもめんどいしね。

そしてクランクの本組だ。ここでアッセンブリールブの出番。

ベアリング部に筆でぺたぺた塗っていく。ルーカス社のは緑色なんだ。

そしてベアリングキャップボルトを順番に規定値で締めていく。締め付けトルクの管理は今回が初めてだったのだが、トルク管理の大切さを改めて実感した。380mmのスピナーハンドルだといくらでも締めていけるので簡単にネジ切そうだ。

増し締めはマジックで60°の線を書いてまっすぐになるまで締めた。

この状態でクランクを回してみると、ぬちゃ~という雰囲気で回る。ルブが効いている感じだ。次にクランク組付け後にエンドプレーを計測。というか本当はベアリング部にアッセンブリールブを塗る前に測らなければいけなかったよね。忘れてた。まあ、あまり問題になる箇所ではないのでいいとしよう。計測値は0.15mmでした。

次にピストンを組み込んでいく。ピストンリングの取り付けからなのだが、ピストンリングをまじまじと見ると結構虫食いみたいになっている。新品を見たことないのでわからないけど(^^;)。 またピストンリングには識別マークは見当たらない。整備解説書には上面の端っこに1R、2Rと書いているみたいなんだけど、刻印しているんじゃなくて、印刷しているから消えたのかもね。こういう事態も想定して、リングエッジの形状を観察していてよかった。

ピストンリングを組み付けた。ばらした時の写真と見比べるとぴっかぴかで心が洗われるようだ(←大げさ)。

入浴剤バブの空き缶でピストンリングコンプレッサーを作った。エンジンをOHしている人のブログではかならずコンプレッサーを使っていたので、なんとなく似たものを作った。

タコ糸で縛り上げて(たぶんこれが敗因)、

縛っている時に指切った  (;´Д`)。こういう事態も想定してエッジ部は丁寧に丸めていたんだけど、重なっている所が少し出っ張っていて・・・。

1番ピストンをシリンダーに挿入して木槌でトントンと叩くとうまく入りました。でも2番ピストンではなかなか入らず、そのうちコンロッドのメタルリングがコロンと外れた。2回目も。仕方ないのでコンプレッサーは断念して、爪先でピストンリングをちまちまと押しながらピストンを押し込むと簡単に入った。コンプレッサーはまったくの不要作品でした  (*´з`)。

次はピン部のオイルクリアランス計測。クランクが回ってしまうとちゃんと測れないと思い、ドライブプレートを取り付けて紐で固定した。でも普通にやってみたらクランクがまわることはなさそうで、紐固定方法も1番ピストンだけだった。わざわざドライブプレート付けたのに (・・;)。

計測の前にピン部のメタルリングを観察する。なんか端っこが”てかって”いる。端っこだけ接触していないのかな、それとも逆 ? なんの根拠もない私の推測では、端は油膜が切れやすく(油膜が左右に流れちゃうから)、ピン部とメタルがまれに接触して端が擦れて”てかって”いるんじゃないかな? クランクシャフトのピン部の穴を四角形状に削ったのがこういう所で効果があるんじゃないかと期待している。ただしこの推測はまと外れで、より悪い方向になるかもれないが、それを検証できないのが残念だ。

プラスチゲージをピン部に置いてキャップを締めていく。

ピン部もクリアランスはOKだ。しかしここは増し締め前の規定トルクが14.7Nm。300Nmのトルクレンチでは細かすぎてうまく締めれない。トルクレンチ購入時は「大は小を兼ねる」と思っていたが、300Nmは大きすぎたかな。まあ低価格という条件で探して出てきたのが、300Nmなのでいいんだけど。今度、30NmくらいのトルクレンチをDIYしてみよう。

そして本締め。でもプラスチゲージって剥がすのめんどくさいよね。爪でかりかり削りとったけど爪の間が汚くなった(笑)。

これでシリンダー周りの組付けは完了。記念にクランクを回した様子を動画撮影。

シリンダーはしばらく触らないので梱包しておいた。

 次はシリンダーヘッドなのだけど、バルブフェース研磨の設備が完成するまではあまり作業は進まないなぁ。まあポート研磨でもしよう。