■2021年12月
片づけていたNAエンジンのオルタネーターを机の上において軸まわりの動きを確認する。回転は滑らかでベアリングはまだ大丈夫そう。ワンウェイクラッチはちゃんと機能しているが、ワシャワシャと音。本来はもっと滑らかな音で動くような気がする。
ワンウェイクラッチのグリスアップとかできないのかな、とプーリー周辺を観察。
ネットで探すとNSKのワンウェイクラッチの構造があった。アイのと見た目は似ているので、おそらく構造もほぼこんな感じだろう。NSKの技術資料では新開発のグリースを使用しているとの記述があったので、やっぱりワンウェイクラッチにはグリスを使うんだと再確認。せっかく油圧プレスがあるのでいつかばらしてグリスアップしてみよう。
次はNAのテンショナーを物置から出してきた。プーリーのカバーがサビているので、ここだけ再塗装しておく。まずは17mmのボルトを緩めるため木材に固定してゆるめる。
反対からみるとこんな感じ。木ネジ2本ではちょっと強度的に不足していたがなんとか17mmボルトがゆるんだ。
17mmボルトを外して、泥除けツバを塗装。
現在のテンショナーはターボエンジンについてきたやつだ。はじめはテンショナーが固着して動かなかった。17mmのメガネレンチで思いっきり右回転させたら動くようになったが、もしかしたらテンショナーの動きに異常があり、ベルトテンションがかかりすぎているのが今回の異音につながったのではと気になった。補機ベルトを手で押してみると結構テンションがかかっている。適正テンションの確認方法について整備解説書を見ると、下図のような説明があった。ベルトを弾いて振動数でみるということだ。こんな検査装置は持っていないので耳で聞いてみた。「ビーン」ってな音。ピアノの35鍵盤(ソ3)が196Hzなのでそれくらいの音ならOKなのだが、音楽音痴の私にはよくわからない。まあでもそれらしいイメージの音がしたのでテンションはOKとしておく。
次にコンプレッサープーリーの動きについて調べる。コンプレッサーはマグネットクラッチでコンプレッサー軸と締結するので、普段はプーリーが空回りしている。
プーリー周辺の構造を下図に示す。このベアリングにもグリスアップしたいよねぇ。まあ今のところ滑らかに回っているので今回はパスする。
情報収集が済んだので実車作業に入る。まずは補機ベルトカバーを外すわけだが、同時に前から気になっていた固定ボルトの再塗装を行う。1年ほど前にきれいに耐熱塗装したのに結構サビてきている。こういうボルトは塗装では耐久性が得られないのかな。機会があれば黒染めかメッキなどに挑戦したい。
作業時はタイヤを下に入れることを徹底する。
前回各プーリーの動きを確認したがもう一度確認したらウォーターポンプから異音が聞こえる。前回は気が付かなかったがこれがエンジン異音の正体っぽい。
ウォーターポンププーリーを外した状態でポンプ軸を手で回すと確かにゴリゴリという違和感が手に伝わる。この時点でウォーターポンプのベアリングがダメになっているのが異音の主因だと確信した。
それでもオルタネーターとテンショナーは交換する。今後のためにもエンジンを載せた状態で各部品を取り外す手順を把握しておくためである。オルタネーターの奥のボルト(12mm)を外すには下写真のロングソケットでないとだめで、長さは長すぎても短すぎても周辺と干渉する。 ※安全のためバッテリー端子は外している。
ボルト2本を外すと、ぎりぎりだが車体から取り出せる。
オルタネーターを外すとテンショナーが見える。これも12mmボルト2本で固定されている。
テンショナーの取り出しは簡単。
テンショナーを外すと奥にコンプレッサーが見える。エンジン換装時にコンプレッサーの取付けで苦労したが、オルタネーターとテンショナーを外しておけばコンプレッサーが良く見え、位置合わせに苦労しなかっただろう。
コンプレッサーは3本のボルトで固定されているが、コンプレッサー周辺が見えず、かつクーラー配管のテンションがかかった状態で位置合わせするのは難しかった。
テンショナーを比較。
くるくる回したり、軸のガタを比較したが特に違いは感じられない。どちらかというと現在取り付けているテンショナーの方が滑らかな感じ。
オルタネーターも比較。
こちらも回転の滑らかさやワンウェイクラッチの動作を比較。どちらかというと現在使っているオルタの方が滑らかな感じ。
結局オルタネーターとテンショナーの交換はなしとした。異音の主因はウォーターポンプのようだし、オルタもテンショナーも今ついているやつの方が動きが滑らかな感じだし見た目もきれいなので。ウォーターポンプを購入して交換すればおそらくこの異音は解決すると判断した。
おまけ作業としてプラグホールのオイル漏れの点検を実施。イグニッションコイルを外すとやはりオイルが付着している。付着オイルを拭いていたら、先端のゴム部が外れ、中からバネ部品が出てきた。
あれ、なんか出てきたー。よくみると下写真のようなバネが入っている。なるほど、このバネでイグニッション側とプラグ側を電気的接続しているのね。
プラグホールを覗くとオイル漏れは少しだけだった。夏場はかなりのペースで漏れていたが、冬場は漏れ量が少ないもよう。
補機ベルトカバーもクリーニングして組み付ける。
固定ボルトは耐熱塗装し、焼き付け処理も実施。補機カバーとの接触面にクッション性のワッシャ(厚めの両面テープ+ポテチ袋)を装着した。
固定ボルトを締めると下写真のようにスポンジ部がつぶれケースを固定する。この接触部が動くことで塗装が剥げサビが発生して、ケースに赤錆粉が付着していた。この処置できれいな状態が保たれることを期待する。
ベルトカバーを取付てタイヤをつければ作業完了。
次回作業に向け、ウォーターポンプを発注する。