■2024年9月
電動格納ミラーを入手した。しかも左側だけ。なぜか? 我がアイは試乗車だったものをディーラーから新古車購入したもので、グレードはおそらく一番低いものだ。なので必要最低限の装備しかないのだが、私はそれで良いと思っている。例えばリアワイパー&ウォッシャーなど、普段使わないのに車検の時に動かないと車検NGになるとか、私的には不要な装備の装着はデメリットしか感じない。同様に電動格納ミラーも必要性はまったく感じてなかった。
しかしとある事情で左だけ必要になったのだ。それは我が愛車ライフに激変が起こったことに起因するのだが、その詳細はページ最後まで引っ張らせて頂く。
某オークションでの落札である。送料をケチるため手渡し可能な品を探してゲット。しかし片道40分の距離の受け取り場所だったし、数百円だが高速代金がかかったりと、発送してもらってもよかったかなと思う。まあ気晴らしのドライブと考えればええか。
入手したミラーはカバーが白。我が家のは黒なのでカバーは交換する予定。
上からみると白カバーが目立って結構スリムに見える。全体が真っ黒の我が家のアイではもっとぼってりとした感じなのだが。
コネクターは5線。電動格納ミラーがないタイプは3線で、上位グレードにはミラーヒーターのついた7線のもある。各線の接続先を確認し、バッテリー直結で動かしてみて各ピンの機能を確認した。
整備解説書の回路図を確認。これは電動格納なしの3線タイプ。
下図が電動格納ありの5線式。電線の色の記号などつぶれて見えないのや書いてないのがあり不明瞭。CD形式の解説書なんだけど、図面とか回路図はスキャン画面なので、小さい文字とかはつぶれて読めない。せめてもう少し解像度を高くスキャンしてほしい。
ケーブルの色が多少合わない気がするが、動作確認した結果をピン番号で整理すると下写真のようになる(はず)。
ちなみに電動格納ミラーがついていない車でも配線はされており、ECUも対応している。なので、ミラーを付けて操作SWを付ければ普通に電動格納ミラーとして機能する。こういう情報をネットで掲載している諸先輩方にはほんと感謝である。
ミラー角度調整機能や電動格納動作は予備バッテリー直結で実施。
動作は問題なかったのでこのまま使ってもいいのだが、なんかね・・・、すきまからおそろしいものが見える気がするのですよ。なんか心がザワザワするやつ。なので分解してきれいにクリーニングしてからでないと恐ろしくて使えません。
というわけで分解開始。まずはミラーを外すのだが、これが恐ろしい。ミラーを少し動かして下側に隙間をあけ、そこに内張り剥がしを差し込んでテコの原理で手前に引き上げる。初めての時は「なんかバキッと割ってしまうんじゃないか」とすごく怖い。
外れたミラー部を観察する。なるほどね、下側がぱかっとはまっているのね。
横から見た写真。こういう写真を事前に見ていればかなり安心してミラーを外せる。
下側のカバーは3つの爪で嵌っているので内張りはがしで簡単に外せる。
ミラーはダイキャスト部に3本のネジで固定されている。ここのネジはネジロック剤ががっつり塗布しているので、かなり固い。不用心に緩めると簡単にネジ頭を舐めそうである。
これでミラー部がばらばらになる。コネクタもピンを抜かないと穴を引き抜けない。
コネクタのピン抜き。まず①のピン固定部を精密ドライバで上に引き上げる。そして②のピンの上側の小さな穴に針を奥まで差し込んで抜け止め爪を外す。
これでピンが抜けます。
ピンの構造。先端に抜け止めがあり、後ろの段になっているところをピン固定部で固定する構造。
これでケーブルを穴から引き出せる。
ミラー固定部のダイキャスト台座は結構丈夫な造りになっている。
ミラーカバーを外す。裏側から上側2か所の爪をマイナスドライバーなどで外せばよい。
ミラーの内部構造体が外れた。
電動格納部のモーター部を確認。
で、隙間から改めねミラー裏側を覗くと・・・、ほらぁ! なんか見えるし。
さらに分解する。
台座から角度調整機構が外れました。
精密ドライバーでミラー裏側をごそごそすると、出てきました。オロソシー。
気を取り直して分解を続ける。ミラー角度調整機構を観察。なるほどこういう感じね。シンプルでよろしい。
これで個別パーツに分解終了。
各パーツをきれいに掃除していき、あのオソロシヤの痕跡をきれいさっぱりなくす。
モーターの動作確認もしておく。問題はなさそう。
ミラー角度調整モーター。昔のマブチモーターと似た形だけど、どこのかな?
それでは組み立てていく。摺動部にはシリコーングリスを塗布しておく。
ミラー角度調整機構はウォームギヤで外周ギヤを回転させ、中央内側にあるウォームギヤで支持部を軸方向に動かす構造である。
支持部が空回りしないようにからまわり防止機構があるので、ここにうまく嵌るように組み立てる。
次は電動格納庫の分解。
電動格納部もモーター回転を2段ウォームギヤで減速している。
電動格納モーター。思ったより小さいが、ギヤの減速比が大きいからこれくらいで大丈夫なんだろう。
2段目のウォームギヤは金属製でかなりがっちりしている。まあミラー格納動作は結構トルクが必要だからこれくらいしっかりしてるんだろう。ここのグリスは軸周辺に余っているので、それをギヤ部に塗布しなおしてOKとする。手持ちのシリコーングリスの残量が不安なので節約のためね。
電動格納の基板部。動作方法についてはヤガマニアさんが整理してくださっていた。ありがとうございます。電動格納の動作はおそらくだが、操作SWを押したら一定時間モーターの電流が流れる。格納動作が完了するとモーターに過電流が流れるので、それにより基板上のサーミスタの温度が上昇し抵抗値が変化。その変化により電流遮断用のリレーが動作する、というものだと思う。ミラーの開閉状態などのセンシングはなく、現在の状態(開/閉)をECU側が覚えていて、オープンループで一定時間動作し、動作ロック時は過電流遮断で対応ということだろう。
どんどん組み立てていく。
ケースに収めて、
このミラーは縁がちょっと汚いし、今アイに実装しているのを使おう。このミラーと補助ミラー(前回2個買った余り)は予備として保管しておく。
コネクターにピンをはめ込む。念のため分解前のとケーブル並びを確認。
これで組み立て完了。カバー部とミラー部は今実装している分を使う。
電動格納の動作確認を実施。これは12Vバッテリ直結で試したが本来は±6Vの動作なので、もっとゆっくり開閉すると思う。
ところで、なぜ左だけ電動格納なのか。実はマイガレージを手に入れたためだ。マンション付属の駐車場で一階部にビルトインしているやつ。でも車庫は幅は2.26m、高さ1.9mと結構狭く駐車できる車は限られてくる。我がアイでも駐車時は左側に寄せないと右から降りられない。その時に電動格納ミラーが役に立つというわけである。
マイガレージ入手は自動車整備の視点でみれば天地がひっくり返るような出来事だ。マイガレージがあれば現在OH中のトランスミッションの交換も楽勝で(言いすぎかな?)実施できる。まあマンションの公共部でもあるので、リフト設置とかの大がかりなことはできないが、少なくとも工具を広げて部品を並べた状態でしばらく放置とかはOKだ。これは大きい。今まで月極め駐車場では短時間の作業しかできなかったが、マイガレージでは数日店を開いての作業ができる。
日常使用では、まず距離が圧倒的に近くなった。マンションの玄関を出てすぐだからね。また、青空駐車でなくなったというのはアイにとってもうれしいことだろう。今まで夏場には乗る前に窓とドアを開けて室内の熱気を逃がしてからでないと乗れなかったが、今は外より車内のほうが涼しい感じ。雨の日も数歩は濡れちゃうけど、車に乗るのに傘は必要なくなった。
とにかく自動車整備のメインインフラと言えるガレージ入手は大きな出来事であり、今後はマイガレージでの自動車整備インフラ整備の作業が増えていくと思う。
おまけ。予備バッテリーの状態を確認したが、緑色のいい状態でした。