■2024年12月
かなり前からであるが、妻から「シュレッダーがほしい」との要望が出ていた。しかし私はずっと反対していた。なぜって? だってただでさえ物であふれている我が家のどこにそんな空間があるというのか。質量保存の法則があるのだから、何か買うのであれば他の何かを捨ててくれ。妻は物を捨てれない。10年以上も使っていないものだって、「そのうち使うの!」といって捨てない。つい先日もめでたい席に行くということで、数年ぶりにおしゃれな靴を出してきたが、ちょっと歩いただけでゴム部が加水分解で壊れた。すると残念そうに捨てた。そういう物で我が家はぱんぱんである。そんなところに空間を食うシュレッダーなんて置けない。等価なものを捨ててくれるのであれば考えるが、彼女はそういう考えはない。
追加理由として私はシュレッダーが怖いのである。破砕機である。恐ろしい機械だというイメージが抜けない。万一指でも引き込まれればどうなるのか? 指ではなくても、髪の毛などが巻き込まれたら・・・、と思うと恐ろしくて身近には置きたくない。
そういった理由からシュレッダーの話はずっと動かない状態だった。しかし最近ちょっとした出来事があった。妻がある日、小型のシュレッダーを紙袋に入れて持って帰ってきた。「これ修理して。職場のが動かなくなって困ってる。」とのこと。まあ修理ならやってもええかな、と思ったが「明日の朝までに。」だって。いやいや、そんな短時間に修理とか難しいわ、と言ったのだが、「とにかく明日までに。」と押し通された。
まあダメもとでやってみるかと分解していった。シュレッダーの分解は初めてだったが、構造はいたってシンプルであり、動かない理由は刃に粘着性の物質が大量に付着していて、回転しなくなっているのが故障原因だった。おそらく両面テープなどのが貼られた紙を大量に裁断した結果だと思う。ミニキサゲでちまちま粘着物質を取り除き組み立て直したらちゃんと動くようになった。
まあこれだけの出来事なのだが、分解時に目の当たりにした整然と並んだシュレッダー刃の機械的美しさに魅せられてしまったのだ。我が家にああいう機能美を有した備品を置いておくのも悪くはないかな、というよくわからない動機で、我が家にシュレッダーを導入する運びとなったのである。
という流れでシュレッダーを探しだした。ちょっと改造しようと思っているし、中古の安いのでいいと考えている。でもパワーはある程度欲しい。妻の依頼で修理したシュレッダーは裁断枚数は3枚というもので、回転力が弱弱しく俺の好みではない。裁断枚数10枚くらいのを探して下記製品のジャンク品を某オクで入手した。

届いたシュレッダーを早速分解。なんか激しく破損している雰囲気が漂う。動かしてみるとモーターは回転するが、刃の一方が回り、もう一方の刃は回転せず、ガコンガコンと異音を発生させている。これは予想以上のジャンク品の気配がする。

ケースが変形しているような気がする・・・。

うわー、何これ。

駆動歯車の軸間が離れており、歯車がかみ合っていない。

ギヤまわりを分解。汚れが付着しているのは想定内。

ギヤ歯は傷んではいるが、歯が欠けたりしていないのは救いである。

そしてこのケース。4本の支柱で固定しているのだが、3本はネジが外れていていて、支柱自体もグラグラ。これはジャンク以下ではないか?

ギヤを全て外す。

問題のシュレッダー刃の駆動ギヤ。軸間が離れている。

プラ製の軸受けが割れて、軸位置がずれている。

このシュレッダーはCDカッターもついているが、この機構は使わない。

なので、CDカッターの駆動機構も一切不要です。

ケースを分解して、シュレッダー刃の様子を確認。こちら側の刃は特に問題なさそう。

しかし反対側はなんかおかしい。刃が噛みあっていない。

プラ製の軸受けも割れていて、歯も外側にずれている。

よーくみると刃の間に入っているスペーサーがなくなってる。え、どういうこと?スペーサーが割れてなくなったの? と一瞬思ったが、CDカッター駆動部の分解時(4枚前の写真)に出てきた不自然なスペーサー2枚が思い当たる。つまり、本来は刃の間に挟まっているスペーサーが、異なる場所に適当に嵌められているのだ。つまり、このシュレッダーは一度分解されており、正確に組み立てられず、無理やり組まれた状態で動かされて軸受けまわりが破損したのだと思う。さらに1枚のスペーサーはどこにも見当たらない。これってジャンクとも呼べないような気がする。まあでも落札額が110円なのでなんも言えねえ (*´з`)。

ここらあたりで失意のあまり作業はしばらく中断したのだが、その後気持ちを立て直して作業を進めた。刃を取り外して状態をよく観察する。

スペーサーが外された刃がぐらぐら、ぶらぶらしている。

そして刃は先端がなくなり丸くなった突起と化している。

刃をかみ合わせてみる。片方はちゃんと噛合うが・・・

こっちの軸単は噛合う気配も感じられない。

すべてを捨ててしまいたい気持ちになったが、幸い駆動ギヤは歯欠けなどがない。

傷んではいるが歯形状を修正すればなんとかなりそう。

固いものを挟み込んで歯があちこち圧迫変形しているが、カッターでちまちま削り歯当たりを均一にならしていく。

モーターは汚れてはいるが元気にまわる。

しかし正転、反転させると音が違う。モーターにちょっと異常あるのかな?
手で持って回すと正転逆転での音の違和感は減る。始動コンデンサで正転逆転での対称性が異なるのかな?
刃をばらしてちまちま研磨する。

シュレッダーの刃は炭素鋼という感じではなく、ダイヤモンドヤスリで簡単に削れる。まあ紙を裁断するだけなので、こんな刃でいいのかな。でも一定期間使えば刃を再研磨したほうがよさそうだ。

刃の形状。

一晩ちまちま作業してこれくらいの進捗。

側面の平面部が歪んでいるようにみえる刃もあるので、定盤に耐水ペーパーを敷いて面出しする。

激しく痛んで丸くなっている刃はルーターで研磨する。

刃がだいぶ小さくなったけど、とにかく切れる形状の刃に仕上げる。

ちゃんとスペーサーを入れてCクリップを入れると刃がしっかり固定される。

片側の刃の完成。手で持つと、刃が指に食い込んで痛い。

ケースに収めるとぴったり。いけそうな感じだな。

では反対側の刃もばらして研磨していく。

そして1個欠落しているスペーサーを鉄パイプから自作する。

この鉄パイプは内径がちょっと小さくてこのままでは軸(6角形)には入らないので、チャックで6角形状に変形させて入るようにした。

右側の白い2個のがCD駆動軸から出てきたスペーサーで、金属製のが自作したスペーサー。この3つが本来の場所に取り付けられていなかったという訳だ。

刃を組み立てて、スペーサーも全て入れる。

刃を組み合わせてみると美しくぴったり噛合う。

研磨された刃が整然と美しく並ぶ。この光景を見たかったのだ。

刃の修復は完了したので、ぷちぷちで巻いて保管しておく。

次はケースの修理。まずはネジ切れている木ネジ。これは間違って組んで無理やり動かしてケースが破損してネジが引きちぎられたんだと思う。

ひび割れたケースをこれ以上損傷させないように注意してネジを緩めていく。

無事取れました。

ケースも割れているし・・・。

ケースの上部には挿入紙検知装置が取り付けられているのだが、そんな機能は使わないので、取付け凸部はカット。

そして破壊寸前のケースをやさしく保持する木製固定ケースを製作。これがなければケースを補修している最中にケースを破壊してしまっただろう。

ケースの刃の隙間には粘着質の物質がこびりついているので、画用紙にキッチンペーパーを巻いて、パーツクリーナーを噴きながらきれいにクリーニングする。なお、キッチンペーパーは途中でぼろぼろになるので、ウエスのほうが良かったと思う。

破損んした木ネジ固定部の補修。

ドリルを差し込んで、周辺にプラ片を溶かし込んで補強。

刃周辺の裁断片かきわけ突起(という名前とは思わないが)の削れた所にもプラ片を溶かし込む。

そして削って成形。

グラグラのギヤ部の支柱もタガネで叩いて補修。

ケースまわりの補修も完了です。

こちら側から裁断する紙を挿入する。

割れたプラ製の軸受けはケースをちゃんと組めばある程度は機能する。ギヤとは反対側の軸であれば軸半径方向に過大な力が働かないのでこのままでも使えそうだが、後でちゃんと修復しよう。

刃を組み付けてみる。

ギヤがちゃんと噛合う。気持ちいい。

割れた軸受けはこちら側に使用。CDカッターは使わないので、こちらの軸端はあまり力が加わらないからね。

試しに手動で裁断してみる。うんうん、気持ちよく裁断できる。
ギヤケースも組み立てる。

結構いい感じ。

駆動ギヤの噛合いも問題なさそう。

減速ギヤも結構スムーズに回る。

あとはモーターを組めば修理完了だ! という段階でいきなりギヤ駆動部の支柱を取り外す。

なぜ? 続きは次号で。