■2026年3月
少し前(正月明け)の話であるが、実家での集まりがありその帰りに義兄が紙袋に入った機械を持ってきて、「これ壊れたんだけど直るかな?」と。中を見るとシャープのロボット掃除機。聞けば5年近く使ってたけど、”〇〇が異常”というメッセージを出して動かなくなったらしい。安く買ったよ、とか言っていたが定価は10万近い高級品。

ルンバでブームになったロボット掃除機にはいろいろ思うところがあった。機能としてはすばらしいと思うのだが、そもそもそんな高価な掃除機ってどうなのよ、とかハンディクリーナーでしゅーっと掃除したらええだけちゃうん、とか元が取れるほど長く使えるんか、とかね。今回修理(できるかはわからんけど)してそれらの疑問に回答が得られればと思い引き受けた。そして今後末永く使うかもしれないので、メンテ手順を細かく記録しておく。まずは分解手順。裏の電池カバーを外す。これは木ネジ1本外し、スライドして外す。

中から駆動用のバッテリーが出てくる。バッテリーは横にスライドさせれば外れる。

続いて上面後方のカバーを外す。まずはダストボックス横の木ネジを2本外す。

裏返して木ネジを3本外す。

これで上面後方のカバーは外れる。

上面後方のカバーは下写真の5か所で木ネジ固定でした。

ケースの中はホコリだらけ。

そしてなんかバネがぶらぶらしている。これは左タイヤのサスペンション(というか地面に押し付けるため)のバネのようだ。そういえば左タイヤがぶらぶらしていた。

続いて上面前方のカバーを外す。底面のブラシのところの木ネジを2本外す。

この2本だけで固定されている(たぶん、記憶がちょっとあやしい)。あとは制御ケーブルのコネクタを数個外すだけで上面前方カバーは外せるのだが、あちこちひっかかるので結構外すの難しい。慎重に慎重に外していく。

はい、カバー外れました。

上面前方カバーについている、障害物検知用のカバーの動きを制限する部分が割れている。

右タイヤのサスペンションの構造を確認。バネでタイヤを地面に押し付けている。

左タイヤのサスペンションを見ると、バネを引っかける爪が割れて無くなっている。

ではどんどんばらしていく。左タイヤの駆動部は木ネジ4本を外せば外れる。

左タイヤの駆動部はタイヤ駆動用のモーターと主ブラシの回転機構が組み込まれている。

次に右タイヤの駆動部を外す。こちらは木ネジ3本で外れる。

吸気用のファン部。これは掃除機としての主機能である。しかしよく見るとファンの排気はケース内に吹き出すようになっている。う~ん、これは考え抜かれた設計なの?ダストボックスにはフィルターが入っているんだから、排気は一応きれいなエアーなはずだからケース内に吹き出しても問題ないんかな。でもフィルターセットし忘れて動かしたらホコリとかをケース内にまき散らすんでよろしくないのでは? でもまあ、ケース外に吹き出すんだったら、それで掃除すべきホコリを吹き飛ばしちゃうのでそれはそれで良くないのかもね。

吸気ファンを見るとホコリがたっぷり付着している。

ピンセットやら綿棒で吸気ファンをきれいにする。

次は右タイヤの駆動部をばらしていく。

タイヤを外すと軸部にホコリやら髪の毛が絡みついている。でもケース自体はしっかり密閉された構造のようで、内部のギヤはしっかり守られている感じ。

と思ってケースを分解すると、内部も結構髪の毛が侵入している。汚いけど動きを妨げるほどではない。5年使ってこの程度ならむしろしっかり密閉されている、と言っていいのかもね。

ギアの汚れをきれいにして、シリコーングリスを塗布しておいた。

次は左タイヤの駆動部を分解。

左タイヤの駆動部には主ブラシのモーターと回転機構が組み込まれている。

主ブラシはベルトで動力伝達している。

主ブラシの駆動部を分解する。ベルトや歯車はちょっとへたっているけどまだまだ使えそう。

あれ、ベルトの歯車を外すとなんかだめな雰囲気が・・・

主ブラシを回転させる機構のベアリング台座が割れている。

軸まわりに黄金色の何かが絡まっている。金髪? と思ったけど違う。細い銅線のようだ。ナニコレ、ルンバ殺しのごみだ。そしてこのベアリングを確認すると固着していてまったく回らない。

つまり、ベアリングが完全に固着して、ベアリングごと無理やり回転させられて、ケース部が熱で溶解した、という感じ。これがおそらく本ロボット掃除機の致命傷なんだろう。逆を言えば、ここの部品さえ手に入ればココロボは復活するんじゃないかな。

しかしこんな部品単体で入手できるのか?ネットでいろいろ探したが当然のように部品単体での購入は難しそう。検索していると、なんか有料で技術的なことを相談できるページを見つけた。ジャストアンサーというページ。初回だけ198円とか書いてたのでダメ元で相談してみた。初めはAI相手で情報をしぼっていき、最後は技術者と直接やりとりする形式だ。でも、結局部品単品での購入はできません、中古品とかを買って部品取りしてください、だって。やっぱし (*´Д`)。しかも解約しないとそのあと月額制で月4000円くらい払わなあかん、という恐怖のシステム。登録も解約もそれほどめんどうではないが、心臓に悪いシステムだ。ちゃんと解約できているかは何度も確認した。

ここまで作業を進めたんだから、「はい! 修理はできませんでした。」というのもしゃくだ。完璧ではなくても強引に修理しよう。まずは固着しているベアリングから。シールドベアリングだが、シールドはCクリップで固定するタイプ。まち針でちまちまとしてたらCクリップは外れた。

シールドを外すと中はホコリが詰まっている。

反対側のシールドも外さないとだめみたいが、こっちはCクリップが外れない。ルーペを使って真面目にやらないとあかんようだ。

木ネジでベアリングを固定してルーペで狙いをさだめてまち針でCクリップを外す。

なんとか外れました。

左右のシールドを外した状態で、パーツクリーナーを噴きまくるとベアリングが回転するようになった。少しでも潤滑性を出すために数日間オイルの中に漬けておく。

これでベアリングは復活した。まあ新品を買っても1個150円くらいなんだけど、送料を無料にするにはまとまった買い物しないといけないからね。とりあえずこのベアリングでココロボが復活するかを評価しよう。

破損したベアリング台座の補修が大問題。台座形状のものをはんだごてで溶着させて復活させよう。ベアリング台座の形状のプラ片がないか探す。下写真のような部品があればいいんだけど、そういう不要品はどんどん断捨離してるしねぇ。

捜索範囲を妻の所持品まで広げると使えそうなのが出てきた。化粧品置き場の奥の方にあったし、何年も使った形跡ないのでこっそり拝借する。ばれなければ問題はない!

溶着できそうかはんだごてで溶かしてみる。ナイロンっぽい感じだがいけるかな?まあダメ元でやってみよう。

まずは旋盤でベアリング台座の形状に加工する。

加工完了。

本体側の破損したベアリング台座を削って・・・

合わせてみる。まあいけそうな感じ。

溶着時に位置がずれないようにケースを組み立てた状態で溶着していく。

裏側などはんだごてが届かない所はケースを外して溶着。

最後台座部を金ヤスリで成形してリペア終了。

裏側はこんな感じ。

歯車とベルトを取り付けた。形的には直ったけど強度的には心もとない。でも手持ちの札ではこの修理手法しか選択肢がない。短時間なら動くと思うがどれだけの期間動いているだろうか?

ほかに固定ネジ部も割れてたのではんだごてで溶着。しかし木ネジを締めこんでいくと、また割れそうな感じ。かるくタップを切って穴径を少しだけ拡大して木ネジによる膨張圧力を弱めた。ちょうどいい径のドリル刃がなかったからね。

主ブラシの駆動機構を組み立てた。うん、なんとなくいけそうである。知らんけど。

いや違った。左タイヤのサスペンション用バネののひっかけ部を木ネジで復元。

強度を確保するために、裏側はプラ片をたっぷり溶着させておいた。

あと車体前方のごつごつぶつけて障害物を検知するバーの割れていたところも溶着補修。

ここまで手間暇かけたのでクリーニングは徹底的にやろう。前方に2個ある回転ブラシのギヤ部もクリーニングする。あまり問題はない感じだったけどね。

このギヤ部もちゃんと密閉構造になっているが、やはりホコリや髪の毛は入り込んでいる。

ギヤやケースの汚れをきれいにしてシリコーングリスを塗布しておく。

さあどんどん組み立てだ。上面前方のカバーは慎重に慎重に組付ける。

最後に上面後方のカバーを組付けて作業完了。

電源を入れと「おひさしぶりです」ってしゃべってきた。こいつしゃべるんだぁ~。ちゃんと電源が入って一安心。充電ステーションで充電する。

そうそうブラシとかダストボックス取付ないとな。パーツは下写真の4種類。

底面の取付場所。

ダストボックスは天板を開いた中にセットする。

ダストボックスは上面にフィルターが付いているので軽く掃除してから取り付ける。

ダストボックスをかぱっとはめる。

主ブラシと回転ブラシの取付は工具は必要なくはめ込むだけ。

早速掃除スタート動作と充電ステーションへの復帰動作を確認。充電ステーションへの復帰はバッテリーが減ってきたら自動で行われるが、リモコンから指令でも復帰できる。下動画の後半でリモコンによる充電ステーションへの復帰指令を発令してる。
うんうん、とりあえずちゃんと動いてる。ベアリング台座の溶着補修がどれくらい持つのかわからないが、今の私にできる作業はここまでである。とりあえずこの状態でココロボは義兄に返却した。「余命わずかだとお考え下さい。もしも2週間活動が確認できましたら、その先もしばらく活躍できると思います。」という感じのコメントを添えて。
2週間程後にココロボの様子を聞いたら「ちゃんと動いているよ」とのこと。おお、意外と頑張っているようだ。「1年後にまだ動いていたらまた定期健診するよ」と連絡しておいた。その時が来たらボールベアリングも新品に交換しようと思う。
今回のココロボ修理を終えてロボット掃除機に関しての私なりの考えを整理しておく。ルンバでブームになった頃より私的には非常にもやもやした気持ちでこのブームを見ていた。家電に10万近い金額って正気か?なんかカルト的なブームじゃないかとか思っていた。そんな非庶民的なブームはすぐに化けの皮が剥がれると思っていたのだが、そのブームは沈静化するどころかますます活性化していった。多くのセンサーを搭載し、AIを駆使した頭脳で大変賢く掃除していく。これは本物の流れなのかもと考えを改めかけた時もあった。しかし今回のココロボ修理で自身のもやもやの正体が明確になった。家電とは、テレビや冷蔵庫、洗濯機などは購入してほぼノーメンテナンスで10年くらい使える。それにくらべロボット掃除機はそこまでは使えない。ホコリや髪の毛を永遠と掃除していく機械が10年も持つはずがない。また高価なバッテリーも消耗品であり数年毎に交換が必要だろう。ロボット掃除機は家電というよりは自動車に近いと思う。ディーラー等で定期的メンテナンスで状態を維持することで10年以上使えるのと同じようにロボット掃除機も数年毎のメンテナンスを要する。メーカーはきっとそのためのメンテナンス体制を構築しているとは思うが、ロボット掃除機を購入している人の中でどれだけの人がそのような定期的メンテナンスを行っているのかはなはな疑問である。今回の修理のように、個人で部品一つ簡単に購入できないインフラでは自動車とは比べるべくもないとも言える。自動車は生産終了から10年ほどは部品の供給を維持しているのだから。まあでもなんだ。たらたら不満を述べているが、突き詰めればロボット掃除機に興味はあるが、価格におののいて購入すら考えられない私のただのひがみなのではあるが。またもし購入できても、ロボット掃除機を必要とするほど広い家でもなければ、ロボット掃除機が十分活躍できるほど整理整頓された家でもないのである(*´Д`)。
※おまけのchatGPTの話
ココロボを分解してベアリング台座の破損状況の写真(下写真)を姉に送った。こんな感じで壊れてますよ~、って。

すると姉がチャッピーに聞いてみたらこんな回答でした。

上の写真だけから細い電線が絡まっているとの文字が出てきたことに驚いた。チャッピーに画像解析能力って思ったよりも高い感じだな。試しにもう少し詳しい写真(下写真)を送ってみた。

それに対する回答が以下。


結構惜しいところまで解析している。なんかースゲーと思った。まあ良く考えたら、極細ワイヤ(電線)さえ解析できたら、この機械の身近にあるもので何があるのかと探せばモーターのワイヤーということにたどり着くのはまあわからんでもない。でもモーターの電線が外に出てくるなんて人間では考えつかないよねぇ。ココロボ搭載の他のモーターはちゃんと動いているんだから、そのモーターの電線が絡まったなんてことはないんだけど。それでも生成AIの進歩には驚かされる。今後毎年同じ画像をチャッピーに見せて、その解答がどう進歩していくのか評価してみるのも面白いかもね。この絡まったワイヤーはどう考えても誰かが捨てたゴミとしか考えられないんだけどねぇ。