ホームシアタープロジェクトも一段落し、EPSONのEMP-TW20はとりあえず稼動しはじめた。しかしまだ完成とは思っていない。現在の課題は光量不足だ。自動車用HIDランプを光源に改造したのだが、やはり物足りなさを感じる。HIDは55Wだが、バラストを75Wか100Wにしようかとかふらふら考えている。そういう気持ちでヤフオクをちらちら見ているとSONYのVPL-VW10HTが目に留まった。残り3日で2,500円の出品である。これは1999年製(15年前!)の製品で、TW20よりも6年古い製品である。商品説明ページを見るとランプは切れていないようだ。液晶に縦筋が入っており全体が青くなっている。ちょっと心が動き2,500円で入札した。そんな古い製品をなぜ?と言えばそうだが、当時の広告を見ていると"本格的ホームシアター"との贅沢品雰囲気満載だったので、一度はそういうもの持ちたいという憧れと、前方排気システムになんとなく引かれたという理由である。これまでのプロジェクターに比べれば破格とも言える高額入札である(笑。まあ、本心ではこの値段で落札できないと思っていたので、"入札わくわくっ"を体験したかっただけである。
現在私が保有しているプロジェクターと仕様を簡単に比較する。
型番 ランプ型 パネルサイズ 明るさ 発売年
XG-MB70X UHP 275W(225W) DLP 0.7型 1024x768 3000lm(2600lm) 2004年
EMP-TW20 UHE 135W 液晶 0.55型 854x480 1200lm 2005年
VPL-VW10HT UHP 200W 液晶 1.35型 1366x768 1000 ANSI lm 1999年
かくして・・・3日経過しても他に入札するものは現れず、私が落札することになってしまった。心の中では無駄なごみを買ってしまったと思ったが、まあいい。パネルサイズ、解像度が大きく大型の光学系を見てみたかったし、ランプは生きているので、MB70Xに移植してみるという楽しみ方もできる。
数日して物はやってきた。
でかい!でかすぎ。(右はMB70X)
不具合が解消すればこれをメイン機に・・・という淡い夢も少しくじけた。これを設置するのは多くの犠牲を伴うだろう。
気を取り直して動作を確認してみると下記のことが判明。
・青の液晶が映らず全開放になっている(ので全体が青っぽい)
・緑の液晶が2重に映る(あまり目立たないが)
・赤の液晶の中央付近に稲妻のような白色ノイズが出る(これはアウトだ)
そして何より、ファン騒音の大きさ、排気熱の多さに閉口した。今回の評価で逆に現在のシステム(TW20+自動車用HID)が評価された。騒音、排熱は遥かに小さい。
まあせっかくなので色々分解して楽しむ。
まずはダイクロイックプリズム。
でかい。さすがだ。この光学系をオブジェと考えただけで元が取れる(ちょっと負け惜しみ含む)。プリズム越しに液晶を見ると
これも美しい絵になる。しばらく見とれる。
次に液晶をばらしてみる。
液晶とフィルムケーブルの接続部の接触が悪いようで、爪楊枝二本でいろいろいじると表示が時々回復する。あやしい所を写真の様に金属板で挟んでみた。が・・・やはりだめであった。もう少しいろいろがんばろうと思ったが、評価途中で、本プロジェクターの排熱が尋常じゃないことが判明し、修理断念の運びとなった。
では映像を見てみる。まずは購入時の状態。全体が青っぽく、縦筋が入っている。これは青の液晶が開いた状態で青成分が画面全面に透過しているためである。
異常個所を確かめるため、まず青と緑の液晶を交換して映す。すると今度は全体が緑っぽくなり縦筋も緑が出た。これで青の液晶異常と特定。その状態で青液晶(この時点では緑位置に取付)のフィルムケーブルとの接続部を爪楊枝でいじると緑映像も映った。それがこれ。
このように真っ黒の画面にメニュー表示されてるのが本来の映像である。
拡大撮影すると
RGBの位置がずいぶんずれている。青と緑の液晶を交換した際にずれたのだろう。しかしこの映像を見た瞬間は「直せるのでは・・・」と欲がでた。しかしながらいろいろ試している間に扱いが雑になっていき、接触不良がどんどん進んだようで、途中で断念。
次に1.35型1366x768液晶の精細さを確認してみよう。液晶を元に戻し、赤と青の光路を画用紙で塞ぎ、緑成分だけで評価した(赤、青はあまりまともに映らないため)。
以前に使用した映像評価映像でTMP-TW20と比較する。
まずはアイコン部の拡大。左がTW20(1sec)、右が10HT(1/13sec)
精細度合いではやはり10HTに大きく軍配が上がる。
次は都市映像。上がTW20(1sec)、下が10HT(1/13sec)。
たしかに精細ではあるが、映像全体で見ると、まあそんなにTW20も悪くないではないかと思える。
撮影ではシャッター速度は13倍違う。明るさも10HTが相当上である(まあ当然ではあるが)。
以下にVPL-VW10HTの購入経緯と結果を簡単にまとめた
■経緯
ヤフオクで本製品を確認。1999年製で60万程の物が2500円。商品のページを見ると、ランプは点灯しているが、全体が青っぽく、また縦筋が入っている。 最悪、切れていないランプを入手できると思い入札。あまり本気で落札するつもりは無かったが、3日たっても誰も入札にこず落札。
■商品状態
ランプ時間は640Hとありまだまだ使えそうである。液晶の青が機能していない。また緑は2重に映っている。さらに赤は映る時はきれいだが、中央付近にノイズが発生することが多い。基本的に液晶部はだめっぽい。
■得られた教訓
雰囲気はよかったが、騒音と排熱がアウト。この排熱は実用域を超えているし、この騒音の中で映画を見ようとは思わない。またレンズを最大に引いてもスクリーンをはみ出す。EPSON TMP-TW20と比較すると、明るさは相当違う。TW20を自動車用55Wランプで駆動しているので当然であるが、カメラ撮影では同様の明るさとするためTW20で1sec、10HTで1/13secのシャッター速度であった。
■結論
現在のTW20システムは十分満足できるものである。映像解像度的に劣ってはいるがそれほど気にはならない。明るさはもう少しほしいが・・・
しかしながら、TW20は排熱と騒音的には非常に優れたシステムと言える
次は10HTのランプでシャープを動かしては見るかな・・・。