4-5.アリガタ・アリミゾの製作
いかに短時間で設置できるかで、望遠鏡の稼働率はぐっとかわってくる。現在、その大きな足かせになっているのが、この鏡筒バンド。 これを下図のようなアリガタ・アリミゾシステムに改造する。 まずは素材の購入から。ものたろうにお願いする。しばらくして手元の届いたそれはずしりと重かった。アルミだから軽いだろうっと深く考えずにいたが、想像以上に重い。軽量化のための穴をいっぱいと開けなければ・・・とか、このぶっといアルミ材を手で切れるのだろうか・・・とか不安は山盛りである。 本格的(?)な金属加工は初めてである。まずは木材を購入。 なぜって? それは作業台を作るため。何しろこれまでの作業台はこれ(下)だったので、12mmのアルミ材を弓のこで切断するにはあまりに貧弱。 せっせとDIYして完成。木材は購入時カットしているのだが、現場合わせや斜めカットなど一部は手作業となる。ちょっと切っただけでばてばて。一気に作れば半日もあれば完成するであろうが、体力が続かず3日かかった。 そして完成!作業台にボール盤についていたバイスを固定できるようにした。作業台にまたがれば力を効率よく伝達できる。 やっと環境が整いアルミ材の加工に取り掛かる。弓のこで試し切りしてみたが、思ったよりは切れる。うん、いけそうである。 まずは穴あけから。 そして部品の切断を開始。1カットしたらかなり疲れた。これは一日に2カットぐらいしか切れそうにないなあ。そして一回切ったら体力回復に数日かかる。完成にはまだまだかかりそう。 ・・・そして数日経過。よし!気力が充実している。今日はいける!まずは武器の確認である。弓のこの刃を良く見たらかなりボロボロ。前回の異常な体力消耗はこれが原因か!?刃を替えてイザ!切れ味もかなり上がっているし、弓のこの使い方も慣れてきた。いける!いけるぞ~。とか言いながら1時間ちょっとで残りの5カットも完了。 しばしぐったり。次は取り付けのタップ切り。M3ほどのタップ切りはこれまで何度かやったことがあるが、実にへたくそである。まっすぐに切り込んでいくのが難しい。M6のタップ切りは今回が初めてであり、かつ失敗は許されない状況(作り直す余力は残っていない)。そこでボール盤を使いまっすぐにタップを切る方法を考えた。ドリルにタップを取り付け、対象をバイスでがっちり固定。そしてドリルの軸を手で回していく。 左手でハンドルを押し下げ、右手で軸(軍手の位置)を回していく。これだといともたやすく、ほんとに簡単にまっすぐとタップが切れる。ちょっと感動である。固定のための8箇所と、締め付け部の2箇所をタップを切り、組み立てたのがこれ。 なかなか様になっている。あとは中心の取り付け穴をあけ、軽量化のための穴をあければ完成(現在250g)。次はアリガタである。アルミカットはさらに長くなり、ゴールは遠く霞んで見えない。そういう時は武器の強化だ!。”とりあえずあればいい”的な弓のこをパワーアップしなければ。弓のこは押す時に切るんだと思っていたが、こいつは弓部が貧弱で、力を入れて押すとたわんでしまってうまく切れない。なのでずっと引き刃で切った。ホームセンターに物色に行きたわまないような弓のこを購入。上がたわむやつ、下がたわまそうな新型(まだ実績なし)。 弓のこを物色時、このたわむ弓のこを買った時の記憶がよみがえった。上と下の弓のこが最終候補になったのだ。そして50円安いからという理由で上のを買った。もう少し先見の明があれば・・・。と300円程度の買い物をぐたぐたと後悔するのであった・。 ・・・そしてまたしばし時間が経過。アリミゾに赤道議固定用の穴をあけ取り付けてみた。 うん、かっこいいね。 次にアリガタ加工に取り掛かる。 軽量化のため、穴を一杯あけ、今日の作業は終了。 ・・・と、この加工を実施した晩にヤフオクをうろうろしていると、”ビクセン規格260mm自在アリガタ タカハシ仕様”が即決価格"漱石さん2人半"で出ていた。そんな・・・・。同じ仕様のものをこれだけ苦労して作っている最中に、そんな安値で出さないで(涙目。材料費だけで漱石さん一人くらいしているのに・・・。なんか悔しくなって、ポチッってしそうになった。いやいや、それは山の頂上にヘリコプターで行くようなもんだ。自分の手で作ってこそだ。ねっ!と苦やしまみれの建前をつぶやく。 悔しいので”タカハシ仕様”と自作の仕様比較をメモしておく。 タカハシ仕様 自作仕様 長さ:260mm 265mm 幅 :44mm 44mm 厚さ:16mm 12mm 重さ:245g 320g(肉抜きなしで計算:比重2.71) →※後日談:完成時227g! 軽量化加工を一杯して重さでタカハシ仕様を越えてやる。 ・・・で、また日数が経ちアリガタの加工を実施。 これだけ切るのに20分くらい。これで一日分のエネルギーを使い果たす。腕か腰に負担がかかってしまう。完成はいつになるやら・・・。 ・・・前回は散々泣き言を書いたが、この週末に一気に作業が進んだ。要するに慣れ? ヤスリで削って完成。重さを計ったところ、227g。ざまあみろ!タカハシ仕様め(スッキリ)。
カットした斜めの角度は60°から結構ずれているようだが問題なく固定できる。
早くR-100Sを取り付けて星を見たい! しかし鏡筒バンドを取り付けるには望遠鏡の筒先と接眼部を外す必要があり、ちょっと手間がかかる。鏡筒バンドを取り付けてみたのだが、ネジを最後まで締めても鏡筒がゆるゆるだ(鏡筒バンドは締め付けタイプに改造した)。鏡筒バンドの内側に厚手のフェルトを貼って対処しよう。 とりあえず今までのフェルトを外す。フェルトは100均でも売っているだろう。 ・・・早速翌日フェルトを買って帰った。フェルトを貼って組み立て完了。空はうす曇だが、星空が見えている。よーし、R-100Sのファーストライトだ。 まだファインダーの取り付け部を製作していないので、適当に星空を流して見る。全体の剛性が非常に改善しているのを実感する。白鳥座近辺を見たが、まあ、いいんでない?というか今までのR-1000とは焦点距離も違うし単純に比較できない。短焦点となったことで広々と見えるなぁ、という印象。余談だが、望遠鏡は白と黒が似合う。ビクセンさんには申し訳ないが、オレンジ色の鏡筒はセンスいまいちと思う。 もう少ししたらアンドロメダが射程に入る。それをR-100Sの記念の初撮影対象にしよう。それまでに周辺装備を整えないとね。1)ファインダーの取り付けアリガタ部、2)ガイド鏡取り付け台座、3)フード。我が家の立地場所は結構光害は少ないようだが、このベランダの周辺廊下光害はなかなか手ごわい。 とりあえず、アリガタ・アリミゾの製作はこれで終了だ。 ・・・と思ったが追記。 ファインダーとガイド鏡筒の取り付けを実施。まずファインダーだが、R-1000は蝶ネジで固定するタイプだった。R-100Sにはファインダー取り付け用のアリミゾ台座がある。これに取り付けるため、R-1000用のファインダーを加工する。 ファインダー台座とガイド鏡筒の固定用台座を鏡筒バンドに取り付けた。
必要装備一式を搭載したらこんな感じとなる。 ガイド鏡筒用のファインダーは斜め出しなのだが、これがちょうどいい具合に収まり、重心の偏りを最小にしている。装備一式の重量は4.8kg。ちょっと重いなあ。 3.7kgのウェイトはバランス時はシャフトの端のほうまでいっていて、余裕がほとんどない。ガイド鏡とそのファインダーをなんとかできないだろうか。現在の考えは、ガイド鏡のカメラを超高感度のものとして、望遠鏡と同軸に固定する方法。SA-49950が一番候補。Yoshyオッチャンさんによるとガイド鏡を固定しても、ガイド星はほぼ捉えられるとのこと。そうであれば、ガイドマウント(雲台ね)とガイド鏡用のファインダーをなくせるので、かなりの軽量化になる。まあ、ちょっと先立つものが・・・、ねぇ。
まあ、赤道儀への取り付け金具の製作はこれで完了だ。装備一式の設置・撤収は低労力・短時間で実現できるようになった。次は光軸調整だな。 |