O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

4-5.星像改善加工

 4-5.星像改善のため望遠鏡の加工

  季節が進み、あと少しでオリオンが射程に入ってくる。思えばオリオンを撮るため始めた天体撮影であり、そのために想定した装備がほぼ完成したこの時、万全を期してオリオンに臨みたい。
  兼ねてから気になっていた星像を改善するための改造に取り掛かる。主鏡の取り付け爪を隠すための遮光環を製作する、材料はできれば1mm厚くらいのアルミ板がいいのだが、わざわざ購入するという気にもなれない。家の中を探してみて海苔の缶が目に付いた(これは愛媛の義父母が毎年送ってくれるもの。大変感謝して頂いている)。
  この海苔缶の蓋を自由錐で円環に切り出してみる。まず内円を切り抜く。実はこのために適当な(安い)自由錐を購入し今回始めての使用する。しかし使ってみてちょっとショックを受けた。刃がかなり削れたのだ。まあ硬い金属を削るのは無理っぽかったけど、こんなぺらぺらな板くらいは問題なく削れるだろうと踏んでいたのだが・・・。まあそれでも一応内円はくりぬけた。切り口はかなり汚いがヤスリで成形すればなんとかなるだろう。

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で次は外円を開ける。しかし切り出した円環が自由錐にからまり・・・

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あーあ。
円環をしっかり固定しておけば大丈夫だったろうけど、なんだかめんどくさくって。でも海苔の缶は思った以上にぺらぺらだったので、材質変更。プラの板にする。トレー(かなんか)でチャレンジ。まず内円をくりぬく。

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そして外円をくりぬく。

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あ・・・。やっぱり自由錐にからまって割れた。
よし、切り抜く順番を逆にしよう。まず外円をきりだして、

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そして内側を固定して内円を切り出す。

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あ・・・。やっぱり自由ばりに絡まって割れた。

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なんと低い製造技術なんだ。
う~ん、どうしようかな、と失敗した海苔の缶の円環を眺めてて”はさみで切ってみる?”との考えが。で、ちょきちょきしてみると思った以上に切れる。というか海苔の缶がそれだけ薄いということだ。

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これだけはさみで自在に切れるのであれば、2枚円環を作り、接着して強度を高めれば使えそうだ。この円環は光学的な意味合いだけでなく、望遠鏡を逆さにした時に主鏡が落下するのを防止する大事な役割がある。であるから一定の強度が必要というわけ。今一度鏡のサイズを測る。直径は102mm。
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気を取り直し、遮光環を切り出す。

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こんな感じできれいに切れた。二枚切り出し、一枚の内円はφ98mm、二枚目はφ100mmとした。遮光環として機能するのはφ98mmとなる。

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二枚接着し、黒塗装したのがこれ。下の写真は裏側から(主鏡に近い側)。

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次の写真は表側。

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主鏡固定用のゴムの爪部分をカット。これで爪部分は遮光環に完全に隠れる。
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固定ゴムの内側に両面テープを貼り主鏡を固定する。主鏡の固定ネジは少し強めに締めると固定ゴムが圧縮され、横方向に膨らむ。これにより主鏡を半径方向に締めて固定しているようだが、ネジをすこし強く締めるだけで星像は思った以上に悪化するの。そのためネジはほんとにそっと締め、主鏡の固定は主にこの両面テープに頼る。

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次に前から気になっていた主鏡の爪部分の劣化について。
はじめは爪によるメッキの劣化と思っていたのだが、よくよくみると糊のようなものがこびりついているだけのような気がして・・・、思い切って爪楊枝の先でちょこちょこっといじってみた。
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すると下からきれいな鏡部分がちらっと見える。これは・・・!。きっと主鏡メッキは劣化していないぞ。(メッキ部分を爪楊枝でいじくるとは!^_^;)。シンナーを綿棒につけてちょこちょこっと拭けばきれいになった。

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もう爪のあとはわかりません。

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主鏡を固定し、遮光環をとりつける。う~ん、美しい。

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正面からパシリ。これは美しい星像が期待できそうだ。
何枚か写真を撮ったのだが、フラッシュを焚いた時に下記のような一枚が。

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メッキ部にぶつぶつが・・・。これは見覚えがあるぞ。斜鏡とおんなじ話か。まあ、今はこの件に深入りするのはやめとこう。遮光環による星像の改善についての評価が先だ。

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主鏡を鏡筒に取り付け正面からパシリ。う~ん、美しい(こればっかり)。

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改造のビフォーアフターで比較。


次にL型スパイダーの製作
  まず一本脚スパイダーの取り付け部を良く見る。今までの光軸あわせで斜鏡のセンターがどうしても合わない問題があり、どうも一本脚スパイダーが傾いて取り付けられているようだ。スパイダーセットをはずして確認したらやはり傾いていた。水準器を使い、取り付け角度が垂直になるように調整。

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斜鏡を取り付け、コリメーションアイピースにより、斜鏡のセンター出しを行う。

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コリメーションアイピースから覗くとこのように見えセンタリングばっちり。

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次にL型スパイダーの製作。6mm角のアルミ棒を4本ネジで固定して次のようなスパイダーを製作。おまけにカメラアダプターを締め付けるための細工も実施。

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組み立てて光軸調整。今回は鏡筒正面からカメラで覗いて光軸調整してみる。

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  カメラを望遠鏡から2mほど離して設置。カメラファインダーを見て主鏡センターと斜鏡センターが一致するように主鏡を調整する。カメラファインダーを覗いては主鏡のネジを調整と行ったりきたり。PCからライブビューできるカメラなら楽なのに。40回ほど往復してなんとか調整できた。
まずはスパイダーにピントを合わせたもの。

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次に主鏡の遮光環にピントを合わせる。

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最後はコリメーションアイピースの十字レチクルにピントを合わせる。

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ちょっとずれているがまあよしとしよう。
うん、この方法なかなかいい。いままでの光軸調整はあまりうまくできなかったが、これなら手間はかかるが精度は上がりそうだ。

晴れるのを待っていよいよ星像で効果を確認する。ベガでの比較。

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おお!
醜かった星像も美しくなっとる。
満足!(^^)!

ようし!今日は少し遅くまでがんばって、プレアデスで成果を試そう。
お風呂に入る前にターゲットロックオン!
で、シャッター音を聞きながら湯船に浸かる。
湯上りのホカホカの体で、さっと望遠鏡を撤収。撤収時間を計測してみたが、ほぼ5分。これなら湯冷めする前に撤収完了だ!なんだかすばらしいシーケンス(^^♪
 そこでとれたのがこの写真。

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        日時:2015年12月07日 / 月齢25日 /  空透明度80% / 撮影場所:西南ベランダ
        撮影内容:すばる / フィルター:LPR-N / 鏡筒回転角:70° / 4枚コンポジット
        撮影:EOSkissD(IR改  / R-100S(D=100mm f=600mm)  / 露光:240sec / ISO:1600 

ちょっと時間の関係でダークを撮れなかったが、非常に満足な結果だ。美しい!美しすぎる。我が家から青色のガス雲がこれだけ見える(撮れる)とは(^o^)丿。まあ、まだまだ改善すべき箇所は多々あるが、今日はいい夢が見れそうだ。