O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

4-5.R-100S用のカメラアダプタ&レーザーコリメーター製作

4-5.R-100S用のカメラアダプタ&レーザーコリメーター製作

■2017年2月
  R-100S望遠鏡の斜鏡を大型化したが、四隅がわずかにケラれる問題の対策としてアダプタを製作する。まずアルミ部材に四角の窓をあける。ドリルで穴をあけていき穴どうしを繋げたいのだが、穴が途中から曲がって裏側では隣の穴と繋がってしまう。左が前面、右が背面。
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まあその穴も無理やり広げ、最後は金ノコを使いくり抜く。
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そして旋盤にくわえ削ってゆく。アルミだとサクサクと削れる。
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最後突っ切りで切断!と思ったのだが下記のように部材とクロステーブルがぶつかってしまい、切断したい箇所(もっと左)までいけない。
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そこで旋盤側の改造。刃物取り付け穴を少し左側にもあける。
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これで切断場所での切削が可能となる・・・、のだが切削がうまくできない。未だかつて我が旋盤で突っ切りはできた試しがない。剛性不足&パワー不足のため。アルミならもしかして突っ切れるかなと思っていたがやはりだめであった。
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そもそも手持ちの刃幅3mmの突っ切りでは広すぎだろう・・・、よし!ヤフオクだ!、ということで1.5mm幅の突っ切りを落札(2.6漱石)。
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この突っ切りだと削れそう。手回しで削ってみるとこんな感じ。一応削れている。でも手回しで最後まで削るなんて途方も無い時間と体力がいるだろう。

モーターで回してみるとこんな感じ。ちょっとうるさくすごく近所迷惑。2日に分けて切断しました。上下の階の皆さん、申し訳ありません(汗。

あまり回転数を上げるとちょっとした弾みで刃先が食い込んで折れそうで怖い。突っ切りは小型旋盤の難関とよく聞くが、まさにそう! 回転数は100rpmくらいが安心できる速度だがトルクがか細い。もっと大きいギヤ比も選択できるように改造したいものだ。現状のギヤ比は0.82と2.44。将来的に4.0くらいまでの低速&高トルク仕様にしたい。
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なんとかがんばってアダプタ部の突っ切り完了。

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手に持ってみると結構ずしりとくる。赤道儀の搭載重量の関係で少しでも軽量化をしなければならないのに、このアルミの塊はちょっと許せない。
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重さは107g。ここからどこまで軽量化できるかな?
まずは構造上不必要な側面を削る。はじめはカナノコで切ろうと思ったが、旋盤にいろいろ部材を敷いてなんとか固定できた。
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切削音はこんな感じ。ビビリが大きくわずかずつしか削れない。音もうるさく近所迷惑だ。将来なんとしても高剛性化改造をやろうと決意するのであった。

がんばって切削完了。切削時に90°間違えて固定してしまい、削らなくいい面を削ってしまった(涙。
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重さは74g。軽量化のためいろいろ削って穴あけて重さは当初の70%に。ちなみに今まで使っていたTリングアダプタは63g。
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アダプタのスライド固定バー(名前なんてあるのかな?)も四隅をちょっと削った(ケラレ対策)。
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全体をつや消し黒でスプレー。だいぶ製品っぽくなった。
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リング取り付けの穴あけで色々失敗。1回目はドリル穴あけでドリルを折ってしまい、二回目はダボあけで失敗。三回目にやっと成功。
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一通り完成したので組み立てていく。
まずスライド固定バー(名前不明)にアダプタを固定。以前のTマウントを横に並べて記念撮影。
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このスライド固定バーは左右5個ずつのベアリングで支持している。
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組み立て完了。うん、結構精悍な感じ。
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裏側から見るとこんな感じ。
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鏡筒に取り付けカメラを取り付けてみる。
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ありゃ?ちょっと傾いている。え~、結構気を使ってたのに。
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これだとスパイダーの十字型の回析像が少し傾くことになる。私は基本的に十字回析像は撮影フレームに直角が好きなので、カメラは固定でと考えたんだけどねぇ・・・。これくらいの傾き、あまり気にならないかな~(希望的観測で己の視界をふさぐ。

さて次は光軸調整だ。主鏡のセンターマークをやり直す。前回はシールを貼ったのだが主鏡を洗浄すると剥がれてしまった。今回はラッカーで塗る。
まず中心部を切り抜いた紙を取り付け、10年前のF1プラモデル(セナのMP4/4)製作時のラッカーを使い、手書きで白丸を塗る。
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ちょっとでこぼこしたけどまあいいでしょう。
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勢いにのって2インチのアイピースを取り付けられるようにスリーブを作る。私は眼視はほとんどしないので、アイピースはつけられなくてもいいのだけど、レーザーを使った光軸調整装置を作りたいので、何かしらスリーブが必要なのだ。どうせならということで2インチにした。
まずアルミに穴をあける。ドリルでちまちまあけていく。カメラアダプタの時は太めのドリルで穴あけしたので裏側で穴がつながってしまい苦労したので、今回は細めのドリルで慎重にあけていく。
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ちまちま穴をあけるのも時間がかかる。どうせなら旋盤で一気に内グリしたほうが早いと思うのだが。だってもったいないじゃない、材料が・・・(エコ。

そして穴をΦ4に拡大する。
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表面も所々橋ができている。ポンチ打つのが下手なのか、ドリルの精度の問題か・・・?裏面もさらに橋が多いが、前回(カメラアダプタ)の時よりはうまくなった。
金ノコの刃が通る隙間があればあとは切るのみ。

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切り出し完了。そして内側は旋盤で切削し再利用品へ。
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あとは旋盤で削るのみ。
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単純な形状なのでさっさかさーと切削完了し、EOSのEFマウントリングを取り付け完成。しかしまたタップを折った。これで8戦2敗。注意力なさすぎ!こいつはしばらく3本で固定しとこう。
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2インチアイピースを取り付けてみる。なかなかサマになっているぞ。
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なかなか順調じゃないか!よし続けてレーザーコリメーターだ。
まずはレーザーの入手から。秋月電子レーザーモジュール買おうと思っていたのだが、単品で購入しては送料が高くなりすぎる。何か買うついでにと思っていたが、結局何も買うことがなかったので購入できず。それと平行してヤフオクでも探してたのだが、ありました。5つで1コイン(写真に写っているのは100円だけど、コインとは100円ではありません)。1つでよかったのだが、まあ他の4個は将来何かに使おう(たぶんね。
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さて、コリメーターの本体をどうするか。2インチの中空パイプがあればすぐに作れるよなー!と思っていた。・・・が、なかなか適当なものが見つからない。家の中を物色し、ホームセンターをうろうろして・・・、しかし適当なものがありません。
そうして時間ばかり経っていく。これではいかん!と心を入れ替えて新しい視点で家の中を物色。ふと木材が目に留まった。まあ木材でもいいかな、漠然と作業が停滞するのも良くないし・・・。ということで木材を旋盤へ。旋盤で木材を削るのは初めてだし、バイトも金属用。
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でも金属より簡単に削れていく。当然か。そして電池やらスイッチやらを配置。なんか結構いいできだ。一体成形で全部品を実装できるので美しい。自画自賛に値する。
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そして長い道のりの終着点である光軸調整へ。我流の方法であるが備忘録として手順を記しておく。

1)レーザーコリメーターの光軸調整
  まずはコリメーターの光軸を調整する。望遠鏡の主鏡を外し、レーザー光を少し離れた壁に照射する。
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コリメーターを回転させると、照射点が円を描くので、その円の中心と照射点が一致するようにコリメーターの光軸を調整する。
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これは調整前の照射点軌跡。

調整後は下のようにコリメータを回転させても照射点は移動しない(ちょっと移動してるけど・・・)。

2)斜鏡の前後位置調整
 斜鏡の光学的中心とコリメータ軸が一致するように斜鏡の前後方向を調整する。今回左右方向にちょっとずれている。これはどうしたらいいのかな?まあずれ量は少ないし今回はスルー。
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3)斜鏡の回転位置を調整
  次に斜鏡を鏡筒に取り付け、レーザーを壁に照射。斜鏡を回転させると照射点が円弧を描くので、円弧の頂点位置に調整する。
これで斜鏡の前後位置と回転角度の調整が終了。
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4)斜鏡の向きを調整(3つネジで調整)
  主鏡を取り付け、主鏡のセンターにレーザーが照射されるように斜鏡の向きを調整する。これで斜鏡の調整は完了。
  追記:レーザーが主鏡のセンターマーク内に入ると反射位置がよく見えない。センターマークをもっと太く(中心部を小さく)したほうが調整はやりやすそう。
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5)主鏡の向きを調整。
  最後に主鏡の向きを調整する。反射し戻ってきたレーザーがコリメーターのターゲット中心に照射するように主鏡の向きを調整。下は調整前。
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そして調整終了。これでコリメーターを回転させても常に照射位置は中心から動かない。
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これで1ヶ月近くかかった作業は完了。
やっぱりレーザーコリメーターがあると調整が楽だ~。木製コリメーターは湿度やらで多少変形しそうだが、私にとっては十分な精度だろう。
早速フラットを撮影してみる。
まずはアダプタ改造前のフラット
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四隅に明確な減光が見られる。
次に今回撮影したフラット
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これは天井にLEDを照射して撮影したフラット、あまり均一な光があたっておらず前回との再現性も乏しいが、四隅の減光は明らかに減ったのがわかる。全体的にかなり満足のいく結果である。
  しかしこうなると、いよいよセンサ面のちりが気になる。何度拭いても増えたり減ったりですっきりしない。技術と道具の改善でなんとかしたい。