O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

4-3.kissDモノクロ改造(その1)ジャンクセンサーのCFA剥がしやってみた

4-3.EOS Kiss Digitalモノクロ改造(その1)  ジャンクセンサーのCFA剥がしやってみた
■2017年5月

  これまで赤道儀システムを構築し、望遠鏡の改造や植毛紙貼りを行ってきた。次はカメラだなぁ・・と考えている最中である。手元にはerr99の出るEOS kiss X2のジャンクがあるのでこいつを修理して解像度アップ(画素数630万→1220万)&ビット深度アップ(12bit→14bit)を実現したい。いや、その先の冷却改造まで考えようか?と夢ばかり見て手は動かさずネットばかり見ていた。そこでなんかすごい情報を得た。ほし夜の倶楽部さんのページでEOSをモノクロ化するというものである。初めなんでモノクロ化するのかよくわからなかったが、つまりは解像度のアップを実現するということのようだ。
  デジカメの仕組みを下図のようになっている(らしい)。各画素の前には赤(25%)、緑(50%)、青(25%)のフィルターが装着されている(CFA層)。その下層の光センサ部は画素サイズいっぱいに受光面をもっているわけではないので、より効率よく光センサに光を導くため、小さなレンズがフィルターの上に配置されている(マイクロレンズ層)。光センサーは光の強度しか記録できないため、こういう仕組みでカラー撮影を実現している。これをどのように現像するかと言えば、各画素の色を決める時はその周辺画素の色も考慮してカラー合成している。つまり指定画素の色はその周辺画素と合成して決めるので解像度は本来の画素数よりは低下したものしか得られない。
  
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  デジカメのモノクロ化とは、マイクロレンズ層とCFA層を剥がし、光センサ層のみにすることで、モノクロにはなるけれど本来の解像度が得られる。感度に関してはちょっと微妙である。マイクロレンズを取り除いたため光センサ部に導かれずに枠で反射する光が増加するため感度が低下する。一方、カラーフィルタの透過率により低減していた感度は、CFA層を取り除いたため回復することになる。いずれかの効果の大小で全体の感度は上がるか、下がるのかである。このあたりについては"Shooting Stars - 美しい星空の下で"さんが評価しておられる。機種により多少評価は異なるだろうが、おおよその評価としては、①解像度アップ、②感度はとんとん、③変なゴーストが出る、というものである。 ⇒後日談
  まあ、どちらにしても、こんなリスキーな改造は私としては手は出せない(笑。出して虎の子のEOSが撃沈されたら路頭に迷う。でも興味はあるので検索を続けるとCFA剥がしをやっている方は結構おられるようだ。
 
   ほし夜の倶楽部さん、 CentralDSさん、 夜空の星狩りさん
  pdidi1さん、 EsotericWorldsさん

  たぶん探せばまだまだいるはず。しかしすごい人たちがおられるものだと関心しながら拝見させていただいたが、あれ?そういえば我が家にもEOS kiss Dの壊れたCMOSがあったな~と思い出した。なんか雰囲気だけでも体験して見たくなった。
  ということでまずはCMOSのカバーガラスをはずしてみよう。ほし夜の倶楽部さんは無傷でカバーガラスを外す技術を持っているようだが、あまり詳しい情報はわからない。どうせジャンク品だし壊してもいいやという気持ちでトライする。使用するのは100均で購入したデザインナイフ。これでカバーガラスの接着面に刃を差し込んでいく。


やはり割れてしまった。
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  しかしなんとなく成功への道筋も見えた気がする。角から刃を入れるのだが、剥離箇所(動画の不透明に変わっていく部分)が長辺短辺の半分あたりまで進んだら、そこで止める。そして次の角からまた刃を差し込む。これを繰り返せばカバーガラスを割らずに外せそう。
  そしていよいよCFA層を剥離してみる。家に竹串があったのでそいつでごしょごしょセンサ面を削ってみた。
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中心部が削れてる。
この勢いでもう少し削ってみたのが次の動画。


なんか結構不安な雰囲気(笑。
こんなんでCMOS面が無傷で済むのか?
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このあたりまで削って終了。センサ面を剥がすと二層ある(ような)気がする。マイクロレンズ層とCFA層なのかルーペで見てもよくわからない。顕微鏡でみてみると、たぶん合ってる。マイクロレンズは本当にレンズっぽく見えるし、CFAはちゃんと赤緑青が並んでる。こんなののどうやって作ってるんだろ~な?
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手ごたえとしては、マイクロレンズ層とCFA層を一気に剥がすと剥がしやすいが、マイクロレンズ層のみ剥がした面からCFA層を剥がすのは剥がしにくい。とにかく一気に二層剥がしたほうがやりやすそう。道具も竹串ではちょっと・・・、かな。もう少し硬くて先端が平らになった道具を探してみよう。

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LEDライトの反射光を見てみると、二層を剥がした面はLEDライト光をよく反射している。たぶん、マイクロレンズやCFA層がなくなったので、光センサの枠部に反射しているからだろう。これが原因でゴーストが出るんでしょう。
  
その後、他の木材や彫刻刀で剥がしてみたが、結局竹串が一番うまく剥がせた。
しかしルーペで見ると、表面に細かい引っかき傷が多数見られた。これはちょっとダメだろうと思い、面貌に、自動車用コンパウンドやクレームクリンザーをつけて磨いた。
その結果が次の写真。
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写真では分かり難いが、コンパウンドで磨くと3層ほどの薄い膜を剥がしている。緑色とピンク色の膜が交互にコーティングされているようだ。この薄膜を均一に磨き取るのはちょっと難しそうだし、そもそも剥がしてもいいものかどうかも不明。しかも磨いた跡にも小さな傷が見える。コンパウンド系で磨くのはちょっとダメっぽい。
一部拡大してみると
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このような傷があちこちにある。これが竹串できた傷ならもっとあちこちにできてそうだが、それほど数が多いわけではない。ということは剥がしたマイクロレンズなどがこすり付けられてできた傷かな?そうであれば、削り取ったカスを丁寧に除去しながら進めればこの傷もなくなるかも。

あと、センサ周辺にあるワイヤーを保護しないと。ちょっとした油断ですぐに切断してしまいそうだ。
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エポキシを流し込んで固めてしまう。ただエポキシはちょっと粘度が高すぎてうまく流し込めれるか不安である。エポキシを薄める方法もよくわからないが、とりあえず手持ちのエタノールで薄めてみる。二液を混ぜてから薄めるのではなく、A液B液をそれぞれ薄めてから混ぜる。そしてスポイトで吸い、ワイヤの間に流し込むのだ。
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下写真の左はエポキシを薄めないで流し込んだ。けっこうもっこりする。
右側はエポキシを薄めてスポイトで流し込んだ。うまくできたと思う。
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しかし途中スポイトの中でエポキシが固まり始め、最後の方はうまくいかなかった。
いい方法だと思ったが見直すところは多そうだ。
エポキシが固まれば、ワイヤ部の保護はばっちりになるだろう。
※後日談
  ワイヤー保護のエポキシ注入はなれれば薄めなくてもうまくいくようになった。多少もこもこするが慣れれば大丈夫。