O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

4-3.KissDモータレス改造(その1)

4-3.EOS Kiss Digitalのモーターレス改造(その1)

■2017年11月
  モノクロ改造の泥沼に足を踏み入れてから狂ったようにKissDをヤフオクっていて、また新たに落札した(1コイン)。これでKissDだけで7台入手したことになる。おかしい!明らかにおかしいよね。私はどこで人生を踏み外してしまったんだろうと自問してしまう。モノクロ改造も行き詰っており、人生の希望の光が見出せない状態だ(笑。
  そこで少し路線変更。CMOSセンサはどんどん破壊しているのだが、ボディはたまっていく。前にシャッターレス改造した時の続きとしてモーターレス改造をやってみよう。
  まずはシャッターレス改造部のおさらい。シャッター部の接続は下写真のようになっている。

シャッター巻き上げはモーターを駆動して巻き上げカムを回転させる。カムの回転位置は接点(写真右下)で検出しており、ホームポジションとシャッター開位置の二箇所で停止するようになっている。

  ミラーは閉状態(ファインダーに動光)
  シャッターは巻き上げられた状態
・シャッター開位置
  ミラーはアップ状態(センサに動光)
  シャッターはリリース状態
  (開シャッター、閉シャッターをは電磁石で保持しており、所定のタイミングで動作)
 
  シャッターのインターロックは"開"シャッターと"閉"シャッターの動作(電磁石解放)と接点が連動するかと、モーター駆動時にカム回転位置を検出できるかの3点を見ているようだ。これらのインターロックを回避する仕組みを作ればモーターも取り外すことができる。
  まずはシャッターの動作から。シャッターレス改造時 には電磁石の駆動指令でリレーを動かし、リレーの接点をシャッターの接点に入力していた。リレーは大きいので今回はPICを使う。ただ、電磁石の駆動指令を直接PICに入力するのは電気インターフェース的にちょっと面倒なので、基板をよーくみて、電磁石の駆動指令の元を探す。基板の裏側を見ると下写真の接続であり、"開"&"閉"シャッター解放指令の大元がわかる。

小さなチップはたぶん電流駆動のためのトランジスタだろう。この大元の信号(黄色枠の)ならPICに直接入力できるだろう。
これらのインターロック条件を整理してみる。
1)"開"シャッターの正常動作
    電磁石保持 ⇒ "開"シャッター接点は解放 ("開"シャッター接点の電圧有り)
    電磁石解放 ⇒ "開"シャッター接点は短絡 ("開"シャッター接点の電圧ゼロ)
2)"閉"シャッターの電磁石を保持
    電磁石保持 ⇒ "閉"シャッター接点は短絡 ("閉"シャッター接点の電圧ゼロ)
    電磁石解放 ⇒ "閉"シャッター接点は解放 ("閉"シャッター接点の電圧有り)

以上から"開"シャッターは電磁石の指令値をそのまま接点信号に接続すればよい。
"閉"シャッターは論理反転させれば良いので、PICに入力し論理反転させる。

次にモーターとカム回転位置のインターロック回避について整理する
1)EOS起動時        ⇒ カム位置はホームポジション
    ホームポジションでない場合はモーターを回転させホームポジションに移動(※)
2)シャッター押下時 ⇒ カム位置を開シャッター位置まで回転
3)撮影終了時       ⇒ カム位置をホームポジションまで回転(巻き上げ動作)
※1余談であるが、KissDで電源を入れるとシャッターがカシャカシャ何度も連射してからErr99が出る場合はこのカム位置の検出ができない場合に起こる。私の場合はコネクタの接触不良でしたが・・・。

これら一連の動作をPICで模擬してやればいいはずである。
必要な結線を下写真4枚で示す。

  ①"閉"シャッター模擬信号(シャッター接点)            :PIC⇒EOS   (TTL信号)
  ②ホームポジション信号(カム回転位置)                 :PIC⇒EOS   (TTL信号)
  ③開シャッター位置信号(カム回転位置)                 :PIC⇒EOS   (TTL信号)
  ④"開"シャッター電磁石解放指令(シャッター解放)  :⑦に直結     (TTL信号)
  ⑤"閉"シャッター電磁石解放指令(シャッター解放)  :EOS⇒PIC    (TTL信号)
  ⑥モーター駆動指令(シャッター巻上げ動作)          :EOS⇒PIC     (モータ駆動レベル)
  ⑦"開"シャッター模擬信号(シャッター接点)            :④に直結      (TTL信号)
 
シャッター制御部の基板(表面)

シャッター制御部の基板(裏面)

カメラ上部のフラッシュ部の基板

そしてPICの駆動電源(VDD)は下写真の4.8Vを使う。

PICの回路図を下図に示す。モーター駆動信号は元信号(TTLレベル)を探したが、ちょっと分からなかったのでフォトカプラでモーター駆動信号を受けるようにした。
 
模擬回路の状態遷移図
PICのプログラムを下記のように作成。処理的に冗長な部分があるとも思うが、一応これで動いている。なお①閉シャッター接点には、⑤閉シャッター電磁石解放指令を常に論理反転して出力している。

製作したPIC基板がこちら

動作確認中。この構成でちゃんと撮影できる(ただし確認しているのはマニュアルモードだけ)。

背面。

 

動作パネルや液晶は外してても撮影はできる。しかし時計電池を取り外した時の初期設定(時刻設定など)で必要になる。
  ※まあ厳密には動作パネルについているエンターキーだけあればいいんだけどね。時計電池を外した時はEOS起動時に時刻入力を求められる。この状態ではPCからのリモートキャプチャーソフトでもアクセスできないので、とにかくなんでもいいから時刻設定が必要となる。この場合盲目的にエンターキーを押せば(たぶん5回)初期設定時刻(1990年頃)に設定されて起動する。起動してしまえば時刻合わせはPCから設定できる。・・・が、オートパワーオフなどの設定はやはり必要なので、動作パネルと液晶は必要かな、と思う。それか、EOSの電源操作も赤道儀でできるようにするとかも手だが。

また将来的なカメラの改造の準備として、不要なパーツを特定していく。
カメラ上部のコネクタ部には、フラッシュやモード設定ダイヤル、電源SWなどがある。フラッシュは使わないし、モードはマニュアルしか使わない。下写真の右側がもともとのコネクタ形状であるが、不要部分をカットして左側のようにカットする。

モード設定ダイヤルと電源SW部の拡大。

シャッター制御部周辺の表面。

そして裏面。

 

カットする箇所でL字状のパターンは切らないように注意(下写真)

 次にファインダー部のナイロン基板。左がオリジナル。

これらのナイロン基板は結構じゃまになるので、もっともっと不要部分を排除していきたいのだが、今回はこの辺で終了。

ちょっと時間が経ったが、さらに不要部分の排除を進める。
次に問題視するのがカメラ上部のコネクタだ(下の写真の赤枠のやつ)。

 

これは大きくてすごくじゃま。
コネクタとして機能している接続も、
    ①電源
    ②撮影モード(M固定)
    ③”開”シャッター接点     
             ・・・だけだしね。
考えた結果このコネクタを廃して、基板から必要結線を直結する(下の写真)。今は基板が何枚もあるので失敗しても替えがが効くしね。

ちょっと小さくて工作的に自信がなかったがだめもとでコネクタを引きちぎった。幸い基板パターンの損傷は少なかったが、次やるときはもう少し考えて取り外そう。
そのコネクタ跡のパターンに必要結線をする。コネクタは20ピンで写真右側を①とし、①~⑳のピンのうち、下記点を引き出す。
  ⑥ "開"シャッター接点(100Ωとダイオード経由で接続※本来はナイロン基板上にあり
  ⑪ 電源SW(GNDと短絡でON)
  ⑭ 撮影モード(⑰と短絡でMモード固定)
  ⑰ 撮影モード(⑭と短絡でMモード固定)

電線の素線を慎重にハンダ付けする。

エポキシで根元を固める。

そして電線を取り付け、さらにエポキシで固定。

以上で必要最小構成のコネクタ接続化が完了した。
下写真のように①~⑥のコネクタ接続でマニュアルモードでの撮影が可能なことを確認した。

これでスッキリした。  いや・・・・、だから何っ?と言われても(汗。
将来カメラを改造することを考えているんだけど、それができそうなことなのか評価してみたというわけである。
一応目指す姿は、モノクロ化&冷却&5連フィルター装着&オフアキ である。
実現はいつになるやら・・・。