O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

4-3.KissDモノクロ改造(その8)

4-3.EOS Kiss Digitalのモノクロ改造(その8) 化学的アプローチ

■2017年12月
  もう俺は止まらない!  誰も俺を止められない。 綺麗な無傷のモノクロCMOS面を拝むまでは突き進んでやる!   ガオォー<`ヘ´>        (本心⇒誰か止めて~(ToT) )
新たに落札したKissDのセンサのクリアガラスを取り外し、エポキシでワイヤ保護を行う。エポキシは今まで適当に盛ってたが、今回はマスキングテープを使ってみる。
マスキングテープでセンサ面を1~2mmの余白を取ってマスクする。そしてワイヤ部にエポキシを流し込み、テープについた余分なエポキシを面貌でふき取る。

さらに盛りすぎた分はカッターの刃ですり切り、取り除く。
そして直ぐにマスキングテープをはがす。エポキシは数分で粘度が増してくるので、できるだけ早く作業する。

この方法で4辺にエポキシを盛る。
下写真のように今までで一番うまく盛れた。

  さて・・・・、
これまでの物理的アプローチでは限界を感じたため、今後は化学的アプローチに移行する。ということで今回仕入れた新しい武器”アロンアルファのはがし隊”。ホームセンターで溶剤的なものを探して目に留まったもの。これが効果あるのか否かわからないが、とりあえず試してみる。

センサ面に垂らしてみると見る見る表面が溶けていくような感じ。軽く竹串でこすると透明になっていく。もしかしてうまくはがせた?
中央付近をルーペで見ても、どの面まで剝がせたか分からない。顕微鏡で見るとしっかりCFAが見えている。はがせたのはマイクロレンズ層だけのもよう。

その後なんどもトライ。はがし隊を塗って一晩とか置いたが、CFA層はびくともせず。竹串で力いっぱいこすると剥がれるが、それは(その1)と同じで物理的力で剝がしていることになり、傷もつく。

ここで武器を変えてみよう。アマゾンとダイソーで似たものを購入した。
・・・が、これらはまったく役には立たなかった。いや・・・、PR200は最後のクリーニングでちょっと役には立っている。はがし隊を取り除いたあと、その拭き残しがしつこく残るのだが、それをPR200は剝がしてくれる。

その後試行錯誤を繰り返し巧妙が見えてきた。第一層まではがした後に”はがし隊”を塗り、しばらくおいて竹串で軽くこすると、第一層が綺麗にはがれ、第二層がでてきたのだ。下写真の中央右下あたりの第一層が出ている箇所に注目。

”はがし隊”塗布後に竹串で軽くこすると第二層が綺麗に出てきた。

これはいけるかも ーーー ヽ(^o^)丿
下写真右上部でもう一度練習してみる。
しかしCFA層をはがす時に、食い込んで削りすぎてしまい、第一層も削り取ってしまうところが出てくる。これはその6でも問題になっていた点だな。

その箇所に”はがし隊”塗布して、いわゆる化学力ではがす。
削りすぎてしまった箇所も、第二層までは傷つけておらず綺麗な面が出てきた。
     ”化学の力だよ”  ガーゴイル風→漢字が違うけど)

 

光明が見えてきたところで、ちょっと状況を整理。
センサ面は下図のような構造をしていると思われる。
上から、マイクロレンズ層、CFA層、そして光センサ層なのであるが、マイクロレンズ層とCFA層は接着層で接着されている。そして光センサ層は黄金色のセンサ保護層で保護されており、その上の接着層(第一層)により、CFA層と接着されている。
※第一層はややピンク色で、第二層(センサ保護層)は黄金色である。

 
センサ保護層までを剝がし取り、モノクロセンサとするための手順を下図に示す。
①まず、CFA層までをCFAはがし器で削り取る。
②第二層(接着層)を”アロンアルファはがし隊”で溶かして竹串でこすり取る。はがし隊は拭いてもこびりつきやすいので、接着剤はがしPR200などでふき取る
③モノクロセンサ完成!

しかし課題も残っている。
一つ目は、CFAはがし器で剝がす時にCFA層まででなく接着層(第一層)も削ってしまう点。これはその6で問題になっていた話だが、その5では発生していない。つまりその6でのはがし器の刃の改造により発生しやすくなったものだろう。調査の結果、幅が広い平刃で一気にCFA層を削り取る時に、食い込んでしまってより深く削り取ってしまう問題と思われる。解決策としては、多少円刃(彫刻刀の)っぽくするか、もしくは刃幅を狭くする。
二つ目は、”はがし隊”はエポキシも溶かしてしまう点。ワイヤ保護のためエポキシで固めている所を容赦なく溶かしていく。今回のセンサは、エポキシが溶けてワイヤ部を数箇所切断してしまい”おしゃか”となった。

さて対策であるが一つ目については、刃の形状を修正する。二つ目はエポキシ部に付かないようにひたすら注意する(笑。

刃の形状修正であるが、#2000のダイヤモンドホイールを使い、手で適当に削った。なんかちょっとメンドクサクなっているので・・・。
で修正した刃は次の通り

あまり美しくできなかった。
でもセンサ面を削ってみると(さらに新たなKissDのセンサです)

なんか、サクサク削れる。センサ面上をまさに滑るように”じょりじょりっ”と刃を進めることができる。刃の修正はちょっといい加減だったけど、なんか大成功!  旋盤と同じだな。切削幅が大きいと切削抵抗が大きくなり、食い込んでしまう。切削幅を小さくすれば切削抵抗も小さくなり、スムーズに切削できるということだ。
そしてセンサ全面を削り取る。まだ”まだら感”が残っている。これはその5の成果と同程度。これは第一層(接着層)が見えるまで削った状態。

その5から踏み込んだのは周辺部。1~2mmほど余分に削り取った。これまではダメなんじゃないかと遠慮していたが、どうやら4辺の内、3辺は余分に削っても大丈夫なもよう。1辺はセンサ縁になにやらパターンのようなものがあるので、それらはエポキシでガードして、パターンのようなものは傷つけないように0.5mmほど余分にはがした。

そして今回新たに得た知見である、”アロンアルファはがし隊”により、センサ中央部の第一層を化学的にふき取った。 
            化学の力だよ       (ガーゴ・・・)。

そしてカメラを組み上げ、R-100Sに取り付けてフラットをパシリ。

う~む、まあまあイケているかな。周辺部はまだ第一層が残っているので”まだら感”が強いが、”はがし隊”でふき取った中央部も多少”まだら感”が残っている。
よーし、どーせなら、コンパウンド(自動車用)で磨いてやろう。
ということで、はがし隊で全面を丁寧にふき取ったあと、面貌にコンパウンドをつけて磨きこんだ。目で見た感じではそれはきれいなセンサ面が拝めましたよ。でも中央やや右に傷があるねぇ。ルーペでまじまじ見たが、これは刃で第二層もけずれてるもよう。ちょっとショック(涙。
そしてフラットをパシリ。

  ちょっと微妙だが、十分綺麗なフラットだと思う。コンパウンドの研磨時は、中央に丸を描く感じと4辺に沿って面貌を動かしたが、見事その軌跡の部分が明るくなっている。コンパウンドでの研磨をうまくすればもっと綺麗になりそう。でも目で見た感じではどこが磨けているかは分からないので、均一に磨くのは難しそう。また周辺を綺麗に磨くためにもっと細い面貌のようなものを用意したほうがよさそう。
※追伸 コンパウンドで磨くのは物理力になり、制御が難しいのでできれば化学力のみで処理したい。
  次に28mmのレンズをつけてベランダからパシリ。うん、これくらいの明るさであればセンサ面の”まだら”はまったくわからないな。

追伸:その2ではゴーストが出やすいのだろう、とか書いていたがそれは間違い。下写真にあるようなセンサ面があかるく写るのは、カメラケースの隙間から入り込む迷光であった。下の写真のように写るのでおかしいな~と思い、布でカメラを包んで撮影すると、上のような綺麗な写真が撮れた。

その後しばらく晴れなかったが、やっと星空が広がったので望遠鏡をベランダにセットし、馬頭星雲を撮影。まずは一枚ダークフラット補正なし。

前回とくらべセンサ面のまだら感は劇的に減っている。この画像を見ると、モノクロ改造の合格点まで後一歩と言えるだろう。この画像を5枚コンポジットし、フラット&ダーク補正したものが次。

  日時:2017年12月20日 / 月齢1日 /  空透明度80% / 気温5℃ / 撮影場所:西南ベランダ
  撮影内容:馬頭星雲 / フィルター:LPR-N+SC62 / 鏡筒回転角:90° / 5枚コンポジット
  撮影:kissD(IR&モノクロ改) / R-100S(D=100mm f=600mm) / 露光:720sec / ISO:1600

擬似Hαフィルタをつけていたとはいえ、720sec露光でもヒストグラムが1/4以下なので、これの4~5倍は露出できそう。モノクロ改造で感度はだいぶ下がったよねぇ。

翌々日も晴れだ。寝る前にベランダに出ると雲一つない星空。これはがんばって睡眠不足にならねば・・・、と寒空のしたごそごそ設置。今日はばら星雲だ。どこまで露出を伸ばせるのかチャレンジしてみる。

      日時:2017年12月21日 / 月齢3日 /  空透明度75% / 気温3℃ / 撮影場所:西南ベランダ
      撮影内容:馬頭星雲 / フィルター:LPR-N+SC62 / 鏡筒回転角:90° / 1枚のみ
      撮影:kissD(IR&モノクロ改) / R-100S(D=100mm f=600mm) / 露光:37min / ISO:1600

37分の露出でも、飽和まではかなり余裕がある。1時間くらいまで露出できそうだったが、そんな長い露出は実用的とは思えないので途中で中断した(結局37分)。今後は30分露出を撮影上限にする。
  モノクロ改造前(1月)に、擬似Hαで撮影したバラを比較のため掲載する。

中央部分のピクセル等倍画像を比較してみると・・・、

露出時間も異なるし、モノクロ改造前のは4枚合成、改造後のは1枚処理という違いがあるが、”モノクロ機、大健闘”という印象。
モノクロ改造やってよかった━━ヽ(゚ω゚)ノ━━!!
さて、モノクロ機の37分(2260秒)のヒストグラムのレベルを確認してみる。まずは、YIMGのデフォルト現像でのヒストグラムを見てみる(下図)。

ピクセルは75%程度で、GBピクセルは50%程度である。Rピクセルは感度が低いので現像時に輝度を上げているのだろう。ただ、これはYIMGのデフォルトの設定現像である。リニア変換ではどの程度の輝度なのだろう?そこが知りたい。そのため、自作のモノクロ現像ソフトで現像(輝度はリニア変換)した画像をYIMGで読み込んだ(下図)。モノクロ現像しているので、RGBピクセルは全て同じとなる。リニア現像だと、輝度は25%もいってない。37分でこれだと、50%程度の輝度にするには1時間ほど露出しなければならないということだ。そんな長時間露出は雲もやってくるし苦しいわな。やっぱりモノクロ改造して感度だいぶ下がってるからね。でもモノクロ改造路線は堅持したいので、じゃあ次はどうする?望遠鏡の口径アップか、高感度のカメラか、迷うよね。EOS 20DだとISOは3200まであるし(kissDは1600)、とりあえずその方向を目指そうかな。