O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

7-6.ThinkPadT60 LED化

7-6.ThinkPad T60 バックライトのLED化改造

■2018年1月
  最近PC(ThinkPad T60)のSWを入れると液晶が赤っぽくなってきた。でも1分くらいで元に戻るのであまり気にしていなかったのだが、ある日液晶が突然消えた。再度電源を入れなおすと液晶は点灯するが数分でまた消える。どうやらバックライトの寿命っぽい。ネットでいろいろ調べると、バックライト用のランプである冷陰極管(CCFL)か、そのインバーターの可能性が高いとのこと。修理する方法をいろいろ探していると面白い記事を見つけた。バックライトのLED化というお話である。しかも、その商品がこれまた安い(インバータはこちら)。なんかふらふら~っと、購入してしまった。
ThinkPad T60ではバックライトの長さは285mm、インバータ入力9~25Vを購入。
まずパネル周辺の分解。

パネル下部にインジケータ用LEDとバックライト用インバーターの基盤が収まっている。

MP1010Bのデータシートを調べてピン配置を確認する。
下写真から引き出す線は①DC20V、②GND、③Enable、④Dimmingの4線。

ちなみに購入した商品。安かったので、ディスクトップPCのLED化も考え、その部品も購入した。

パネル部をばらして冷陰極管を取り出す。あちこち両面テープで止められており、力任せにカッターで切りとってはずしていけばいいのか悩ましい。冷陰極管は写真下部のコの字形状のアルミ部に納められている。これは遮光用の枠になるのだろう。ここは両面テープで留められているので写真のように手でめりめりっと手前に倒していく。カッターであちこちへばりついている両面テープを切りながら。

おでましになった冷陰極管。写真下に構造のポンチ絵を記している。コの字形状のアルミガードの最下部に冷陰極管が配置されている。これをLEDランプに置き換えるのだ。

冷陰極管とLEDランプ。

LEDランプの背面に両面テープを貼り、コの字形状のアルミガードの底面に貼り付ける。  ※二回目の修理時にエポキシで固定した。LEDの熱を少しでもアルミガード部に逃がすため。

次にインバータの取り付け部を加工する。液晶パネル下部に下の基板が収まっている。そこに、LED用インバータの基板を配置しなければならないので、場所をどうするか考えなければならない。

まず、LED用インバータ基板の加工。そもそも本製品はコネクタがついていなかった。購入ページにはケーブルのついたコネクタがささった写真が掲載されているのに、よく見ると一文(インターフェースケーブルは別売品)とある。いや、確かに赤文字で強調はしているがインターフェースケーブルって何かわからんし、写真にどーんと載ってたらわからんがに・・・。まあ、どのみち、設置場所の関係上コネクタは無しで使うことになったのでいいんだけど・・・(と不満たらたら)
下写真のようにコネクタを外し、ケーブルをハンダ付けして使う。基板も不要部分は切り取る。

ThinkPadのオリジナル基板も、インバータ部分をカットする。

そして背面を薄いアクリル板を使って両面テープで固定し、必要結線を行う。

EnableとDim信号線はちょっとハンダ付けが細かくて手こずるが一応ハンダ付け。

コネクタ部はこのようにハンダ付け。

仮組みし、電源ON!    液晶点灯キター━━ヽ(゚ω゚)ノ━━!!

多少下側がランプのまだら感があるが、ほとんど気にならない。

インジケータのLEDもちゃんと点灯しているので、これでいけそうである。

背面側の導光パイプが一部基板上のケーブルと干渉しそうだったので彫刻刀で削った。

最後にケーブルをエポキシで綺麗に固定して、いざ本組み立て。

問題なく組みあがり、しばらく使ってみた。

画面はまぶしいくらい明るい。ちょっと明るすぎるので輝度を下げようとFn+▼ボタンを押しても暗くならない。あれ、なぜ?と思い、今度はFn+▲ボタンを押すと暗くなった。輝度信号の論理が逆のようだ。しかしながら最低輝度にしてもまだ明るい感じ。まぶしいというか、真っ白っぽいイメージ。カラーバランスもずいぶん変わったようだ。ディスクトップオプションのカラーバランスで、赤みを少し強くすれば違和感は減った。
  その後しばらく使ってみたが、だいぶ慣れてきた。多少目の負担が上がった気はする。これはあれか!ブルーライトの強さなのかな?
今後の話ではあるが、ディスクトップの液晶についてもLED化しようかなと考えている。まだ大きな不具合は出ていないのだけど、インバータのブーンって音が結構耳障りになってきたので、LED化で静かな環境にしようか悩み中。でもブルーライトの光はちょっと疲れそうだし・・・。

※後日談
  やっぱりちょっと明るすぎる感じだ。適当に改造してもう少し暗くしたいのだが、もう一度液晶部をバラす元気が出ないなぁ。

ちょっと面白いことに気がついた。一定時間操作が無かった場合にディスプレイを暗くする機能が働くと暗くなるのではなく明るくなる。まあ確かにそうだわな。論理が逆なんだから・・・。

そして運命の瞬間は訪れた・・・

しばらく使っていたのだがやはりまぶしい。なんか目がすごく疲れる。慣れるかなと淡い期待を抱いていたが、全然慣れない(笑。
とにかくバックライトを暗くしなければ・・・。とりあえずインバータの明るさ調整(Dim)の信号レベルを下げたりしてみようと考え、Dim信号を外部に引き出した。まずは信号レベルをテスターで計測だ! パソコンの電源ON!  あれ? 液晶が点灯しない。え~っと、なぜ? ちなみにDim信号は・・・。0V?   でも良く見るとなんか液晶にはうっすらと起動画面が見える。もしかしてバックライトが点灯していない?
壊れた~~~!
   壊れた~~~ 
        れた~~~
              壊れた~~~
                      壊れた~~~



その後いろいろ調べたけど、やっぱり壊れてて(涙
マザーボードからのバックライト電圧(DC20V)が出ていない。
もういや!消えてしまいたい・・・。

 
しばらくは本案件からは目をそらしていたが、メインPCがなくなるといろいろ不便が生じ出したので、心を入れ替えて本案件に向き合った。
バックライトインバータのEnable信号とDim信号は生きていて、DC20Vが死んでいる。
液晶部を分解して原因が判明。LEDライトの+線が破断している。おそらくケースに挟んでネジ締めの時につぶしてしまい、ショートしたのだろう。


マザーボードのヒューズが切れたのであれば修理は可能では・・・、と前向きに考えることにした。必死でテスターをあてて接続を追う。そしてコネクタ横のP記号の素子がヒューズらしいことを突き止めた。でもヒューズはF記号だよねぇ。ネットで調べてみるとP記号のヒューズもあるらしいのでたぶんそうなんだろう。
また、なんとなく理解したのだが、こういう素子を取り外すには二股のハンダゴテみたいなのがあるのだろうということ。ネットで探すとありましたよ、ホットツイーザーというらしい(下写真)。



話戻して・・・
このヒューズ部を直結すればいいだろうが、同じ失敗(ショート)したらマザーボードがおしゃかになるので、やはりヒューズを入れたい。ジャンクのパソコン部品からF記号の素子を探して取り外ずした(下写真)。しかし小さい!容量も不明。まあ心の安心としては意味があるよね。素子にケーブルをハンダ付けし、エポキシで固めた。

そしてP記号の素子を取り外そうとハンダゴテをあてるが、手持ちの27Wハンダゴテではパワー不足で歯が立たない。しばらく悩んでいたが気がついた。切れたヒューズは別に外さなくてもいいということに。下写真のようにヒューズを接続したらいいのだ。

マザーボードを筐体に取り付けた様子。ヒューズは下写真の場所から顔を出す。これで部品を仮組み上げて電源を入れたらしっかり液晶は点灯した。よかったーーーー。

 
よーし、なんか世界が幸せの方向に廻ってきたぞー。この勢いで明るすぎるバックライトの問題も解決しよう。
  まずは現状の整理。Dim信号のレベルを慎重に計測すると0.75V~3.3V。Dim信号のレベルは仕様範囲いっぱいなので信号レベルの変更で輝度調整は無理だろう。次にLEDランプの電圧と電流を計測する。電圧8.6V、電流200mA。LEDは48個ついており、接続は3直列×16並列接続。LED1個あたり12.5mAである。インバータの素子を調べてみると電流制御であり、インバータ部の改造は寸法的に難しい。なのでLEDと並列に抵抗を接続してLEDの電流を下げることにする(下図)。


抵抗をハンダ付けして・・・

抵抗は液晶部の上側の位置に取り付ける。

抵抗のワット数は容量ぎりぎりなのでエポキシでケース部に固定し少しでも放熱するようにした。


これで液晶の明るさはばっちりちょうどいい暗さになった。
しばらく使っているが、抵抗部が異常に発熱したりすることもなく、目にもやさしい明るさになった。完全復活である。カラーバランスはオリジナルからちょっと変わったが、色補正すれば自然な色になる。またディスプレイの発光はオリジナルより均一だし、大成功な改造であった。
遠からぬ将来、ディスクトップPCの液晶もLED化しようっと!

※後日談
  しばらく気がつかなかったのだけど、上記のLEDディスプレイは欠点があるようだ。パソコンがAC駆動の時は問題がないが、バッテリ駆動の時にディスプレイがちらつく。バッテリ駆動の時にはインバータがうまく機能しないようだ。まあ私の場合はAC駆動での使用がほとんどなので、特に問題にはなっていないのだけど・・・。

※2020年9月追記
 ThinkPadT60はまだまだメインPCとして活躍している。速度的に、特にweb速度はちょっとイライラするくらいだが、なんとか使えている。LED液晶もばっちり問題ない。ただバッテリーが異常発熱するようになったので、バッテリーを外して使っている。ノートPCの意味はほとんど無いのだが、省スペースということでメインPCになっている。

■おまけ作業
  上記の作業中にThinkPad T60のジャンクを銀貨4で落札した。LEDバックライトが不採用になった時に備え、部品取り用として入札したら予想外に安く入手できた。液晶と本体は分離されヒンジ部もなく、まさにジャンクというやつ。しかしこいつのおかげでヒューズの特定などできたので十分に役に立った。
  LED化改造がうまくいき、このジャンクPCに向き合ってみた。液晶と本体を繋げて電源を入れると"Fan error"というエラーメッセージが表示されビープ音がけたたましく鳴った。でもESCキーを押すと起動は進みBIOS画面まで確認できた。CPUファンが回らない不具合が故障の原因のようだ。ネットでFan errorで検索すると、ファン部にほこりがたまりファンが滑らかに回転しないのが原因という情報が多数出てくる。でもこのPCのファンはそれほどほこりはたまっていないし、ファンも滑らかに回転する。テスターでファンの電圧を測ってみたが、電圧ゼロ。どうやらマザーボード側に問題がありそう。今回のLED改造でパソコン修理に自信を持つことができたので、このジャンクPCのファン異常に対しても前のめりに取り組むことにした。
  まずはマザーボードのチェック。ファン電源のラインをテスターで計りまくり、大元の
トランジスタMOSFETという種類らしい)を突き止めた。その回路図から直ぐ横にあるN文字の素子があやしい。N文字の素子の抵抗を計ると無限大。これはますますあやしい。こいつがヒューズで、こいつが切れたことがファン異常の原因なのではと推測。MOSFETとヒューズの位置を下写真で示す。


素子には"658P"と記されている。このD端子がファンモーターの駆動ラインに繋がっているのだ。ということはその横のN文字の素子はヒューズとなる。


658Pのデータシート抜粋


接続例が下図。負荷部にはファンモータが接続されており、VCCのラインにヒューズが挿入されているのだ。


ということで、またまたヒューズ部の修理となる。前回用意した(ジャンク基板から取り外した)ヒューズが余っているので、こいつを使う(アンペア数は不明)。まずケーブルを両端にハンダ付けし、エポキシで補強。


そして切れたヒューズ部に接続。

これでファンは正常に回転するようになった。なんかいろいろうまくいったので自信がついてきた。これまでマザーボードに不具合が出たら修理は無理だろうっと思っていたが、結構ヒューズで保護されているのだと理解した。そういえば数年前HDDレコーダーが壊れて、その後放置していたのを思い出した。あれももしかして復活できるかも・・・。