4-3.EOS 20Dのモノクロ改造(その11)
■2018年10月
モノクロ改造もKissDigitalの8台の犠牲の上に、十分な知見が得られた。後残っているのは、CFA層を剥がす時の”匠の技”だけだ。つまり手順や装備(CFA剥がし器)は最低限手に入れたのだが、作業間隔が長すぎてコツなどを忘れ去ってしまっているのだ。そうであれば今手持ちの全戦力を一機に投入するまでだ。手持ちはEOS 20Dが3台。こいつを一気に加工すれば、一つ目では失敗しても、2つ目ですぐにリカバリーできる。そう、3連ドム・・・。
さっそく3台の20Dをばらし、センサを取り出した。まずはクリアガラスの取り外しである。前回、0.1mm厚のカミソリを導入しコツも掴んだので、意気揚々と作業に取り掛かる。
角が次々割れていく(涙
結果、3枚ともバキバキの大失敗。
あれ・・・?。これはあれだ。うん、そう。Kiss Digitalと20Dでは明らかに異なる。20Dのほうはあまりにすぐに割れる。ガラス側の問題か接着材側の問題かはわからないが両者が異なることだけは断言できる(震え声)。
では気持ち落ち着かせて・・・、センサのワイヤ部を保護するためマスキングテープを貼りエポキシを盛ろうとした時!!! 何か歴史の歯車が大きく逆回転するような光景が。
マスキングテープを貼る時に少し位置ずれたので位置修正のため一旦剥がしたら、テープに何かが張り付いている。
これ、どう見てもセンサ表面の”何か”が剥がれたんだよね。何これ?
もう一度センサにマスキングテープをごしごし張り付けて、ぺろって剥がすと・・・。
明らかに”何か”が剥がれている。しかも淵の青色部分まできれいに。
「何これ!?」と少々パニックになる。KissDigitalではこんなことは起きなかった。そういえば20Dの一台目をモノクロ改造した時はマスキングテープは使ってなかったな。感じからしてCFA層が剥がれたように見えるが、しかしセンサ表面で反射している光には赤緑青の三色が写っているので、CFA層は剥がれていないの? KissDigitalのモノクロ改造したセンサを見てみると、反射の様子は少し違うがやはり三色の反射がある。ということはやっぱりCFA層が剥がれたのか・・・。謎が謎を呼ぶ。
他の20Dでも同じなのか?と、もう一つのセンサもやってみたら同様に”何か”が剥がれた。とりあえずNo.1センサだけはそのままにし、No.2と3のセンサをテープで剥がした。
No.3の方は一か所線状に剥がれないところがあった。しかしこれが何かもわからないので、とりあえずこのままにして撮影してみよう。
20Dの実証試作機の組み立てから。まあベースはKissDigitalのものだから基板の取り付け部だけ修正するだけでOKだ。
早速窓からの夜景をパシリ。
うわー、モノクロになっとる~~~ (゜o゜) ボーゼン。
え~ほんまかー? なんか違うんちゃうかぁ。
そうそう、一か所線状に剥がれなかった部分(中央下部)をモノクロ現像して拡大して見てみる。それがこれだ!
剥がれなかった部分だけCFA層が残っている。ということはやっぱりモノクロになってるー(;´Д`)。
喜んだらいいのか、悲しんだらいいのか・・・。だってマスキングテープでCFA層を剥がせるんだったら、さんざん時間をかけてきたCFA剥がし技術は何だったの?ってなるもんねぇ。いや、しかしKissDigitalではマスキングテープで剥がれなかったのは確かなんだし、今後(遠い将来)トライする(かもしれない)X2でふたたび必要になるかもしれないし・・・。となんとか慰めの言葉を並べて心の平静を保つ。
では次はフラットの評価だ。R-100Sに実証試験機を取り付け、天井をLEDで照らしてフラットを撮影する(ISO 100 バルブ 6秒)。画像処理ではモノクロ現像してレンジを0-255から63-77に変更しフラットを強調している。
う~ん、多少糊のようなものがついているが、傷などは見当たらない。今までモノクロ改造した中で一番の出来だ。このNo.3センサはこのままにして、次にNo.2センサの評価に移る。
・・・少し日数経過
マスキングテープでセンサ表面のマイクロレンズ層とCFA層は剥がせることは確認したので、センサ面に残った微妙な糊状のもの(たぶん接着層の剥がれ残り)を拭き取ればいいんだと思う。KissDigitalでも使ったPR200で拭いてみる。それと油性塗料の薄め液(シンナー)とレンズクリーナーでもやってみた。
綿棒につけてセンサ面をふきふきするのだが、レンズクリーナーではほとんど取れない。PR200が良さそうだが最後にPR200自体がセンサ面に残るイメージ。また綿棒だけだと接触面が少ないので結局ティッシュでぐいぐい拭いた。
目でみる限り微妙にまだら感が残っている。まあこれで試写だ。
風景を撮っている限り問題は無さそう。ではフラットはどうだろうか?
う~ん、綿棒でぐるぐる拭いた後があるし、上下の端はなんか拭けてないような残った感があるなぁ。これで夜空を撮ってみる。この日は透明度は相当低く、冬の三角がかろうじて見える程度だった。50mmレンズを付けて天頂付近をパシリ。画像処理では上で撮ったフラット処理の有無を評価。
フラット補正なし
フラット補正あり
日時:2018年10月15日 / 月齢6日 / 空透明度40% / 気温18℃ / 撮影場所:西南ベランダ
撮影内容:天頂付近 / フィルター:なし / 鏡筒回転角:適当 / 8枚コンポジット
撮影:EOS 20D(モノクロ改実証試作機) / 50mm F1.7 / 露光:2.5sec / ISO:1600
フラット処理をすれば使えそうだ。今までのモノクロ改造では断トツ一番の仕上がりだ。もう少し拭いてみよう。今度はシリコンスプレーも使ってみた。
結構しつこく拭くとかなり綺麗になってきた。というか中央付近だけ色味が薄くなってきた。拭いているとどうしても中央付近が多く拭いてしまうのだろう。中央部分のコーティング面が擦れて薄くなっているような感じ。拭くときはできるだけセンサ面を均一に拭くような工夫が必要そう。ではフラットはどうか?
おお!これはなかなかいいんでない?中央付近がやっぱり拭きすぎ感があるな。でも暗くなっているのはどういうこっちゃ? 拭きすぎなら明るくなるような気がするけど・・・。でもまあこの方法でいけそうだ。ただ中央付近に縦縞が出ている。これはちょっと気になるがこのセンサは私の要求仕様を最低限満たすセンサであるのは間違いない。別の日に星空も撮影。
日時:2018年10月19日 / 月齢10日 / 空透明度40% / 気温17℃ / 撮影場所:西南ベランダ
撮影内容:天頂付近 / フィルター:なし / 鏡筒回転角:適当 / ダークなしフラットなし
撮影:EOS 20D(モノクロ改実証試作機) / 50mm F1.7 / 露光:4.5sec / ISO:800
撮影内容:天頂付近 / フィルター:なし / 鏡筒回転角:適当 / ダークなしフラットなし
撮影:EOS 20D(モノクロ改実証試作機) / 50mm F1.7 / 露光:4.5sec / ISO:800
フラット補正なしでもセンサ面のまあだらは見えない。いけてるいけてる。
モノクロ改造(その8)で書いた”綺麗な無傷のモノクロCMOS面を拝むまで”は取り合えず達成だ。でもマスキングテープで剥がれてしまったので、技術的達成とは言えずちょっともやもや感は残っている(^^;)。
これで亡くなった多くのCMOSたちにもたむけができた。もう予備パーツのジャンクカメラをオークショる日々ともさよならだ( `ー´)ノ
残りの2つのセンサがあるので、こいつらをどこまできれいに仕上げる(拭ける)かが次の挑戦で、その先に続く改造カメラの製作までまっしぐらだ ('ω')ノ オー!
追伸
No.1センサもマスキングテープでCFA剥がしやったんだが剥がれない。なぜ?おそらく同じ20Dでもロットにより違いがあるようだ。型番をメモすると
No.1:BO408207 ⇒マスキングテープでCFA層剥がれない
No.2:BO377817 ⇒マスキングテープでCFA層剥がれる
No.3:BO458305 ⇒マスキングテープでCFA層剥がれる
まあこれだけ見てもよくわからない(^^;)。