O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

6-3.永遠のアイ:対向ピストンキャリパーへの野望

■2022年9月

 FブレーキのOHを終えて新たな野望が芽生えた。というかかなり前からそれについては検討していた。対向ピストンキャリパーである。思い起こせば対向ピストンキャリパーへの執着は学生時代までさかのぼる。当時私はGPz250というバイクに乗っていた。Z250FTの次モデルで駆動チェーンの替わりにベルトドライブが使われてやつだ。こいつのFブレーキは片押し式のダブルディスク。ちょっとタッチが甘いのでブレーキホースを金属メッシュのテフロンのやつに替えたらすごくいい感じだった。でも友人のバイクはみんな対向ピストンキャリパー。当時から対向ピストンにはあこがれがあったので、今回の検討は若き頃の宿題の見直しといったところだ。

 さてアイへの対向ピストンキャリパーの取付けなのだが、結論から言ってしまうとかなり難しいと思う。ちょっと検討してすぐに断念したという感じ。コルトスピードさんから6ポッドとかが出ているけど、これは庶民とは別の世界線の製品なのでここでは検討範囲外。

 一般車両の中古の対向ピストンキャリパーを(安く)入手して取り付けるという作戦なのだが、まず空間的に取り付けが難しいのだ。ディスクローター面とホイールの間の空間は片押し式の爪は収まるけど、対向ピストンキャリパーのピストン部はとても収まりそうもない。無理してホイールスペーサー(もしくはワイトレ)を付ければ取付けは可能かもしれないが、ホイールがフェンダーよりはみ出るだろう(ハミタイ)。まあそれでも一通り調べた。トヨタのアリストやアルテッツァなどが安く入手できる。またインプレッサフェアレディZなどのもそこそこの価格で入手可能だ。でもサイズ的にいずれもリア用の2ポッドになる。フロント用の4ポッドなど絶対的寸法がデカすぎる。

 さて冷静に仕様を詰めてみる。アイのフロントブレーキはディスク外径が215mm、ピストン径がΦ51.02mm。それに比べ調査した車のリア用キャリパーはピストン径がΦ40mm程とだいたいが小さい。一般的にはブレーキ制動力はピストン断面積とディスク径に比例する。ディスクは有効径で評価すべきだがここでは外径を使って簡単に計算比較してみる。ディスクローターは頑張れば外径270mmくらいのが収まると思うので、

 ノーマルブレーキ:改造ブレーキ  =  215*51.02^2:270*40^2  =  100: 77

とディスク径を270まで拡大しても制動力は77%程度まで低下する。しかしこれ以上ディスクローター径の拡大は難しいし、4potキャリパー化も難しい。無理やり納得するには、キャリパーの剛性アップで制動力が10%アップし、パッドもいいのを使えばさらに10%アップすると考えようか(無理のある納得論理)。まあ個人的には今の制動力で不満もないし、ちょっとくらい制動力が落ちてもいいかなとも思っている。最低限は車検で合格できる制動力が得られればいい。とにかく対向ピストンキャリパーを付けたいのである。

 とまあこんな感じで妄想をつらつらと巡らせていた。そしていろんな車種のキャリパーを調べた。できればアイのナックルにポン付けできるのがいいよね。キャリパー固定ボルトは12cmの間隔だからそれと同じサイズのはないかなと調べたりもしていた。残念ながらそのサイズのキャリパーは見つけられなかったが、ある車種のキャリパーが心を打った。セルシオのリア用のキャリパーである。これはモノブロックキャリパー。うぉ! モノブロック? しかも結構安い。 そしてキャリパー固定方法がラジアル方向の固定。つまりブラケットの設計自由度が高いということだ。それまでは妄想を巡らせるだけだったが、このキャリパーを手に取って見たくなった。モノブロックってどんな感じ? モノブロックのキャリパーを実物で見たことない。取り付けるか否かは置いておいて、とりあえずオブジェとしてゲットしようか? 

 そういう感じで数か月、某オクをウォッチした。ごく初期にセルシオのリアキャリパーが6,000円で出ていた。この時はまだ本気で購入する気がなかったので「ふ~ん、結構安く出ているね」とか思っていた。すると落札者なしで値引き再出品。「うわ、まだ安くなるんか?」とか思って見ていたら、再び落札者なし。そしてさらに値引きして出品。この時に「なんかこの出会いは一期一会ではないか? 今落札しなければ永遠にこういう機会は訪れないのかも」とよくわからない焦燥感に苛まれる。商品は結構きれいで、パッドも十分残っている。アイに取り付けるかどうかは置いておいて、この品はゲットしなければ!と思って入札。しかし今まで2回流れたオークションなのに、この時だけ対抗馬が出てきた。終了間際、死力を尽くした撃ち合いをはじめたのだが、どんどん値が上がって行き、6,000円を超えてまだ上がる。なぜ2回目の時(お流れになった時)入札しなかったんだと自身を責めたが後の祭り。「いや、どうせアイに取付はできないだろうから、使わない部品を入手する必要はない。限られたリソース(お小遣い)は有効に使わなければ。」と心に言い訳を並べてこの時は潔く撤退した。しかしその後、悔しさがじわじわ出てきて、「やっぱりモノブロックキャリパーをこの手で持ちたい。」ということでその後、入手する事を決めてウォッチを繰り返した。

 そして入手したのが下写真。今度はディスクローターまで込みで4,800円。また送料も営業店留めという制約はあったものの安かった。まあディスクローターはもちろんアイには使えないけど、まあいろいろ勉強するにはいいと思う。

 

 ナックルは別件で前に購入していた。これで実装可能かいろいろ検討する。

購入前、写真からおおよその大きさを紙に描いて検討していたのだが、実物はそれより一回り大きかった。

 

 写真でみるとよくわからないが、少なくともアイの片押し式のと比べるとぼってりと巨大だ。

 

 ナックルのディスク位置とキャリパーの位置を合わせてみる。キャリパーの外側のピストン部の出っ張りがホイールと思いっきり干渉する。

 

 ディスクローターからキャリパー先端までは約60mm。現在のアイはディスクローターとホイールまでは40mmほどなので、少なくとも20mmの出っ張りをワイトレなどで作らなければならない。

 

 ナックルとキャリパーの接続イメージ。

 

 キャリパーのボルト向きがラジアル方向なので、サポートの設計自由度は高そう。

 

 これはセルシオのディスクローター。厚さは16mm。

 

 キャリパー側の受け幅は20.6mm。

 

 取付ボルト間ピッチは90mm。

 

 一か所ゴムが充填しているところがある。これ何?

 

 精密ドライバなどでこのゴムをむしり取ると、中から六角棒レンチのプラグが出てきた。モノブロックキャリパーだからブレーキラインはこういうプラグで塞いだ箇所があるのだね。

 

 セルシオのリアブレーキとアイのフロントブレーキを大きさを合わせて並べる。うん、相当大きさ違う。

 

 セルシオのブレーキ廻りの情報。

 

 おっと、夕日がきれいだ。夏場は電柱群に太陽は沈むのだけど、無電柱化が進めばまた違った風景になるよね。まあこの辺の無電柱化は実現は難しそうだけど。

 

 セルシオのキャリパーをぐるぐる見回す。

 

 

 

 

 

 

 

 このキャリパーの取付けは力づくでやればできそうな気もしてきた。しかしキャリパーとアルミホイールの干渉を回避するためには20mmくらいのホイールスペーサー(ワイトレ)が必要だし、そうするとフェンダーからタイヤがはみ出る(ハミタイ)。車検を通すためにはオーバーフェンダーとか考えないといけない。車検対応のオーバーフェンダーとは力任せにフェンダーを加工して検査官にばれないように加工することである。そこまでするの? という疑問も出てくる。何よりちゃんと必要な制動力が出るのか不安であるし、20mm(もしかしたら25mm)のホイールスペーサーとかつけて安全上問題ないのかとかいろいろ考えないといけないことがある。

 今のFブレーキのパッドは1枚、残厚2mmほどのがあるので、近い将来パッドを替える必要がある。またディスクローターも研磨するとか、なにかしら手を入れなければならない。どうせ労力かけるなら一気に対向ピストン化という気持ちもあるのだが、ここまで大がかりな加工に手を染める覚悟があるのかは疑問である。来年の3月に車検があるので、まじめに考えるのはそれ以後ということかな。2mm厚のパッドもあと半年ならもつと思うしね。

 しかしながらこんな必要性の低い(ない)ことしている状況ではないんだけどね。ばきばきのヒビが入っているリヤタイヤの交換を早くしないと。というかそのためのタイヤチェンジャーを作らなければならないのだ。9月に入って暑さも少し和らいだようなので、そろそろがんばらねばと思ってます。安全が第一ですからね。

 

 ダウンサスにしたので、前後からの写真も撮影。

          ※ツノみたいなアンテナがいい。シャアザクみたいで。

 後ろからの写真はバンパー下部を黒に塗りつぶしてみた。バンパー下部は無い方がかっこいい気もするが、カットしてもでっかいマフラーが丸見えで逆にかっこ悪い。ここをデフューザーっぽく加工して、マフラーももっと目立たないものにしたらかっこいいかもと妄想している。しかしあくまで上品に優雅に仕上げないと妻からヤンキーみたいと罵りを受けることとなる。

 

 

おまけ:雨の日にベランダの前の電線(15mの距離)にハトがとまっていたのでズームで激写。雨にうたれて大変そうだったが、彼らにしてみればそれが日常なのだろう。