O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

4-3.KissDモノクロ改造(その2) 初号機の改造

4-3.EOS Kiss Digitalのモノクロ改造(その2) 初号機の改造
■2017年6月
 
  デジカメのモノクロ改造というものを知り、雰囲気だけでも味わいたいとジャンクCMOSのCFA層を剥がしてみた。あまりにリスキーな改造なので実機に適用する気などなかったのだが、err99の出るジャンクのEOSKissX2の修理がうまくいってしまい、KissDigitalへの愛情が急速に失われたため、ちょっとやってみようということになった。KissDigitalは二台持っており、一台は改造なし(KissDノーマル)、もう一台はシャッターレス改造をした天体撮影専用機(KissD改)である。KissDノーマルは、KissX2が使えるようになったため、存在理由が無くなったため、こいつをモノクロ改造してみる。
  まずはセンサ前面のクリアガラスを取り外す。前回手ごたえは掴めたので自信をもってはじめたのだが・・・。


ぼろぼろでした。前回得た手ごたえは漆黒の彼方に消えました。

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しかも割れたガラス片が極細ワイヤーの間に入り込んでいる。このワイヤーが切れたら一環のおわり。慎重にガラス片を取り出す。
イメージ 2

このワイヤを保護するため、前回と同じようにエポキシで固める。
イメージ 3

そして肝心のマイクロレンズ層とCFA層を剥がすために新兵器を製作する。前回竹串や彫刻刀で剥がして見たのだが、竹串はちょっと非力、彫刻等は確実にセンサ面を傷つけた。そのため新たな兵器は銅を使ってみる。電線の芯を丸棒に取り付ける。
イメージ 4

そして先端を下写真のように削ってスクレーパーのようにした。刃先の角度が分かりやすいように、上方向に竹串を取り付けている。
イメージ 5

こいつでジャンクCMOSの表面を削っても、センサ面に傷はつかない。でもちょっと力を入れたり、変な角度で削ると傷をつけてしまう。でも慎重にやればなんとかなる(かなぁ。ジャンクCMSOで何度も練習し、センサ面を傷つけない角度と力加減を手で覚え、イザ本番!

軽い力でしゃりしゃり削れる。しかし細かいストロークを繰り返すより、ロングストロークの方がセンサ面を傷つけるリスクは小さいように思えたので、終盤はロングストロークで削る。

下写真の用に右半分を削った。
イメージ 6

よく見ると細かい傷がついている。この銅製スクレーパーではこのへんが限界のもよう。
イメージ 7

まずはこれで撮影できるのか確認してみる。カメラを組み立て、恐る恐るシャッターを切る。
イメージ 8

おー、とりあえず写ってる。右半分はモノクロだ。しかしいくつか撮った画像の中に次のような画像があった。
イメージ 9

CFA層を剥がした部分が真っ白(ピンク)。これはおそらくゴーストだ。モノクロ改造するとゴーストが出やすくなるというあれだ。カメラの視線の少し右に明るい街灯があるのでそのゴーストだろう(本当かなぁ。
※後日談  その8で確認したのだが、これはゴーストではなく、カメラケースの隙間からの迷光が原因。

  次にモノクロ化による解像度の向上について評価する。
通常のカラーデジカメでは光センサ全面に赤緑青の市松模様のベイヤーフィルター(CFA層)が配置されている。 では各素子の色を決定するにはどうするのか。例として下図のRの素子の色を決定する場合、自身は赤のフィルターを透過した情報しか持たないため、イメージ 14他のG,Bの情報は周辺の画素から分けてもらうことになる(ベイヤー変換)。これを繰り返すことで各素子のカラー画像が決定されるわけであるが、画素情報を周辺画素から分けてもらう段階で、周辺画素と交じり合い、分解能が低下することになる。モノクロ化ではこのベイヤーフィルターが無いため、各素子の受け取った光情報がそのままセンサ出力となり、ベイヤー変換など介さなくなる。これにより分解能は向上するわけである。

  つぎに問題になるのがソフトウエアである。RAWデータを通常ソフトでTiffBMPに画像変換すると、そこでベイヤー変換されるため。その画像をモノクロ化しても、すでにベイヤー変換されているため、分解能の点では意味がない。
  RAWデータからベイヤー変換を解さずにモノクロ出力できるソフトもあるのだろうけど、そういうソフトを持っていない。探せばあるかもしれないが、どうせなら作ってしまおう。色々と勉強になるだろうしね。ということであまり良くわからないまま作りました。画像情報をそのまま、Tiffファイルに出力する”モノクロ現像”ソフトである。こいつを使い分解能の評価する。
  近くの”時計 宝石”店の看板で評価する。まずカラー部分で看板を撮影し、看板部分を拡大する。
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次にモノクロ部分で撮影し、”モノクロ現像”してから看板部分を拡大する。
イメージ 11

確かにモノクロ部分で撮影したほうが分解能が上がっている。カラー部分で撮影した方は”時計 宝”という文字はほとんど認識できないが、モノクロだと一応は認識できる。
  
  次にモノクロ改造による感度の変化について評価する。次の写真は星空を写したものであるが、四角で囲っているカラー部分の星空とモノクロの輝度について見てみる。
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下のヒストグラムは上段がカラー部分のもの、下段がモノクロ部分のものである。

イメージ 13

全体の輝度は少しではあるが、モノクロ部分の方が高い。RGBで見てみると、赤の感度がずいぶんと高くなっている。緑と青は少し低下している。これはどう見ればいいのだろう?赤色に関してはCFAフィルターの透過率が低いだろうか。よくわからないが、いずれにせよ全体の感度としてはモノクロ部分の方が少し高くなっているということはうれしい結果である。
ちなみに、CMOSセンサの前には現在LPR-Nフィルターがあり、おおよその通過波長は400~680nmである。

 よし、まずまずうまくいっている。残りの面もモノクロ化しよう。表面ももう少し綺麗にしよう。とにかくイケイケである(破滅への一歩でもある。
  ということで早速分解し、センサ全面のCFA層を剥がした。
イメージ 15

全面のモノクロ化完了。ちょっと擦り傷は残っているが、現状これ以上はどうしようもない。センサ端もぎりぎりまで攻めた。もうイケイケである(破滅への・・・。
サッサカサーと組み上げ電源、ON(^○^)
 
                                            ・・・・・・・・・・・シーン!


あれ?   ・・・ああ、バッテリーなくなってるんだな。
予備バッテリに入れ替え電源、ON(^○^)     


                                                      ・・・・・・・・・・・シーン!(゜o゜)。



その後、何度分解し直しても、基盤等を交換してもEOSKissDigital(ノーマル)は永遠の沈黙を守られた。



さようなら、KissDノーマル。僕はあなたの勇士をけして忘れることはないだろう。君が僕に見せてくれた宇宙の世界を、デジイチの世界を、そして儚さを・・・・。           永遠に眠れ  (T_T)/~~~。