4-3.KissD実証試験機の製作と評価
■2018年1月
EOSのモーターレス改造がうまくいったので次のステージに進む。
実証試験機の製作と評価であり、目的は下記の2点。
・モーターレス機がうまく動作するのか、また実際の撮影で改良する点がないか?
・LRGBフィルターを使った場合、ゴーストが発生しないか?
実証試験用なので、筐体は適当に作る。手持ちの木材で筐体を作り、とりあえずてきとー黒スプレー(笑。
マウント部もてきとーに木ネジ固定。
サイズ的にはオリジナルEOSよりちょい大きめ。まあ使った木材が板厚10mmのものなので、その分サイズが大きくなった。
前から見た図。なんか四角い箱で魂が宿っていない感じ。
そしてLフィルターも購入した。AstronomikのUV-IR Blockフィルター。こちらはヤフオクで漱石さん二人。Hαフィルタなどを調査していると、AstronomikのHαはゴーストが強くでるとの情報が多いのだが、Lフィルターではどうだろうか?
フィルターの取り付けは適当な銅板で留具を製作。ほんと、てきとー(笑。
正面から見ると、センサの四隅が隠れる。実際の取り付けでは枠ははずして使う予定なので、四隅のケラレはもう少し減るはずだが、今回の評価用ではそこまでは見ない。
望遠鏡に取り付けた図。なんか四角い箱で色気のない風貌。
今日はお世辞にも星が良く見えるとは言えない空模様。
まずはデネブ。ゴーストの有無を評価する。装着フィルターはLフィルター。
日時:2018年1月6日 / 月齢19日 / 空透明度50% / 気温6℃ / 撮影場所:西南ベランダ
撮影内容:デネブ / フィルター:UV-IR-Block / 鏡筒回転角:?° / 2枚コンポジット
うん、ゴーストは見られない。よかった。四隅のケラレはまあ想定範囲内だな。
次に北アメリカ星雲。フラット処理なしで見てみると・・・
うわー、センサ面のまだらの中に埋もれて、北アメリカがまったく見えない。まあ、もともとモノクロ改造に失敗したセンサなので出来が悪いのはしかたがない。
それをフラット処理すると・・・
まあ、ちょっとは北アメリカが見えるが、全然だめ。
以前に撮ったベストショットと比較すると、その落差に唖然とする(左がベストショットで、右が今回のモノクロ改造機)。
とにかくモノクロ改造時のセンサ表面処理が全然だめだということがよく分かる。まあ空の透明度が低く、高度も結構低かったのも影響はしているだろうが・・・。
次に天頂あたりのアンドロメダを撮ってみる。
まずはフラット処理なしで。
まあ多少は見れる絵になった。
■評価結果をまとめ
・モーターレス機は正常に動作する
・シャッターボタンと電源SWは必要
・実用機で装着するフィルターはΦ36にする
・Lフィルターではゴーストは見られない
■補足説明
通常撮影ではPCから制御するので、シャッターボタンや電源SWはなくても使える。しかし現在、フラットは部屋に撤収後、天井にLEDを照射して撮影しているので、その時にいちいちPCを接続するのはめんどう。また電源SWは撮影条件などを保存する役割をするため必要。現状はバッテリを外して終了なので、毎回初期設定となる。
フィルターは安価に入手可能な1.25インチで考えていたが、広角のカメラレンズを使うと、四隅のケラレが大きく出ることを考え、Φ36mmのものを装着できるように設計する。モノクロ改造に関しては今回はその7で改造失敗したセンサを処理し直して使ったが、コンパウンドでの研磨はやはり微調整が難しそうということを再認識したので、今後はコンパウンド研磨は行わないことにする。