O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

4-3.KissDモノクロ感度評価

4-3.EOS Kiss Digitalのモノクロ改造による感度評価
■2017年12月
  行き詰っている。激しく行き詰っている。マイクロレンズ層やCFA層は一応剝がせはしたが、センサ面がまだらになる問題は解決方法が思い浮かばない。あれだけ手間隙かけてCFAはがし器を作ったのに、これ以上の精度を出すのは我が工作室では無理であろう。いや、心の片隅には別の道も思い浮かんでいるのだが・・・。それは化学的アプローチ。しかし私は物理的アプローチにこだわっている。なぜって?それは学生時代物理は得意だったが化学は大嫌いだったからである。物理的作用は目に見えて納得感があるが、化学的作用は卑怯な手段だ!なんかそう思う。でも前回のモノクロ改造の結果を見て、もう限界だと思える。
  もうモノクロ改造はあきらめるか・・・。    ああ・・、いろいろな想いが走馬灯のように脳裏を回っている。いや、しかし我々は(我々?)引き返すわけにはいかないのだ。これまでどれほどの犠牲を乗り越え進んで来たのだ!(答え:KissDが6台、20Dが1台)。我々にもはや前進することしか道が残されていないのだ!  見よ!まだ我々には勇者が3人残されている(その後KissDを2台と20Dを1台落札した・・・もう泣きたい)。
 ・・・などと思いながらお風呂で頭を整理した。現在ノーマル機とまだらではあるがモノクロ機が揃っている。まずはモノクロ改造機の評価を行い、今後の方針を考えよう。
 
  まずは、ゴーストの問題。モノクロ改造は輝星周辺にゴーストが出やすくなるという。マイクロレンズ層をはがしたために光センサ素子周辺の枠がむき出しになり、そこに光が反射し、さらに装着しているフィルタに反射してセンサ面にゴーストを発生させるらしい。今のまだらモノクロカメラでもその有無であれば評価できるだろう。
  フィルタにLPR-NとSC62を取り付け(擬似Hα)、すばるを撮影してみる。

確かにゴーストが発生している。輝星の周辺にL字スパイダーのゴーストが見える。ゴーストの直径は約0.46mm。
現在のフィルタ配置は下図の左側である。そして直径が0.46mmのゴーストが発生するということは、センサ面ではなく、SC-62フィルタ面で反射し、さらにLPR-Nフィルタで反射している状況が一番合致する。焦点距離は600mm、反射鏡はΦ100mmなので、ゴースト直径が0.46mmになるにはX=0.46/(2*D)*f=0.46/(2*100)*600=1.38mmとなる。だいたい合っている。でも・・・、それならこのゴーストはモノクロ改造とは関係無いですねぇ~。まぁいいや。とりあえず対策として考えられるのが、下右図のようにSC-62フィルタを小さくカットし、センサ直前に貼り付ける方法である。

センサ面にSC-62を貼り付け、LPR-Nフィルタをつけずに撮影してみる。
下写真のように目立ったゴーストは見えない。でもなんか星像が四角い・・・。

別の日にLPR-Nフィルタを装着してデネブを撮影。こちらも星象が四角いが、ゴーストは見えない・・・ような。星象の上下に四角いゴーストがあるようにも見えるが、これはとりあえず見なかったことにする。

結論としてはどうしようもないゴーストが発生するということはなさそう。まあ違うフィルターを使えばどうなるかわからないが。

次は感度の評価。こちらが本命の評価。モノクロ改造ではマイクロレンズもはがしてしまうので、光に対する感度が落ちる。光センサは全面が受光面ではなく、枠があり、マイクロレンズで光を集めて受光面に集光するのだが、レンズがなくなると枠部分に当たった光は反射してゴーストは引き起こすし、受光感度は下がるし踏んだりけったりである。じゃあなぜモノクロ改造するのかというと、RGBフィルタやナローバンドフィルタを使いたいからである。たとえばHαフィルターをつけると通常機ではベイヤーフィルターのR(赤)素子しか使われないため、画素数は25%に低下する。それがいやなのだ。      
※ベイヤーフィルターは R(赤)25%、G(緑)50%、B(青)25%の比率

  ではマイクロレンズがなくなるとどれほど受光感度が低下するのであろうか?それを評価する。まずノーマルEOSにLPR-NとSC62フィルタを取り付け(疑似Hαフィルタ)、デネブを180秒撮影した(下写真)。画像処理は自作ソフトを使用し、ベイヤー変換を介しないでモノクロ現像する。また輝度もガンマ変換などせずリニアに出力している。
  ヒストグラム(左上図)を見るとR素子の山とGB素子の山の2つに分かれている。星象(右下図)を見てもR素子の画素だけ光っており、GB素子は相対的に暗い。

  次にモノクロカメラに付け替えて同じ対象を撮影する。背景の輝度がノーマルEOSのR素子と同じになるように露出時間を探ると、420秒の露出が必要であった。下の写真である。ノーマルEOS撮影の上の写真とくらべずいぶん明るく見えるが、これはモノクロ改造によりノーマルEOSのR素子で受光していた光量を全画素で受光できるようになったためである。

 

ということは、つまり・・・感度は180/480つまり1/2.6に低下したことになる。
ガ~~~~ン。  結構大きく低下している。
1/3近く低下か~ぁ。なんかダメじゃない?望遠鏡の直径が100mmから62mmに減ったのと同じじゃないか━ヽ(゚ω゚)ノ━━!!
いやいや、よく考えろ。感度は1/2.6に低下しているが、画素数は4倍(Gだと2倍)に増加しているんだ。差し引きを考えるとプラスである。うん、そうだ、そうしとこう。
                         後日談:フィルターなしでの評価では感度低下はほとんどない模様。
とにかく将来の夢はHαフィルタを購入しての撮影なのだから、やはりモノクロ改造は必要だ!                    ・・・・・たぶん
 
だって・・・         すでにKissD 2台、20D 1台落札しちゃってるし・・・ ねぇ。
とにかく前進である。とは言え今までの方法ではこれ以上改善は望めないし、やはり化学的アプローチを模索するしかないかなぁ。