O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

4-3.20Dモノクロ改造(その4)モノクロ 画像キター━━ヽ(゚ω゚)ノ━━!!

4-3.EOS 20Dのモノクロ改造(その4)モノクロ 画像キター━━ヽ(゚ω゚)ノ━━!!
■2017年9月

  二回チャレンジしたモノクロ改造は失意のうちに失敗に終わり、もうホント!ムキになりましたよ。ちょっと覗くだけのつもりだったモノクロ改造の世界へ、どっと舵を切ることになります。それから後片っ端からKissDigitalをヤフオクりましたが、目標金額が低すぎるのか(漱石さん一人)空振りばかり。だんだんと、とにかく早くCFA剥がしをやりたくなり、入札機種をKissDigitalにこだわず似たモデルもどんどん入札。そして落札したのはEOS 20D。もちろんジャンク(err99が出るやつ)。CFA剥がしの練習と割り切って・・・。
  さて、CFA剥がしであるが、手作業ではどうも難しそうなので、常に刃当たりが一定になるような治具を作る。刃先には金属加工用の超硬合金を採用。これまでの失敗経験から、中途半端な硬度の刃先だと、CFA剥がしをしている最中に刃先が磨耗し、それが原因でセンサ面を傷つけているようだったので、思い切って超硬材とした。
  まずは本体部の製作。L金具などのあまりから部品を切り出す。
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次にハンダ付け。
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上部アームの軸受け部をはんだ付けなのだが、まあまあうまくできた。
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そして組み上げて完成。
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  超硬の刃先が上部アームに固定されており、軸周りに上下する構造で、常に刃先が一定の角度を保たれるようになっている。このCFA剝がし3号の要は刃先の形状なのだが、下図の様に、センサ面との接触部をフラットにすることでセンサ面に傷をつけずに、先端の刃でCFA層を剝がしていくということを想定している。

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 ではどうやってこの形状に研いだらいいんだろう? まず粗めのダイヤモンドディスクで刃先を粗く形成し、センサ面を想定した板に紙ヤスリを貼り付けて、せっせと研いでいくことにする。
 

紙ヤスリを両面テープで何度も貼りなおして研いでいく。相当がんばったできた刃先がこれである。
 
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完全にぴかぴかつるつるにはならなかったが、もう疲れたのでこれで行ってみよう。
この形状では、まずCFA層の剥がれた領域が必要となるので、一部竹串でCFA層を剝がして、その窪地からCFA層を剝がしていく。
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こんな感じでイザ、刃を動かしていく(正確にはセンサを動かしていく)。
  ・・・が一切の手ごたえがなく、刃がCFA層の上を滑っていく。
紙ヤスリで磨いたのがいけなかったのか、刃先形状がダメだったのかわからないが、とにかく頭冷やして考え直そう。

しばらく頭を冷やしてから・・・
刃先形状を下記のように変更する。
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  少し刃先を立てて、CFA層を削り取っていこうというものである。前回の失敗作は、刃の下面をフラットにすることで、センサ面に傷がつく事を回避しようと考えたわけであるが、今回の刃先形状では、刃先を相当綺麗に研磨しなければ、センサ面を思いっきり傷つけそう。今の手持ちの装備ではそんなうまく刃先研磨はできそうにない。
  そこで新装備を購入。粒度1200のダイヤモンドホイールである。
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こいつを使えるようにアーバーを製作。いつものように太いボルトを使う。中心にM8タップを切るのだが、ドリルチャックではすぐに空回りするので、タップをダブルナットで固定すればうまくいくようになった。

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こいつにダイヤモンドホイールを取りつけ、刃先を研磨していく。
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研磨部の拡大写真。こうしてみると粒度1200とはいえ結構粗い気がするねぇ。
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研磨後の刃先。前回の紙ヤスリで磨いた時よりもぴしっと平面が出ている。ただ10倍ルーペでよくみると、結構研磨痕が見える。できればぴかぴかになるまで研磨したいよな。粒度8000くらいのダイヤモンドホイールで。
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刃先の左右傾きや刃の角度を調整し、失敗したジャンクセンサで刃当たりを確認。すでにCFA層は剝がしたやつなので、センサ面にマジックを塗り表面を傷つけないか確認する。やってみるとまずまずうまくいっているようだが、うっすらと跡は残る。完璧にするには粒度8000がいるわ~。
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よし!、とりあえずこれでEOS 20DのCFA剝がしやってみよう。
イザ!

なんか・・・、うまくいっているような・・・。
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ルーペで見ると細かい跡みたいなのは見えるけど、肉眼ではほとんど無傷。なんかいけてそうだ。よし、このまま行こう。でもちょっとこわいので周辺は少し残す。
そして全面剝がし終わる。
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はじめに竹串で剝がした箇所の跡がある。あと剝がし残しの小さなかけらがあったから爪でかりかりやったら、それが目立つ傷になった。爪でこんなに簡単に傷がつくとは思わなかった。そう思うと超硬合金のスクレーパーで表面なぞってもほとんど跡が残らないとは刃が綺麗にできているからだろう(自画自賛)。
 そしてはやる気持ちを抑えてカメラを組み立て、シャッターを押す。
すると・・・
     モノクロ 画像キター━━ヽ(゚ω゚)ノ━━!!

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おおっ!
長年夢見てきたモノクロ画像が、今目の前に!(←ちょっと大げさ(^^ゞ。
傷は思った以上に目立っていない。
よし、この勢いのままモノクロ現像の評価だ。
前回は一部のCFA層を残し、同じ対象(メガネ・時計・宝石の看板)をCFA層の領域で撮影しカラー現像したものと、CFA層を剝がした領域で撮影し、モノクロ現像したものを比較したが、今回は全面CFA層を剝がして撮影した画像を、カラー現像とモノクロ現像でした場合の差異について比較する。
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う~ん、あまり大きな差は見られないなぁ。確かにモノクロ現像の方が滲みが少なく、分解能が高いけど、思ったほどではない。ベイヤー変換をしない分よくなっているはずだが・・・。
では次にフィルターをつけて撮影。600nm以上を通過するR1フィルター。
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空にゴーストと思われる光が2つ。やはりモノクロ改造はゴーストが出やすいのか。
また、周辺のCFA層が残っている箇所は真っ赤に写る。このCFAが残っている所と剝がした所をカラー現像とモノクロ現像で比較してみる。左上の枠の中を拡大比較する。
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ちなみにモノクロ現像画像は次の通り。
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両画像の左上部を拡大比較。
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  これこそがモノクロ改造の真価のわかる比較画像だろう。
モノクロ改造はフィルターワークで意味を持つのだ。将来はHαのナローバンド撮影をしたいと思っていたのがモノクロ改造をする大きな原動力となっていたからね。
  上記比較画像ではCFA層が残っている領域のモノクロ画像はCFAのR画素しか光っていない。それはそうだ、R1フィルターで600nm以下の光はすべて遮断されているのだから、GやB画素は真っ暗。RとB画素はそれぞれ25%で、残り50%はG画素なのだから、R1フィルターを使うと、実質25%の画素しか使わないことになる。それがモノクロ現像の上側の部分というわけ。カラー現像では、真っ暗なGとB画素の部分は明るいR画素から補完して処理するので、カラー現像では一様な赤になってはいるけどね。つまりそれだけ粗い解像度ということだ。
  夜空には薄雲が多く、あまり星は見えないのだけど、カメラと三脚を持ってプチ遠征(徒歩1分の海辺)。そこで夏の大三角あたりをパシリ。レンズは50mmでR1フィルターを装着している。
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  なんかよく写ってる。モノクロ改造により写り方がものすごく向上した(と思いたい)。センサ面の傷もフラットでごまかせそうな範囲かな。
  で、モノクロ改造の成果を確認するため、写真の左端の枠で囲まれた部分を拡大。
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CFA層の残っている部分と剝がした部分で夜空の表現力が明らかに異なる。
(画像を拡大してみないと分かり難いと思います。画像の右下の+マークで拡大します)
  ナローバンドなどのフィルターを使った場合はこのように画像情報が劣化するのだが、モノクロ改造することで、画像情報の劣化はなくなる(はず)。
次は望遠鏡で撮影してみよう。はやく晴れて~。

そして台風一過。急カーブを描いて列島横断した18号が通り過ぎ、今晩は爽やかに星が輝いている。亜鈴星雲に向けて望遠鏡をセット。
その前にフラットを見る。CFA剝がし時の傷がスゴイ (゜o゜):!?。
レンジ調整で強調されているとはいえ、なんかこんなにもセンサ面を傷つけたなんて、ぼくの心も傷ついた(笑。よし次の目標はフラット時にも傷が目立たないレベルの仕上げだ(^^)/。オー!
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カメラには光害カットフィルターとSC62をセット(擬似Hα)し、亜鈴星雲へ鏡筒を向ける。結構薄雲が流れており星空の神様は我に見方してくれず。・・・で、まともに撮れたのは1枚だけ。それににフラット、ダーク補正を実施。
 
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      日時:2017年9月18日 / 月齢27日 /  空透明度85% / 気温25℃ / 撮影場所:西南ベランダ
      撮影内容:亜鈴星雲 / フィルター:LPR-N+SC62 / 鏡筒回転角:90° / 1枚
      撮影:EOS 20D(IR&モノクロ改) / R-1000改(D=100mm f=1000mm) / 露光:600sec / ISO:3200

結果は、まあ微妙。今までと違う点はモノクロ改造したカメラと擬似Hαフィルタ、そしてISO3200での撮影(従来機はISO1600が上限で、EOS20Dで始めてISO3200へ到達)。
生画像を見るとノイズがかなり多く、また右下に強い迷光orアンプ熱雑音がある。「こりゃダメだー」って感じだったが、ダーク補正&フラット処理でまあ星空っぽくなった。
もう少し星空を撮影して、このモノクロ改造の長・短所を見ていこう。

しばらくして良い星空の夜がきた。秋空の主役はやはり北アメリカ星雲である。鏡筒を600mmのR-100Sに載せ替え2×2のモザイク撮影。
イメージ 27
 
      日時:2017年9月28日 / 月齢7.9日 /  空透明度85% / 気温20℃ / 撮影場所:西南ベランダ
      撮影内容:北アメリカ星雲 / フィルター:LPR-N+SC62 / 鏡筒回転角:0° / 2×2モザイク
                                                                                          各画角で4枚づつのコンポジット
      撮影:EOS 20D(IR&モノクロ改) / R-100S(D=100mm f=600mm) / 露光:720sec / ISO:3200

  天頂付近の撮影(左上画像)ではなんだかオートガイドが安定しない。赤緯軸のギヤ当たり面が東から西に切り替わるところだからだろうか。また撮影後半(右下画像)では高度も下がり薄雲が通り過ぎたので、2枚しか使えなかった。
  拡大してみるとざらざらで見れたものではないが、縮小して全体を見るとまあまあの出来かな。露出を720secにしても、飽和まで余裕があるのには驚いた。以前KissDigitalで擬似Hα撮影した時(420sec)と似たようなレベルだ。ISO感度は3200(KissDigitalは800で撮影)なので、これだけ長時間露光できるということは、やはりモノクロ改造で受光感度が低下したということかな。ちなみに、以前撮影した画像は次の通り。

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      日時:2016年12月6日 / 月齢6日 /  空透明度80% / 気温?℃ / 撮影場所:西南ベランダ
      撮影内容:北アメリカ&ペリカン星雲 / フィルター:LPR-N+SC62 / 鏡筒回転角:90° 
                     / 7枚コンポジットと8枚コンポジットをモザイク合成
      撮影:EOSkissD(IR改) / R-100S(D=100mm f=600mm) / 露光:480sec / ISO:800

両画像を比較すると、繊細さでは抜群に20D(モノクロ改)が上回っている。だからと言って、それがモノクロ改造に起因するものかと言われれば、違うような・・・。まあ、この画像を得られただけでもモノクロ改造してよかったと思おう!(←無理やりの充足感)
モザイク合成は両方ともへたくそで継ぎ目が不自然だけどそこはご愛嬌。
そうそう、今回からモザイク撮影時のサポート用に仮想座標を使うようにした。操作画面上に下のようなモザイク撮影ポイントを用意。これでモザイク撮影が非常に楽になった。
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