6-2.アイのターボ化_04(過給機3号のOH)
■2019年8月
過給機1号機のベアリングハウジングをダメにした時に絶望感に襲われて新たに落札した過給機3号機。実はこれ、2号機と同じところから入手。2号機は1漱石さん、この3号機は1コイン。一緒に買えば送料もかからなかったのに、2号機入手時は、「構造を把握するためだから」と2号機のみ入手。そして色々絶望することがあってその後に3号機を入手。商品代金より送料の方がはるかに高い (;´Д`)。3号機は見た目はもっとジャンク感がありアクチュエーターもなし。でもまあ欲しかったのはベアリングハウジングとタービンハウジングだけなんで。
さっそく分解していく。しかしサビサビ感が特に強く、タービンハウジングとベアリングハウジングが分離できない。いろいろなものを動員してはずした。
赤サビが今までで一番ひどいな。
カーボンの付着は2号機よりも少ない感じだ。
しかしタービンブレードになんかブツブツがある。これ何?エンジンがブローして溶けた金属が吹き付けたのか?しかもタービンブレード面はなんか赤サビみたいになってて、手で触ると赤汚れが手につく。こんなの今までで初めてだ。タービンブレードはサビないよねぇ。
コンプレッサーインペラはきれい。
ベアリングハウジングは赤サビはあるけど、カーボンの付着は一番少ない。
問題のタービンハウジングのクラックの有無を確認。一部”てかり”があるが、これは今までの経験上、ハウジングにカーボンが堆積し、それをタービンが擦れた後だと思う。2号機で問題になったクラックは見当たらない。この面は耐水ペーパーの#240で軽くカーボンを落としておく。
ラジアルベアリングも縦筋が目立つけどまぁ・・・大丈夫?
タービンブレードのブツブツをカッターやらスクレーパーで削り落とす。結構しっかり付着していた。
しかしそれでもブレードの赤サビ感は残っている。
せっかくなのでちまちま磨く。耐水ペーパーをちっちゃく切って、つまようじの先端にエポキシで接着したものをいっぱい作って、ちまちまちまちまブレード表面を磨く。
ラジアル軸受けの接触面はスーパーフィニッシュ加工(クレンザーで磨いただけ)。
結構きれいになった。なんかここまで手をかけると、おのずと愛着が増す。「一番手のかかった子ほどかわいい」とはよく言ったものだ。この頃から実車に搭載する過給機の候補No1になっていた。サビサビ感はあったが機能的にも問題はなさそうだし。
ブレード表面の汚れを落とすために精密ドライバを加工してミニスクレーパーを作った。「まずは工具の製作から」 これ!大事だよね。
コンプレッサーのポート加工を行う。ただしコンプレッサーハウジングは2号機の方が綺麗なので、こちらを使う。1号機では吐出ポートだけ加工したが、3号機では吸入ポートも加工。オリジナルの吸入ポートは円錐面と円柱面の組み合わせた形状だったけど、滑らかな曲面にした。吸入抵抗は見た目小さくなった気がするけど実際はどうかな?
さらに、コンプレッサーハウジングの表面も綺麗にした。鋳造跡の段差なんかもリューターで削りピカピカにした。もうかわいくって仕方がない (^o^)丿。
見た感じでは吸入抵抗が減っている感じだよね。
吐出ポートも1号機よりも加工量を増やした。
コンプレッサーハウジングのビフォー(左)アフター(右)。
タービンハウジングとエキマニの接続部の段差も1号機と同じように削る。
一番手のかかった子(3号機)には徹底的に愛情を注ぐのだ。耐熱塗装もやってやろう。しかし耐熱塗装はだいたいが焼き付け処理が必要なのだが、我が家には焼き付け処理する設備がない。色々調査した結果、下写真のラストリウムの耐熱ペイントは焼き付け処理が必要との記述がなかった(つまり焼き付け処理不要と思った)。少々値が張ったが購入(2400円)。
そしてよくよく取説部を見ると「耐久性を向上させる為には、加熱処理する必要があります」ってある。つまり焼き付け処理が必要なのね(涙。
まあまずは塗装だ。まずはエキマニ部から。サビを落とそうとよく見ると、見覚えのあるぶつぶつがある。タービンブレードのぶつぶつと瓜二つ。しかしこのエキマニは購入エンジンについていたもので、過給機3号機とは何の関係もない。どゆこと?スクレーパーなどでがりがり削り落としたが、どうもこれは製造時の溶接などが付着したやつっぽい。じゃあタービンブレードのやつもそうなん?いやさすがにそれは考えられない!でももしかして・・・。
サビ落とし前のエキマニ。
サビを落としてピカピカ。タービンハウジングも保存のために塗った赤サビ変換防錆剤を落とした。
エキマニの取り付け部の赤サビは結構深く、リューターで削り落とし、
念には念を込めてサビとり剤を使用
拭き取ってサビ落とし終了。
そして耐熱塗装を塗る。
何夜もお風呂に入って考えた焼き付け処理設備。我が家にあるもので窯を作ればいいのだ、ということでのりの空き缶の中にブロックを敷いて焼き上げるのだ。のりの空き缶の上には温度計を挿している。ブロックを敷いたのは石焼風にするため。
万が一のために消火用の水も用意。
そしてコンロに点火。途中温度上昇が遅いので、断熱材のかわりとして木材を置いた。
しばらく加熱するとなんか煙が出てきた。これが焼き付け処理時のけむりかぁ。と思っていたがなんか様子が違う。これ、水蒸気。ふたの部分から水滴が滴ってきた。
コンクリートブロックの中の水分が蒸発してるんかな~とか思っていたのだが、内部温度は100℃以上全然あがらない。挙句の果てに温度が下がってきた。
なんか変だなぁと思いふたを開けると・・・。 容器の内側には結露があり、金属部品はなんかサビてる。
うわ~。さびさび (゜o゜)
つまりあれだ。高速腐食試験をやってたってこと!?
たぶんコンクリートブロックに水分を含んでいたんだろう。
なんでこんなことに・・・、と絶句し心はポッキり折れた。 しかーし! 結構短時間で立ち直った。やり直しやり直し。サビた部分を真鍮ブラシ+ボール盤で磨きなおす。
ベアリングハウジングも見るも無残な状況だったが、必死に磨き
なんとか綺麗に戻った。せっかく高価な耐熱塗料塗ったのにねぇ。
なんかこのままやり直しでは悔しいので、改善点を探す。エキマニの出口に凸凹がある(たぶん溶接ビート)。この凸凹を平らに削る。
うん、まあ転んでもただでは起き上がりませんよ的な感じは出たな。
もう一度塗装やり直し。
そして今度はサンタからの贈り物のオーブントースターを使用。のりの空き缶失敗から結構日数が経っていて、それから2週間に一度訪れるサンタからのプレゼント置き場に足しげく足を運んで手に入れたプレゼントである。あまり詳しくは書きにくい話なんです。察してください。
加熱してしばらくすると、今度こそ焼き付け処理時に現れるという、あのまぼろしの煙が・・・。 これこそ本物の焼付処理時に出る煙だ。
続いてエキマニも。ぎりぎり入りました。
焼き付け処理すると、全体的に艶がなくなる感じ。
これにて焼き付け塗装終了。ベアリングハウジングはもう組み立て始めていたので焼き付け処理はできず(まあ稼働しだしたら自然に焼き付け処理されるだろう)。
さあ、3号機の組み立てだ。
タービン軸の動きの様子を撮影。
コンプレッサー側からも撮影。うん、滑らか滑らか。
どんどん組み立てていく。
ベアリングハウジングとタービンハウジングは同じ塗装をしたのだけど、焼き付け処理をしたタービンハウジング側は艶がなくなっている。
ぴかぴかのコンプレッサーハウジングから大きくなったポート越しにインペラが見える。美しい~ (ため息)。
アクチュエーターは2号機のものを使う。
真鍮ブラシ+ボール盤で磨いて
白に塗装した。そして組み立て完了。
過給機3号機のbefore/after。
やっぱ、この子が実装候補No.1だな。