O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

6-2.アイのターボ化_01(過給機2号の分解)

6-2.アイのターボ化_01(過給機2号の分解)

■2019年6月
 
 アイのターボエンジン購入後、ちまちまと部品を外してはナンバーリングして梱包する作業を続けていたのだが、そろそろ梱包した部品の置き場もなくなってきた。やはりエンジンをオーバーホールするには我が家の設備では容量不足である。まあ想定はしていたが、この機会に設備投資である。具体的にはベランダに作業机を作り、その下にいろいろ収納できるようにするのである。その話はもう少し形になってから書く。
 エンジンは今こんな感じ。かなり部品が取れすっきりしてきた。


しかしいい加減部品を外し続ける作業にも飽きてきた。少しはオーバーホール的な作業もしなければ集中力が続かない。まずいじるとすればやはりターボから。入手したエンジンについていたのはこのターボ(以後、1号機と称す)。


見た目は結構きれいで、十分機能しそうである。しかしやみくもに分解して壊してしまっても怖い。ということで、某ークションでジャンクの過給機を探していたらいいのが手に入った。それがこれ(以後、2号機と称す)。

 ジャンクとのコメントのあるものを漱石さん一人で入手した。これで分解手順などを確認しよう。型番は1号機と少し違う。02020が02010になっている。何が違うのかは不明。

分解するにあたって各部の名称を下図に統一する。これはIHI様の特許の図を拝借。2号機とはスラスト軸受の周辺構造が少し違うが、まあだいたいは同じ形状だった。

 
まずは真鍮ブラシで磨く。それだけで結構きれいになった。


B/HとT/Hを結合している締結機構をはずす。


B/HとT/Hはテーパー形状で結合しているので、ボルト&ナットを使い引き離す。

最後は鉄板と支点を使いてこの原理で分離。


タービンが出てきた。軸のガタはほとんどないようだ。


次にC/HとB/Hを分離する。ここは大きなクリップで固定しているだけだ。

 
クリップはラジペンで握れるが、引っかかりが悪いので、リューターで先端を加工。どうせ100円のラジペンだし。


タービンインペラがむき出しなので扱いは慎重に。へたすればインペラをぶつけて終了だ。バイスに固定して、慎重にクリップをはずす。


しかしクリップは圧縮できるのだが、ケースからなかなか外れない。下写真の切り欠きにドライバを差込んで片方だけ出た。


そのまま少しずつドライバで外周に沿って外していく。

クリップが外れたら、大きなマイナスドライバでてこの原理でB/Hを引き出す。


C/Hはまったく綺麗な状態。


タービン軸のついたB/Hはメカ的に美しい。

コンプレッサのインペラのお出まし。


コンプレッサのインペラを外す。先端のナットは左ネジなので注意。タービン側をバイスで固定してスパナで右方向へ回して緩める。

 
ナットにはワッシャなどはついていない。緩み防止機構のついたナットだ。

インペラは少し汚れているが、綿棒で拭いたらほぼ新品のように美しくなりそうだ。


コンプレッサインペラの内側にもう一つクリップがあった。このクリップはすぐに外れたが、内側のインサート部材(以後コンプレッサ軸シールカラーと呼称)がなかなかはずれない。それは後に記述する。


まずはタービン軸を取り外す。タービン軸の内側にあまり意味にない板があるな~と思っていたが、どうやらこれが遮熱板らしい。どの過給機の絵や写真を見てもこれが付いている。排気側の熱をできるだけケースに逃がすためのものだと思う。

遮熱板の内側にはギトギトのカーボンが・・・。


タービンインペラの軸側もギトギト。


さて、問題のコンプレッサインペラの内側のインサート部材(コンプレッサ軸シールカラー)を外す。これはどうみても引き抜くしかない構造なのだが、ペンチで掴んで引っ張ってもびくともしない。フランジに爪がついていて、ここをしっかりつかんで引き抜くんですよ・・・、という感じがありありするのだが、特殊工具がいるのかな?でも短気な私は強硬手段でいきます。

フランジ部分をペンチで掴んでB/H部をたたき出す木型をつくり、金づちでGO。
数回叩いたらポロッと取れました。

 
しかしペンチで無理やり掴んでいたフランジの爪部分がちょっと変形している。後で磨けばなんとかなるかな~?


引き抜いたコンプレッサ軸シールカラーはOリングで密閉されてました。コンプレッサ側の圧力差からオイル潤滑されたベアリング部を密閉するためでしょう。

引き抜いたコンプレッサ軸シールカラーを裏返したようす。軸受けオイルガード(名称は適当)とスラストカラーが写真のように納まっている。オイルガードはスラスト軸を潤滑したオイルを下方向に導いて軸方向に流れないようにしているのだと思う。

 
ベアリングハウジングとコンプレッサハウジングは2つのOリングで密閉されている。手で触った感じではゴムゴムしい感触は残っているので、まだ使えると思う(ホンマかー?)。


軸受けが出てきました。

 
スラスト軸受の構造に感動する。スラスト軸受けの接触部はノコギリのようなギザギザが90°間隔で配置されていて、これがスラスト潤滑の機能を担っているのだろう。上の図のIHIの特許にも似たようなことが書いてあった。
しかし組み上げる時のことを考えてちょっと不安になる。コンプレッサインペラのナットを締めるということは、スラスト軸受とカラーを締めるということだ。しかしどこまで締めたらいいのだろう。ナットの締め付け力はつまりは、スラストカラーでスラスト軸受を挟み込む力ということになる。締めすぎればスラスト軸受がちゃんと機能しなくなるだろうし。整備解説書をはやく買わなければいけないんだけど、なかなか踏ん切りがつかない。
※後日談:固定ナットは思いっきり締めて問題ないようだ。スラストカラー部でスラスト軸受けのクリアランスが決まるので、固定ナットはむしろ思いっきり締める。詳細はこちら 

 
軸受けまわりのオイルラインの様子。

 
すこし気になったのが冷却水の流路。入口出口の向きはわからないが、入口と出口ですぐに繋がっている。流路は一部奥の方まで伸びているようだがタービン軸を一周して戻ってくるというのではなさそう。小さい過給機なので製造上の制約かな・・・?

 
タービン軸の軸受の構成パーツ。タービンインペラの軸部にカーボンがべったりついているということは、ここから潤滑油が漏れているのか? 圧力リング(名前適当)の密閉性が悪いのか?組み立てる時に色々情報を集めよう。

 
軸受けオイルガードがとりついたらこうなる。


タービン軸を手のひらに収め、不敵な笑みを浮かべて”かの名台詞”をつぶやく。
「ふぁっはっはっはー、ついに我が手に来たか!」 カリオストロ伯爵風
 

タービン軸を手にするのは初めてだが、結構小さいよね。そして美しい。
 
これで分解は終了。
全部品を見た限りでは異常はないように見える。過給機の分解は初めてなので断言はできないが、この2号機はまだ使えるという結論に達した。
各部品の汚れを落とし、順次組み上げていく予定。
Oリング、圧力リング、軸受けは価格が安ければ交換する。
あと、1号機の分解のため、コンプレッサ軸シールカラーの引き抜きの方法を考える。コンプレッサ軸シールカラーの形状は下記。

 
Φ21の爪付きのフランジを掴める治具があれば・・・、または作る。