O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

6-2.アイのターボ化_43(ターボエンジンの搭載)

■2020年11月

 作業四日目(エンジン載せ替え作業三日目)。今日で載せ替えを終えてエンジンを始動する!  絶対にだ。

止まるな、作業を続けろ
今止まれば無理やり張り詰めた
身心へのはね返りがくる
そうしたら俺はしばらく動けなくなるだろう
だから今やらなければ!
走れ、アイ守るんだ

 ジャジャーン!(BGM)

見えた、コンプレッサーの取付角度
今ここで載せ替えるんだ・・・ たとえ、相打ちになったとしても !!

 だれかが夢の中で語り掛ける

Bくん、Bくん、がんばって、Bくん
義理のお兄ちゃんを助けるの、今のBくんならできるわ
おねがいBくん
アイちゃんまで死んでしまうわよ

 ここでクライマックス!

換装ばっけつ  !!     (ね、ねずこがしゃべった~!)

 敵を倒してエンジン始動してドヤ顔 !!

俺とアイの絆はだれにも引き裂けない  !

 

とかいう感じで鬼を成敗エンジンを換装して始動までたどり着きました。上記文章の意味がわからない人も読み返す必要はありません(笑)。たまたま今日神回の再放送していたので録画して文字起こししたのです。若い頃はマンガとアニメに人生を教えてもらっていたが、この歳になって再びアニメで勇気づけられるとは思ってもいなかった。困難な状況(体力的衰え)でも目標(エンジン換装)に向かってがんばる主人公のセリフにいちいち奮い立たされた。

 

 ここから真面目に本日の作業の話。昨日はエンジンを車体下に移動したので今朝は車体との結合である。車体を少しずつジャッキダウンし、エアコンコンプレッサーをエンジンに接続できるあたりまで下げたところで、コンプレッサーをエンジンに固定する。 ・・・はずなのだが、コンプレッサーが付けられない。奥の方で何かが干渉してボルト固定位置に取り付けられないのである。すでにエンジンと車体の隙間は相当狭くなっており、干渉しているあたりは目視できない。手も届かない。二人で交互に何度もチャレンジするが、奥で何かが当たっている。まさかNAエンジンとターボエンジンではコンプレッサーの形状が異なるのか?  もしそうならコンプレッサーは取り付けられず、ということはエンジンの載せ替えも ”The End” となる。  いや! そんなはずはない、NA車とターボ車でわざわざコンプレッサーを変える必要などないはずだ。そう思いその後何度も取り付けを試みたが、やっぱり奥の見えない所、手で触れないところで何かが干渉している。

 こういう時は休憩して頭のクールダウンだ。取り外したNAエンジンのコンプレッサーの取付位置を見直してみるがターボ車との違いは見られない。なぜ?どうして?  というフレーズが頭の中をぐるぐるまわる。下写真(後日入手した借り物)のフェールユニット(プラ製)のハーネスステーのあたりと干渉している感じなのだ。もうやけくそである。このハーネスステーを切断した。切断といっても車体下の隙間がほとんどないところを手探りで切っていった。そしてコンプレッサー取り付けの再チャレンジ。でもなんか当たってやっぱり取り付けられない。うわ~、もう泣いちゃいそう。

 もう一度休憩して頭を冷やす。冷静に考えてNA車とターボ車でコンプレッサーの形状が異なるなど考えられない。NAとターボでコンプレッサー能力に違いがあるなんて考えられない。NAとターボはしばらく平行して販売されていたので、NA車のがターボ車に取り付けられないなんて設計するのは技術者としてあるまじき行為である。絶対に取り付けられるはずだ。信じるんだ! この名車アイを設計した技術者達だぞ。そう言い聞かせ、「信じる心」でコンプレッサーを取り付けてみた。そしたら取り付きました。もう安堵の涙が止まりませんでした(嘘)。  

 下写真(後日入手の借り物写真)を見直してみると、コンプレッサーはハーネスステーの下側に潜り込む形で取り付けられている。今回の作業ではコンプレッサーへの接続ホース2本を付けたまま取り付けたので、接続ホースにより変な方向のテンションでひっぱっられていて、そのためハーネスステーの下側に潜り込ませようにはめ込むのが難しかったのだろう。車体をリフトアップしての作業であれば、目視でこのあたりの状況を確認して作業できるのだが、今回はエンジンと車体は地面に設置した状態なので、下から確認する方法がなかったのである。家にUSBの内視鏡を持っていたので、こいつを持ってきていたらもっとスムーズに作業を進められたと思う。とにかくめでたしめでたしである。

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そしてエンジンと車体を接続する。エンジンとリアサスアームが干渉するので、車体を少しづつ下げ、エンジンをそのたびに少し動かして車体をジャッキダウンしていく。あと少しで固定ボルトがエンジン側の穴に入る、という所でジャッキがフルボトムした。あれ? そういえばエンジンを外す時もそうだったので、エンジン下に5cm程の板を敷いていたのを思い出した。今更一連の作業をやり直すなんて考えられないので、今の状態でエンジン側を持ち上げよう。私は棒を使って”てこの原理”でエンジンを持ち上げ、下に板を敷く方法を提案したが、エンジンに適した引っ掛ける所が見つからない。B君は「じゃあ僕がエンジン持ち上げるので、その間にボルト締めちゃって」と軽く言う。「えっ、何言ってんの?」と思いましたよ。だってエンジンは単体で40kg程だし、今はさらにトランスミッションも結合している。おそらく80kgくらいあるだろう。疲れてきて思考能力が下がって来たんだね・・・、とか思っていたらロープを持ってきて、車体の中に入っていった。エンジンにロープをかけて、車体のエンジンルームに跨り、肩にロープをかけてエンジンを下半身の力でを持ち上げようというのだ。「なるほど、力学的には効率的な方法だな」とは思ったが、果たして持ち上がるのか? ・・・などと疑念の眼差しで見ていると、「試しに少し上げるので様子見てて」とか言いながらなんか軽く持ち上げてる!! 「しばらくはこの状態保持できそうなので、その間にボルト締めちゃって!」とさらりと言う。私はてこの原理を使うなど”機械文明的解決”を考えていたが、腕力での一発解決である。脱帽というかあぜんというか・・・。

 そんなこんなでエンジンの車体への結合は完了。次の難関は左側ドライブシャフトの取付である。取り外す時に難儀したが、そのおかげで手順はわかっている。リアサスアームの支点ボルトを外し、アーム全体を左に10cmほどずらせばいいのだ。 

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そうすると、左ドライブシャフトはすんなり取り付けられる。下写真の状態からグイっと押し込めば取り付け完了である。そしてリアサスアームの支点ボルトを付け直す。

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右のドライブシャフトはすんなり付くはずだった。抜くときはすんなり抜けたんだからね。でもスプライン部が2~3cm入った所でそれ以上入らない。何度やり直しても同じ。まあすったもんだの末に組付けできたんだけどね。

 ここでドライブシャフトの取付部の構造を整理し直しておく。まずは左側のドライブシャフト結合部。先端にCリングがあり、トランスミッション側にこのCリングが嵌る溝があるのだろう(奥すぎて目視では見えない)。このCリングだけで固定されているってことに驚く。このドライブシャフト結合部とドライブシャフトには軸方向の伸縮機構があるので、結合部には軸方向に引き抜く力は働かないのでCリングだけで固定されていても問題ないのだろう。

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次は問題の右ドライブシャフト結合部。

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トランスミッション側にCリングが付いている。

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構造を図で示すとこんな感じ。

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取り付け時に問題になったのは、2~3cm入った所でそれ以上入らないというもの。右ドライブシャフトのスプライン部の2cm程の所に謎の溝があるのが原因だ。この溝でCリングが固定されてしまい、それ以上奥に入らないのだ。この”謎の溝”は何のためあるんだろう?  初めはCリングが噛んでしまっているのかとも思ったが、Cリングの向きを変えて何度も試したが、そういう雰囲気ではなかった。金槌で叩きこめば良さそうなんだけど叩く場所がない。「ユニバーサル部のブーツを外せば叩けそうだがどうしたものか?」と悩んでいるとB君がクランプを持ってきた。これで図のように締結部を掴んでそこを金槌でコンコン叩けばすんなり入っていった。

※後日談:ドライブジョイントインサーター という工具があることを知った(一番下に写真掲載)。しかしこれを使っても溝が2つあるので役に立たないだろう。

 さあこれで大物の取付は完了したので、後はサスまわりを組み上げ、

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過給機や、その油圧ラインと冷却ラインを取り付ける。

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インタークーラーもどんどん取り付けていく。ただインタークーラーの取付はネット記事にも多数あるのだが、右側の固定ステーへの取付がすごくやりにくい。まあ今までの悪戦苦闘に比べれば軽いもんだけどね。

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マフラーも取り付ける。

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コンデンサータンク、そして力作であるオイルキャッチタンクも取り付ける。

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最後にウエストゲートバルブのソレノイド駆動用のケーブルをはんだ付け。

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さあこれでエンジンが掛けられる状態まで来た。ついにその時が来たのだ。はやる心を抑え、もう一度抜けている作業がないか確認する。

そしてクライマックスであるエンジン始動!

なんか思った以上にあっさり始動した。思い起こせば1年半前にポチッった時からこの日が来るのを夢見ていた。いやこんな日が本当に来るとは思ってなかった。

 今 万感の思いを込めて エンジンが起動する
 今 万感の思いを込めて ターボが過給する
 ひとつの改造は終わり また新しい旅立ちがはじまる
 さらばNAエンジン
 さらばOHの日々
 さらば中年の日よ

まさにそんな感じなんだけど、エンジン始動後の「おおおおおー!」って感嘆詞。何あれ!  まったくなんの”万感”感も感じない。ちょっとうまいファミマの鮭弁食べた時の感動くらいにしか感じない表現力。もう少し感動の雄叫びの練習しとけばよかったわ。

 エンジン始動後のあちこちの音を撮影しておく。ファーストアイドルということでエンジン回転数が高めという理由もあるが、ノイズ音も含め音が大きく感じる。シリンダーヘッドからは「カチカチカチ」というタペット音が耳に障るし、エンジンとトランスミッションの結合部あたりからの「ガシャガシャガシャ」という音も気になる。でも暖気が済めばタペット音はほとんど聞こえなくなったし、200km程走行した後ではこれらのエンジンノイズはほとんど聞こえなくなった。というか今までNAエンジンでこういうエンジン音を気にして聞いたことなんてなかったしね。ターボ換装後は運転中はエンジン音がものすごく静かになった。

さあラストスパート。マフラーの防熱カバーを取付て、

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リアバンパーを取り付ける。リアバンパーは簡単に組み付いており、取外しと組付けは慣れれば10分くらいでできそうだ。

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最後にバンパー左右をボディの爪にパチンと押し込めば完了。

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 バンパーをつけようとしたら、左のアーム部の穴の位置が合わなかった。そういえば7年前に妻がリアバンパーぶつけて修理したことがあった。修理屋さんは曲がっていた左側のアームを結構適当に直して修理していたようで、右側のアームはまっすぐなのに左側は”ぐねっ”と曲がっている。おまけに曲がった所の塗装も剥がれてサビていた。左アームをちゃんと伸ばしてサビているところはやすり掛けしてシャーシブラックを塗布しておいた。

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NAエンジンのマフラーボルトはネジ山が完全になくなっていたので、すんなりと外れないだろうからグラインダーでのカットを覚悟していたし、新品も購入していた。しかしながら結構あっさり外れて再利用も可能な雰囲気だった。でもまあせっかく新品部品買ったんだし、新品を取り付ける。

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リアバンパーも取り付きターボエンジンへの載せ替え完了である。

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Before/Afterの写真。今まで汚いものでも見るような目で見ていたエンジンルームだが、今は愛しいものを見つめる気持ちでエンジンルームを見るようになった。

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降ろしたNAエンジン。君の将来にはどんな未来が待ち受けているのか。

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7~8年後に再びこのエンジンをオーバーホールして、こいつをターボエンジンとして復活させたい気持ちが心の片隅にはある。でもこの1年半、趣味の時間をほぼエンジンのOHに注ぎ込んでいたことを思い返すと、ふたたびあの日々を送る自信があまりない。まあすごく楽しかったのではあるが、他の趣味はほぼストップしていた。今回実感したよね!いくつもの趣味を並列で進めるのは無理だと。運動系とモノづくり系などジャンルの異なる趣味ならできるだろうけど、モノづくりで複数の並列作業は難しい。お風呂に入っている時など頭が空っぽの時に作業方法や改造案を考えるのだが、そういう種類の思考の同時並行は私には無理っぽい。

 しかしこのNAエンジンをターボエンジンとしてOHして復活させ、アイに搭載することが”真のNAアイのターボ化”と言えるのではないだろうか。未来の俺よ、そういう気持ちを忘れないでおくれ。今の俺はエンジンOHにかかりっきりで妻からの家のメンテ要求を断り続けていたので、妻の”不満のマグマ”が蓄積されているこの危険な状況を解消しなければならないのである。

 

 とにかくこれにてエンジン載替え作業は終了。お世話になったBくん家族には再度お礼申し上げる。荷物を積み込み我が家へGO! 自宅すぐ近くまでは順調に動いていたのであるが、我が家が近づき安堵感が漂い始めた時に、問題が起きたのである。

   風雲急を告げる!  次週、誰も想像すらしなかったクライマックスへ。

                           つづく!

追記1

 今回はリアサスアームを取り外さない方法を採用したが、やってみるとやっぱり取り外した方が楽だということ。まずドライブシャフトの抜き取りがめんどくさい。左側を抜き取るには結局リアサスアームの軸を外している。リアブレーキライン、サイドブレーキワイヤ、車速センサを取り外しと再取り付けがめんどうと思っていたけど、リアサスアームをつけたままの作業はそれ以上に手間だった。車体の上げ下げでエンジンを降ろすわけだが安全確認しながら少しづつ上げ下げするのって想像以上に時間と体力と神経を使う。また、エンジンとリアアームが干渉するので、少し上げてはエンジン位置を動かし、という作業も心身を削ぐ。さらにエアコンコンプレッサーの取り付けが車体もエンジンも地面に接した状態でしなければならないので大変だった。これは慣れれば大丈夫かもしれないけど。リアサスアームを外してエンジンのリフト装置を作って作業すれば、時間も体力も作業の正確さも向上すると思う。次回(があれば)はそうしよう。

 

追記2

 作業二日目までは色々トラブルもあり相当追い詰められていたので、姪っ子ともあまり遊べなかった。エンジンが始動し精神的余裕ができたので、やっと姪っ子に遊んでもらった。姪っ子は自然の中で育った虫愛でる姫である。昨年会ったときはカナヘビ(トカゲの種類)が好きで、自分で描いたカナヘビTシャツを着ていた。今回Bくん宅に行くと、離れの壁にはカナヘビが3匹描かれていた。玄関にもカナヘビの絵が飾られており、姪っ子は相変わらずカナヘビTシャツを着ていた。また学校の宿題ではカナヘビの観察日記を書いており、切れたしっぽが再生する様子などを図解入りで解説していた。なかなか読み応えのある観察日記であった。

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 またモノづくりにも並々ならぬ興味を持っており、最近はストローを使った作品を毎晩作っていた。下の写真は私がいる間に作った製品群である。龍の背中のうろこなど、はさみで細かい切込みを入れて表現している。おそれいる。

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 また運動も大好きで、毎晩元気なねこみたいに跳ね回ったり、器械体操したりしていた。私も参加したかったが、もし体を痛めでもしたらエンジン換装作業が絶体絶命の状況になるので、うずうずしながら見学していたのだが、エンジン始動した晩は私も参戦。若い時は体を動かすのが大好きで特に前転が得意だった。前転といっても大した技ではなく、逆立ち状態から背中側へ倒れる時に右手首と肩をくるりと180°まわして猫のように体をひねってストンと着地するのだ。この技を持っていると逆立ち状態から背中側に倒れる時に確実に両足で着地できるので、コンクリートの上でも不安なく逆立ちできた。友達とよく砂場などでそういう遊びをしていたが、私のその技はだれも真似する事はできなかった。10年くらい前までは普通にその前転をしていたのだが、その動きは体に染みついている(はず)ので姪っ子の前で披露した。しかし10年のブランク(というか体の老化)は思った以上に大きく、足とお尻が同時にドスンと床に着地(墜落)した。これには自分でも驚いた。昔は歩くように普通にできていた動作ができないのだ。結構ショックで、ムキになって3回チャレンジ。この技の肝は倒立状態からゆっくりと背中側に倒れても”ひらり”と手と肩を回転させて両足で着地できるところなのだが、今回は多少勢いをつけて前転時の回転の勢いを利用し(第二の型)なんとか両足で着地できた。ちょっと腰が痛かったけどなんとか面目は保てた感じ。驚いたのは翌日、姪っ子はほぼその前転を再現していたのだ。写輪眼でも持っているのか?

 

 

※ドライブジョイントインサーター という工具。

でもこれ使ってもだめっぽいよね。