O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

4-5.NP赤道儀メンテ(赤経軸グリスアップ)

4-5.NP赤道儀メンテ(赤経軸グリスアップ)

  赤道儀のメンテナンスは赤緯ウォームのすり合せを完了し、いよいよ最終章”赤経軸のグリスアップ”に移行する(大げさ。   
や、最終章は赤経軸のすり合せだ(^^ゞ。  最終章一歩手前だな。
  まずは分解から。極軸望遠鏡を外し、赤経軸後端の止めリングを緩める。といってもこいつはどう外したらいいか分からなかった。ネットを見ても情報は見当たらない。見るからに回して外すと思うのだが、ネジ部が(たぶん)錆びていて回らない。プライヤーで下写真のように力ずくで回したのだが、ギリギリギリっと、ネジが緩んでいるような動きではなかった。途中何度も、どこかに隠しネジがあるんじゃないかとあちこち見直すのだが、そういったものは見当たらない。やっぱり回すのみだ!と意を決してふただび力ずくで回す。

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それの繰り返しでなんとか外れた。ネジ部はやっぱり相当錆が回っていた。止めリングも傷だらけになった。
  さて、すぐに次の難関はやってきた。今外した止め具はスケールカバーを固定していたもので、赤経軸の止めリングはその中にあった。プラスネジの回り止めが見える。筐体にはネジを通す切り欠きがあるのだが、スケールが蓋されていて、このままでは回り止めネジを緩めることができない。スケールは筐体に接着しているようで、すんなりとは外れそうにない(※1)。このNP赤道儀というのはメンテナンスのことは考えられていない設計ではないのかと疑ってしまう。
※1 追記
  後日、kirara☆さんのページでスケールカバーを(すんなり?)はずしていることを知りました。接着されているのでないのかしら?力を入れたら曲がってしまいそうで怖かったんだよね。kirara☆さんはNP赤道儀をベルトドライブでかっこよく仕上げてます。

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しかたがないので、スケール板に穴を空けドライバーを通すことにする。

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これで止めリングは回るはずだが、スケール部が邪魔でリング部をつかんで回すということができない。また色々考え、部屋の中をきょろきょろし、適任の部材を発見。加工で余った塩ビ管の端。こいつに穴をあけ、周り止めネジ部に浅くネジを通す治具を製作。
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やったー、やっと外れた。
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よーし、一気に赤経軸も外すぞー。だが、赤経軸を引っ張るもするりと抜ける気配はない。しかしどう見てもあとは引っ張るだけだよねと、ちょっと力を入れてこじりながら引っこ抜いた。ガリッ”。!!!?あれ?なんの音。どっか噛んだ?もとに戻そうとしたが、それも硬くてできない。抜くしかない状況に追い込まれ、再度力を入れてこじりながら外す。ガリッ、ガリガリガリ~”それは背筋も凍る擬音であった。
  がーん!見るとウォームホイルの外側に大きな傷が。
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いや、違うよね。傷がこんなきれいな模様を描くはずがない。グリスを効率よくめぐらせるスリットだよね。きっとそう。
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ルーペでスリットを観察。やっぱり。これは紛ごうことなき傷です(T_T)/~~~。
なんか現実を見ていられなくて、グリスを塗ってさっさと元に戻した。赤経軸挿入時、また"ガリ"と異音を発しながら差し込んだ。で、赤経軸を回して見る。明らかにスムーズとは言いがたい渋さであった。分解前の方がはるかに滑らかだ。
あっか~ん!。もーいや!。ということでその日は現実から逃げ、ふて寝した。
  数日後、やっぱり現実を見ないと!ということでもう一度赤経軸を抜いた。抜くときもやっぱり”ガリッ”と異音を発し、アルミ材が削れる手ごたえが手に伝わってくる。
赤経軸の受け側をよく観察すると、一箇所明らかに不自然な部分を発見。こいつが犯人だ。
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なぜこの部分に出っ張りが出来たのかはよくわからない。外部からの力でこんな所が変形するとは思えない。手で触って違和感がないようにヤスリで磨いた。
心を落ち着かせ、赤経軸周辺を観察。

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ウォームホイールのスリーブ部外径はΦ34mm。
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赤経軸はΦ25.4mm
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赤緯側のウォームホイールと比べるとかなり大きいね。というか赤緯側がちょっと細すぎだな。
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さて、気持ちを落ち着けて傷を見てみる。
傷は抜く時、挿す時、そして再び抜く時の3回分できている。
下写真の切れのいい傷は一回目。ぬめっとした迷いのある傷は二回目の抜く時だ。
二回目は傷が出来るとわかっていて抜くのでこわごわ抜いたというのが丸分かりの傷だ。

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そして挿す時はぐっと押し込んだので一直線の傷が・・・。あーあ。
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赤緯ウォームホイール&ギヤのすり合せを心を込めて行なった愛着がまたまた両手から零れ落ちそうになる。いや、だめだ!。責任を持って最後まで愛情を注げ!(誰に向かって言っている?)
  まずは傷の修復だ。ルーペで見ながら出っ張っているところをカッターで削っていく。そして最後、#1000の耐水ペーパで心を込めて磨く。
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そしてこのように仕上がった。傷のへこんだ部分はどうしようもないが、少なくとも出っ張った部分は滑らかになった。
  心を込めて磨いたホイールを抱きしめる。

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赤経軸の全部品を並べて記念撮影。

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今度こそはと、組み立てに入る。
ウォームホイールを挿入したが、今度は滑らかに入った。動きも滑らかだ。

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  続いて赤経軸を挿入したのだが、ジャリジャリっといういやな音がした。グリスを塗る前の仮組みではスッっと入ったのだが。
  ちょっと話は逸れるが、赤道儀分解前にネットでいろいろ情報を漁った。NP赤道儀に関しては情報が少なかったが、SPやGP赤道儀に関しては非常に多くの情報があった。そこでは"赤経軸は非常に高精度の加工がされているので、グリスを塗らずに差し込むと、がっちり噛んでしまうので抜くのが大変になりますよ!"との注意書きが多数見受けられた。赤道儀ってそれだけの精密機械なんだね、ワクワク、ってな気持ちで本NP赤道儀の分解に臨んだのだが、なんか違う。そんな精密機械って感じがぜんぜんしない。
  で、話戻って赤経軸のグリスを塗る前に仮組みした時だが、おそるおそるちょっとだけ挿してみた。がなんかゆるゆる。か~るく挿し込んでいくと何の抵抗もなく最後まで挿入。回して見てもゆるゆるである。なんかSP赤道儀とかとはだいぶ違うなと実感。
  さて、グリスを塗ったらじゃりじゃりいうのは、赤経軸を良く見るとわかった。

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赤経軸に多数の傷、というか出っ張りがある。グリスなしだと全体のクリアランスが大きいので、これらの傷はわからないが、グリスを塗ると傷の反対側の隙間にグリスが入り込み、傷をウォームホイール内側に押し当てるのだろう。
  この傷も耐水ペーパで磨いたら、このジャリジャリ感は感じなくなった。
せっかく赤経軸を外したのだから、赤経軸の回転止めも新しく追加。赤経の駆動ギヤ(二段目のウォームホイール)はちょっと大きくなっているので、ギヤ部が下側に来ると、高度調整用ネジとぶつかりネジが痛むので、その防止用。
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最後にさびさびになっていたネジを外し、ボール盤につけて磨いた。長らくベランダに放置され廃棄寸前だった赤道儀もこれでぴかぴかに復活だ。

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なんか望遠鏡をいじってばかりで、撮影はほとんどしていない。そろそろちゃんとした写真を撮りたいねぇ。