お風呂上りに望遠鏡をいじっていて、赤緯軸のガタが気になった。遠方のマンション(635m)を見ながら赤緯方向に振ると、2階分ほとのガタ(約5m)がある。0.45°である。月1個分。ちょっと大きいよなぁと六角レンチとマイナスドライバーをごそごそ出し、赤緯ウォームの調整をする。前に散々調整したような記憶もあるが、このガタはやはり気に入らない。

ウォームギヤ台座を固定している固定ネジを緩め、押しネジと引きネジでウォームホイールとウォームギヤのギャップを調整していくのだが、ギャップを縮めるとガタは減るが、動きの渋い箇所が出てくる。結局以前の調整程度が限界となる。ウォームホイールの偏心ならあきらめもつくが、ウォームギヤを一回まわすだけでも硬さの起伏がある。なんだかだんだん腹が立ってきて夜中に分解を始めた。ウォームギヤ・ホイールのグリスも拭き取った。なんだか後に戻れない状態となり、ウォームホイールとギヤのすり合せをする決心が着いた。こうして赤道儀メンテナンスの沼に嵌まっていくのである。
分解した赤道儀を机の上に並べ、数日悩んだ結果、手持ちの充電式ハンドドリルを使い赤緯ウォーム軸を回すことにする。ドリルとウォーム軸の結合にだいぶ頭を悩ますが、アリガタ・アリミゾを作った時の余りのアルミ材を使う。まずウォーム軸とドリルビットの径(Φ6mm)の穴をあけ、弓のこで切る。





土台はベランダに置いていたコンパネ端材を木工ボンドで接合。ハンドドリルの設置はエポキシパテで形成する。まずハンドドリルにラップをまいて、土台にパテを盛り、ちょうどいい高さにドリルを固定。

エポキシが固まったらドリルだけ取り外す。

次は赤緯軸に適当な負荷を掛ける方法を考える。ウォーム軸にベルトをかけて引っ張り、その摩擦を負荷にするなど考えたが、お風呂に入っている時にポンと浮かんだ。赤緯軸の抜け防止のための固定ネジとウォームホイールの間に適当なスペーサーを入れ、固定ネジの締め具合で負荷をかければいいんじゃない・・・と。
内径Φ20mm、高さ13mmのスペーサー。家の中をうろうろ探す。もっともありそうなのが、妻の化粧品。ものすごい数の円柱形のビンが並んでいるので、そのキャップにいいのがありそう。使えそうなのが一個あった。でも黙って使ったら怒られるかな・・・としばらく悩んでいた。もやもやした気持ちでペットボトルのお茶に手を伸ばして、はっと気づく。ペットボトルの飲み口部ってぴったり。ゴミ箱を漁ると3個でてきた。早速はさみで切り取ったんだけど、キャップ部分って結構硬いんだよね。30分ほどカッターで奮闘し、一品を採用した。



最後に電池BOXを製作。

負荷用のスペーサーがこれ。ペットボトルキャップスペーサー + ナイロンリング(ファイルはさむバインダーから切り取り)。これでネジを締めればちょうどいい負荷となる。

いろいろ手をかけているうちに"赤緯ウォームすり合せ架台"にはどんどん愛着が沸いてきた。一回しか使わないかもしれないのに塗装までやっちゃいました。





ただちょっと音がうるさく近所迷惑になるかも?と思ったので、段ボール箱&引き出しの二重防音ケースに入れる。
隣の部屋に行くと聞こえなくなるので、昼間動かす分には問題ないだろう。単一充電池では約1時間動く。電池は5本あるので約5時間。充電に半日かかる。最終的に10時間のすり合せを行なった。
その成果は次の通り。まずウォームギヤから。

次にウォームホイール側

組み上げて調整すると確かにガタは減った。R-100S(f=600mm)で遠方のマンションを見て(635mm)、赤緯方向に振ってみる。ガタは1.2階分(3m)で0.27°。すり合せ前の半分近くまで減った。
このすり合せ作業はかなり気合を入れた作業となったが、時間をかけた分だけこの赤道儀への愛着は深まった。赤緯のガタはもうちょっと減ってほしかったが、愛着が深まったことを成果としよう。