O型のまこさん

O型のまこさん

趣味でいろいろ作った備忘録

4-5.NP赤道儀メンテ(ウォームすり合せも)

4-5.NP赤道儀のメンテナンス(赤緯ウォームギヤのすり合せも実施)

  お風呂上りに望遠鏡をいじっていて、赤緯軸のガタが気になった。遠方のマンション(635m)を見ながら赤緯方向に振ると、2階分ほとのガタ(約5m)がある。0.45°である。月1個分。ちょっと大きいよなぁと六角レンチとマイナスドライバーをごそごそ出し、赤緯ウォームの調整をする。前に散々調整したような記憶もあるが、このガタはやはり気に入らない。
イメージ 1

ウォームギヤ台座を固定している固定ネジを緩め、押しネジと引きネジでウォームホイールとウォームギヤのギャップを調整していくのだが、ギャップを縮めるとガタは減るが、動きの渋い箇所が出てくる。結局以前の調整程度が限界となる。ウォームホイールの偏心ならあきらめもつくが、ウォームギヤを一回まわすだけでも硬さの起伏がある。なんだかだんだん腹が立ってきて夜中に分解を始めた。ウォームギヤ・ホイールのグリスも拭き取った。なんだか後に戻れない状態となり、ウォームホイールとギヤのすり合せをする決心が着いた。こうして赤道儀メンテナンスの沼に嵌まっていくのである。
  分解した赤道儀を机の上に並べ、数日悩んだ結果、手持ちの充電式ハンドドリルを使い赤緯ウォーム軸を回すことにする。ドリルとウォーム軸の結合にだいぶ頭を悩ますが、アリガタ・アリミゾを作った時の余りのアルミ材を使う。まずウォーム軸とドリルビットの径(Φ6mm)の穴をあけ、弓のこで切る。
イメージ 2

軸固定用のタップを切り、少し整形する。
イメージ 3


うんなんだかいけてるぞ。適当に作ってもちゃんとジョイントできてる。まあ見た目は悪いけどね。
イメージ 4


次は固定する土台の製作である。
イメージ 5


その前にグリースを買って来た。色々ネットで調べたが、二硫化モリブデン配合のがいいらしい。
イメージ 6

土台はベランダに置いていたコンパネ端材を木工ボンドで接合。ハンドドリルの設置はエポキシパテで形成する。まずハンドドリルにラップをまいて、土台にパテを盛り、ちょうどいい高さにドリルを固定。
イメージ 7

エポキシが固まったらドリルだけ取り外す。
イメージ 8

これで赤緯ウォームすり合せベースの土台完成。
   次は赤緯軸に適当な負荷を掛ける方法を考える。ウォーム軸にベルトをかけて引っ張り、その摩擦を負荷にするなど考えたが、お風呂に入っている時にポンと浮かんだ。
赤緯軸の抜け防止のための固定ネジとウォームホイールの間に適当なスペーサーを入れ、固定ネジの締め具合で負荷をかければいいんじゃない・・・と。
  内径Φ20mm、高さ13mmのスペーサー。家の中をうろうろ探す。もっともありそうなのが、妻の化粧品。ものすごい数の円柱形のビンが並んでいるので、そのキャップにいいのがありそう。使えそうなのが一個あった。でも黙って使ったら怒られるかな・・・としばらく悩んでいた。もやもやした気持ちでペットボトルのお茶に手を伸ばして、はっと気づく。ペットボトルの飲み口部ってぴったり。ゴミ箱を漁ると3個でてきた。早速はさみで切り取ったんだけど、キャップ部分って結構硬いんだよね。30分ほどカッターで奮闘し、一品を採用した。
イメージ 9


たかがキャップなのだが、奮闘しているうちに愛着が沸いてきた。このキャップはもう捨てれないだろう。
イメージ 10

試しに回して見たがスムーズに回った。よし、あと少し。
イメージ 11

すり合せのための研磨剤もいろいろ探したが、ホームセンターでいいのが無く、オートバックスで上記の品を購入。ネットで研磨剤を購入しようと思ったのだが、何ミクロンぐらいがいいのか判断できずとりあえず、手っ取り早く手に入るもので妥協。
最後に電池BOXを製作。
イメージ 12

負荷用のスペーサーがこれ。ペットボトルキャップスペーサー + ナイロンリング(ファイルはさむバインダーから切り取り)。これでネジを締めればちょうどいい負荷となる。
イメージ 13

いろいろ手をかけているうちに"赤緯ウォームすり合せ架台"にはどんどん愛着が沸いてきた。一回しか使わないかもしれないのに塗装までやっちゃいました。
イメージ 14

そうそう、ハンドドリルも少し手を加える必要がある。
イメージ 15

このハンドドリルは3.6V仕様で、ニッカド電池が3個入っていた。が、バッテリがへたったので、手持ちの単二型の充電池に入れ替えたもの。ウォームすり合わせには回転速度がちょっと速すぎではという気がして、また駆動時間も考慮し、外部に単一型の充電池を配置することとした。この単一型も結構前に入手したもので、あまり使い道が無く捨てようかと思っていた。なので今回活躍できる場を与えることができた。ハンドドリルからケーブルを引き出し、ベースに取り付けた電池BOXに接続する。SWはつけず、正転逆転は電池を手で入れ替える。
イメージ 16

・・・よーし、いよいよすり合せの開始である。ウォームギヤに研磨剤(キズ消しクリーム)を塗り、
イメージ 17


ウォームホイールにも塗る。回転軸に入らないように注意する。軸が削れちゃうもんね。
イメージ 18

動作はこんな感じ。一時間毎に正転逆転を繰り返す。

ただちょっと音がうるさく近所迷惑になるかも?と思ったので、段ボール箱&引き出しの二重防音ケースに入れる。

隣の部屋に行くと聞こえなくなるので、昼間動かす分には問題ないだろう。単一充電池では約1時間動く。電池は5本あるので約5時間。充電に半日かかる。最終的に10時間のすり合せを行なった。
その成果は次の通り。まずウォームギヤから。
イメージ 19

ここは大事なとこだから画像も大きめ。すり合せ前はけっこうキズがある。これはきっと遥か昔(購入当時)に扱いが雑でつけた傷だろう。大きな傷の出っ張りはカッターでちょんちょんと削った。しかしそれでなくても赤緯ウォームギヤは使われていた痕跡もないような風合いだな。すり合せ後はギヤ当たり面が磨き上げられ非常に美しくなった。
次にウォームホイール
イメージ 20

すり合せ前はホイールの谷側に数箇所くぼみキズがあった。どうも金属片を噛んだような感じ。こういうキズがすり合せ後にはかなり平坦に馴らされていた。本来ウォームギヤの山とホーイル側の谷の部分って接触しないものだと思っていたが、少なくともこの赤道儀の山谷は接触していた。それが調整がうまくいかない第一要因だったようだ。今回のすり合せ作業はギヤとホイールの当たり面のすり合せというより、山谷の当たり面をすり合せたという感じ。
  組み上げて調整すると確かにガタは減った。R-100S(f=600mm)で遠方のマンションを見て(635mm)、赤緯方向に振ってみる。ガタは1.2階分(3m)で0.27°。すり合せ前の半分近くまで減った。
  このすり合せ作業はかなり気合を入れた作業となったが、時間をかけた分だけこの赤道儀への愛着は深まった。赤緯のガタはもうちょっと減ってほしかったが、愛着が深まったことを成果としよう。