■2019年1月頃
天体撮影がおろそかになっているな~、・・・との深い反省は絶えずあるのだが、そのためにもどうしても通らなければならない道があるのだ。旋盤のパワーアップである。赤道儀にベアリングを組み込んだり、あーしたり、こーしたり、とやりたいことは山積みなのだが(実現の可否はともかく)、今の戦力ではあまりに力不足。旋盤のパワーアップの初めの一歩としてトルクアッププーリーを製作することにした。今の仕様では100Wのモータに2.4の減速プーリで主軸を駆動しているのだが、低回転でトルクがか細い。最近わかって来たのだが、旋盤に求められるのは、”1”に剛性、”2”に低速トルク。初めの頃は”勢い(スピード)”で削るのかと思っていたがそうじゃない。とにかく剛性が大事。そして削っていけるトルク。剛性を上げるには主軸周りやベッドの補強が必要で、まだまだ先が長い。・・・で、まずは低速トルクの向上を計画する。現状の1段プーリー(減速比2.4)を2段プーリーにして減速比を5近くまですればトルクは2倍になる。
そこで白羽の矢が立ったのが初期のモーターに付いていたプーリー。これは単段プーリーの横にベルトミゾを適当に削って使っていたものだ(本来のプーリーの径が大きくて使いにくかったので)。このベルト部をもう少しきちんと切削して減速プーリー(トルクアッププーリー)として活用しようというものだ。
図面では下のようになる。プーリーの両端をベアリングで固定する。
まずはベルト面をきれいに切削する。今回は角度をちゃんと設定した。
表面の切削完了!ベアリングのはまり具合はガタもなく、ちょっと押し込めばピッタリとはまる。我が人生で最高の嵌め合わせだろう(笑。
裏面も切削ベアリング台座を慎重に削り、また周辺にかっこいい段差もつけた。こういうちょっとした段差があると美しさが格段にアップする。
プーリーの保持材を買い出し。
L金具にはドリルで穴をいっぱい空けてから金ノコで切断。
ベアリング軸受けは両端にM12のネジをダイスで切るのだが、手回しでは力足らずで切れない。頑張って回していたら手がおかしくなってきた。若い時とは違い再生能力が限られているので、体に負荷をかけた作業はできるだけ控えなければ・・・。
下の写真のように軸側を万力で固定して、ダイス用のハンドルでなら回せるかなとも思ったけど、万力で挟んだ軸部が回ってしまう。軸部に平行部を作って、そこを万力で挟めばいいかとも思ったが、ちょっと頭を整理して考えた。
M12のネジ切はΦ12の円柱に対して行っていたが、ちょっと径を小さくし、φ11.5あたりまで細くした。これでネジ切の抵抗がかなり減って旋盤に咥えたままネジを切っていけた(もちろん手回しです)。そして完成した軸部。
スペーサーなども作って、さび止めも考え黒スプレー。
組付けるとこんな感じ。左側のベアリングが飛び出しているように見えるが細かいことは気にしない。
旋盤に実装する。Vベルトがかなり短いのが2本になったので取り回しが窮屈になった。ここでちょっと失敗。Vベルトを”ものたろう”で購入したのだが、ベルトの長さを間違えた。ベルトの長さはインチ表示なのだが、mm単位と勘違いして発注したので2.5倍長いベルトがやってきたというわけ。ベルト幅はmm単位なのに、その横にある長さがインチ単位なのは納得がいかない・・・。
とりあえず組み上げ動作確認。これまでの主軸の回転数は120rpmあたりまでが実用下限だったが、今回の改造により60rpmあたりから使えるようになった。最高回転数は500rpmなのだが、中間プーリーに起因すると思われる振動が発生し美しくない。バランス取りとかすればこういうのなくなるのかなぁ? バランスというよりは、オリジナルのベルトあたり面が左右に振れているのが原因に思えるんだけどねぇ。
※追記:変な音がしていたのは左右のベアリング受け部の軸がずれていたため、回転毎にベアリングと受け部が左右に擦れるが原因でした。ベアリングを取り付ける時にグリスを塗ると音がしなくなった。
ちょっと試し切削してみたが、低回転でもりもり削っていけるようになった。切削時の切込み量も増やせるようになったのだが、そうすると目に見えてワークがしなり、改めて剛性不足を実感するようになった。