6-2.アイのターボ化_29(センサ、RRオイルシール、テンショナー、サーモ)
■2020年7月
エンジンの主要センサについて確認する。まずはカム角センサ。おそらくはピックアップセンサなのだと思うけど、3ピンの内の2ピン間で通あり(1.25kΩ)。他は抵抗無限大。
クランク角センサも同じような感じだが、2ピン間で瞬間的に通があるだけ。構造がわからないので、これが正常な状態かどうかはわからない。エンジンを載せ替えてもこのエンジンが始動しないのであれば、今動いているエンジンのセンサを一個づつ付け替えて確認するしかないかなぁ。こういう時こそOBD2の診断機能だと思うのだが、アイのOBD2はちょっと仕様が特殊のようで、汎用ツールではうまく通信ができない。ちまちまトライはしているが、OBD2通信が使えるようになる自信はちょっとない。
MIVECのオイルコントロールバルブは2ピンで9.2Ω。これはただのソレノイドだと思うので、動作部になにかつまりでもしなければ問題はないだろう。
話題変わってマフラーの話。アイはNAとターボでマフラーは異なる。またターボでも前期と後期でも少し違う。後期はO2センサが2つついてる。おそらくエコ走行のモニタに使っているのだろう。また排気管先端径も少し太くなっているらしい(φ50mmくらい)。
アイターボ化の心の師匠であるruoさんもしばらくはNA用のマフラーを使っていたので、私も師匠にならってしばらくはNA用のマフラーを使おうと思っていた。しかしジャッキテスト時にマフラー周辺を確認したら、取付ボルトのネジ山が腐食により完全に無くなっていたのを見て考え直した。というのも、エンジン交換はおそらくどこかの場所を借りて行う。交換作業最中に”ボルトが外せないのでやり直し”などという状況はあってはならないのだ。だって、この車で交換するエンジンや工具一式を持っていき、そこでエンジン交換するわけだから、新しいエンジンを載せ替えるまで、そこからの移動はできないのだ。不測の事態が発生すると手詰まりになってしまう。今のマフラーのボルトが外せなければそこで手詰まり。もちろん事前にボルトを外してみればいいのだけど、そこでボルトを折ってしまっても手詰まり。ということでマフラーを一式持っておく必要が出てきた。ということでターボ用のマフラーを某オクで入手した。
送料を節約するため手渡しで受け取れる品を!ということで半年程ウォッチして入手した。六甲アイランドの解体屋なのだが受け取りに行くと女性が二名、天使のような笑顔で対応してくれた。
2006年式ということだが、まずまずの綺麗さだ。
付け根のあたりはやっぱりサビているがまだしばらくは大丈夫だろう。
ちょっと気分転換に予備のピストンをクリーニング。
綺麗になったパーツを見ていると心が綺麗になっていくよね。
長らく購入を躊躇っていたクランクシャフトRRオイルシールをついに入手した。
10万キロ走行したオイルシールと新品をまじまじと比較。まあ多少固くなっているが、それでもまだまだ使えそうな感じ。
シール部のひだひだはどういう役割があるのかな?
さあ、取り付けだ!
と取り付け部を見るとクランクシャフトの摺動面にサビが・・・(;´Д`)。
せっかく旋盤でつやつやぴかぴかに磨いたのに。泣けてくる。
耐水ペーパーで磨いてサビを落とし、気を取り直して組付けだ。
取り付け完了。
次にドライブプレートやクランクシャフトプーリーの組付け。特にクランクシャフトプーリー締め付けは相当なトルクが必要なので、固定台座(シリンダー45°傾斜)に設置。
まずはドライブプレートを組み付け。ボルトネジ部にはシール材を塗る。初めは緩め止めかと思っていたが、緩め止めではなくシール材。ボルト穴は貫通しているのでエンジン内部からのオイル漏れを防ぐためだと思われる。
ドライブプレートの外周はスターターのギヤとかみ合うギヤなのだが、よくよくみると片面が丸まっている。これはスターターギヤとかみ合いやすくするためにこうなっているのか、はたまた摩耗したからなのかは不明。
分解時に製作したドライブプレート固定バーを取り付ける。
そして問題のプーリーボルトを締め付ける。まず150Nmで締めこんで緩める。そして再度50Nmで締めてから、60°の増し締めだ。しかし相当なトルクを掛けなければ回らない。延長パイプをつけて思いっきり締めたのだが、50°ちょっとしか締められなかった。土台ごとエンジンが動いちゃうから。
次にサーモスタットの動作確認。サーモスタットは88℃から開き始め、100℃で8mm以上リフトすればOKとのこと。家の鍋を使ったら妻が大激怒しそうなので、大きめの空き缶でお湯を沸かす。
お湯の温度とサーモスタットの動作状況をチェック。まあ問題はなさそう。
次にドライベルトのオートテンショナーもメンテする。テンショナーはバネ力でベルトに張力を与えるもので、下写真の矢印の方向にテンションがかかる。テンションを縮める時は六角ボルトにレンチで締める方向に力を加える(下写真の矢印の反対方向)。はじめはこの動きが固着していて壊れているのかと思ったが、グイッっとレンチに力を込めると固着もとれて普通に動くようになった。
テンショナーの構造はこのようになっている。おそらく固定ピンを抜いて、回転軸部のネジを緩めればテンショナーを分解できるのだろう。分解して中を見たかったが、今回パス。
固定ボルトを緩めるとプーリーが外せる。
プーリーにはボールベアリングは入っているが、両側ともつばがある。よくよく見ると片側のツバは段差があるので、この部分は円環で嵌めているだけだろう。このツバをマイナスドライバーなどで外せばベアリングも抜けるだろ。
※後日談:後日プーリーのベアリング交換にチャレンジしたがやっぱ無理そう。
上側のプーラーも同じベアリング。
内側の泥除けだけがサビている。これだけ再塗装しよう。
ベアリングの回転はスムーズで問題は無いようだけど、10万キロ12年経過したエンジンなので、グリースを入れ直おしたい。オイルシールを外すのに精密ドライバーを差込んでてこの原理で外した。その時に「プチッ」という音がしてシールの一部が切れた。円弧状の工具などがあれば無傷で外せそうなんだけどね。
ベアリング内部には少しグリスが残っている。
取り外す時に出来たキズ。
反対側のオイルシールはベアリングの隙間から精密ドライバを差込んで押せば外せる。
こんな感じ。
保持具はプラスチック製で、ドライバで押し出せば簡単に外れる。
ボールを片側に寄せても、内輪が抜けない。たぶん力を入れれば抜けるだろうけど、無理はしないでおこう。
パーツクリーナーでグリスを落とすと結露した。
前の自転車修理時に使用したグリスを塗布。
こういうボールベアリングに使うグリスはどういうものがいいのか知識不足。一般的な情報をピックアップする。転がり軸受け用か、ホイールベアリング用のグリスあたりを考えればいいのかな。こう見ると自転車用のグリースは温度範囲も広くって結構適している気がする。
オイルシールを指で押し込む。
プーリーは2つともグリースを封入し直した。オイルシールを外す時はどちらも1個はキズが付いた。
オイルシールを痛めたのは気になるが数年は問題なく使えるだろう。エンジンを載せ替えたら、こういう細かい所を定期的にメンテナンスしていこう。一通りOHしたので、どこに注意して見ていけばいいのかはほぼ把握できたし、またエンジン一台分の予備機があるのだから、今後のメンテナンスも効率的にできる。