■2020年7月
最近プリセット型のトルクレンチを入手した(写真の下)。これまでは写真上の300Nmのトルクレンチを使っていた。初めてトルクレンチを見たのは中学時代の図工の時間でプレート式のものだった。イメージ的には仕組みがわかりやすく、構造上故障もしそうにないので初めて手に入れたのはやはりプレート式のものだった。大は小を兼ねるということで300Nmのものを入手(金額的に安かったのが主な理由ね。某オクで済送料込みで1800円ほど)。でも使ってみて50Nm以下の小トルクで締めるのはちょっと難しかったのでミニトルクレンチを作ったのだけど、バーの部分はステンレスの棒。30Nmくらいまでなら弾性範囲内なのだが、それを超えると塑性変形域になる。長い間バネ鋼のΦ5バーを探していたのだけど見つけられず・・・。特段急ぐ案件でもないので放置していたが、たまたま某オクでジャンクのプリセット型トルクレンチが安く出ていたのでゲットしたのだ。送料込みで1400円ほど。
このトルクレンチは動作しなくなり、分解したら中の鋼球を1個紛失したというもの。まあ最悪ちゃんと動かなくても内部構造をまじまじと観察できれば幸せという気持ちで入手。さっそく分解してみる。
なるほど、思ったよりもシンプルな構造だな。鋼球は以前修理した甥っ子の自転車の再利用品を探してみると同じサイズのものがあった。こういう再利用品を色々持っていると、新しい世界への一歩が簡単に進めるのがいいよね。木材や金属の端材なども。
首振り部を押すローラーは鋼球2個で筐体内面に対して保持されている。
ヘッド首振り部を円柱バー部にローラーをバネ圧で押し付け、一定トルクを超えると首振り部が振れるて、カチッと音がするようだ。
トルクレンチの基本動作原理は下写真で説明できる。ヘッド首振り部は首振り軸を中心に首を振る。右(底部)からバネで動作ローラーを首振り部底部に押し当てており、レンチのトルクが設定値(バネ圧)を超えたら首を振り、カチッと音がするというもの。
これで組み立てて動作させてみたのだが、カチっという感じで動作しない。部品の様子をいろいろ確認すると、まず気になったのが首振り部のガタ。摩耗でガタが出たのか、もとからの精度かはわからないが、正常動作しない決定的要因という感じではなさそう。
首振り部にストッパーみたいなネジがある。たぶん首振り部とローラーの接触位置を調整するためのものだろう。入手時はこのネジ部がかなり出っ張っていた。この部分が出すぎると、首振り範囲が狭くなるので、おそらく使っていくうちにこのネジ部が出て来て動作がおかしくなったのだと思う。
本体部にはこのネジを外部から調整するための封印みたいなのがある。おそらくはこのネジは組立て後に調整し、封印して出荷なのだろう。とりあえずこの状態で組み上げたらカチッとちゃんと動くようになった。動作精度を上げるためには、この封印を剥がしてトルク印加量を調整すれば良さそう。でも再封印はめんどくさそうなので、首振り軸を外して首振り部を取り出してネジ調整⇒動作確認を数回繰り返せばいいかな。できれば首振り軸部のガタもなんとかしたいけどそこまではやらないかなー。
新しい工具を入手すると、その収納場所が必要になる。昔は工具箱にほうりこんで、使うときにガチャガチャ探していたが、今は工具引出しがある。工具は使いたい時にすぐに取り出せるように! とは職場などでもさんざん言われる話だが、一度その便利さを体感してしまうと、もう後戻りはできない。しかし工具引出しも満杯だ。しかたなく二段収納にした。
こんな感じで、従来のトルクレンチの上に設置。
引き出しを引くと工具が整然と並んでお出迎えしてくれる。
これだけで心が洗われる(二ャ)。
後日追記
ちょっと調整してみようと思い封印を外した。封印というかただのキャップだったんだけどね。
そして六角レンチで右回転でねじ込んでいけば、より軽い力で作動する(カチッと言う)。でもヘッドの首振り範囲以上に締めこみすぎたら、リジット状態になっちゃう。
思ったよりも調整は簡単そうだ。あとはトルクを計測する方法を考えて調整しよう。
※後日追記
ブログのアクセス解析をみるとなぜかこのページが一番多い。なぜ? この記事がそんなに興味を惹くとは思わないのだけど。そんな事もあり、この記事の後日談のリンクも追記しておいた。8Nmのミニトルクレンチ整備、20NmのTopManトルクレンチ整備、そして50NmのLTCトルクレンチ整備の3つです。