O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

5-9.10ton油圧プレスの修理

■2024年8月

 油圧プレスは我が家の最強工具の一つである。これが来てからは出来ることが格段に増えた。しかし3年目にして動きがおかしくなった。ポンプを押しても圧が印加せずシリンダーがぴこぴこ動くだけになった。油圧系統の逆止弁の動きがおかしい感じ。まあ安い製品だったので3年問題なく動作していたので”不具合起こして激おこ”ということはない。修理すればいいだけの話。

 一般的な油圧プレスの基本構造を下図に示す。構造はいたってシンプルなので、何かゴミが詰まったとか、小さなバネが折れたとかそんなとこだと思う。

 

 それでは油圧ポンプの分解していくが、各部の名称を適当に決める。

 

 吐出チェック弁

 

 安全弁とリリースバルブ。

 

 では分解開始。まずは油タンクの蓋を外す。油圧ポンプ本体側を作業台にボルト固定してタンク蓋をモンキーレンチで回す。

 

 蓋が外れました。

 

 油タンクの胴体部も外せばポンプ周辺のクリーニングもしやすいだろう。胴体部とポンプ部もネジで接続されていると思ったのだが・・・、

 

 なんかまったく回る気配なし。ここは圧入で固定している感じなので外すのはあきらめる。

 

 油圧系統の部品を外していく。吐出チェック弁を外すとバネ、そしてボールが2個出てきた。あれ?なんで2個入ってるの? 大きい方のボール(7.9mm)はチェック弁のようだが、小さい方のボール(5.5mm)の正体は最後まで分からなかった。これは以後謎のボールと称す。

 

 安全弁を外す。ふむふむ、動作原理はわかりやすい。

 

 そしてリリースバルブ。

 

 次に油圧ポンプ部をばらす。

 

 油圧ピストンを引き抜く。

 

 なんか思った以上にシンプルな形状だな。

 

 ピストンを抜いた所にはOリングとオイルシール(青色部)の2重の構造でオイルを封入している。

 

 Oリングを抜き取ると、なんかスペーサーも入ってた。

 

 このスペーサー、プラ製で斜めにニッパで適当に切った感じ。この形状に深い意味あるの? と疑問が浮かぶ。

 

 Oリングは汎用品をいっぱい持っているので、交換可能なものはどんどん替えていく。油圧ピストン部のOリングは同じサイズのが無かったので、ちょっと太いのを採用。謎のスペーサーは単にOリングとはまり溝のサイズを調整するために入っているのだと結論付け、それならちょっと太めのを入れておけばいいんじゃないかとの判断。今後使っていて問題が出たら見直そう。

 

 油タンクを覗くと穴が2つある。これは油の吸込口と戻り口だろう。でも吸込口の穴から円弧状の切れ込みがある。これはどういう構造なのだろう? 胴体の奥なので目で見ても良く見えない。

 

 よし、ならばファイバースコープの出番である。胴体部の奥にファイバースコープを突っ込んで観察すると、円弧状の切れ込みではなく異物のようだ。なんかこいつが不具合の犯人ちゃうん?

 

 次にファイバースコープで油圧ピストンを引き抜いたシリンダーの底を見てみる。するとマイナスネジっぽい頭とバネとボールが見える。これはチェック弁だよね。マイナスドライバーを差し込んで緩めてみると・・・、

 

 出てきました。バネとボールと・・・、なんかゴムらしき細長い物体が。なるほど、この異物がチェック弁の動作を阻害していた真犯人ですな。結局この異物は油タンクの蓋を密閉するOリングがちぎれたものでした。

 

 油圧ピストン部の底の状態を整理した写真。

 

 これで油の吸入口の異物は無くなった。全てのオイルラインをパーツクリーナーで吹き抜いてきれいにしておきました。

 

 本体のサビも落として黒スプレーしておく。

 

 チェック弁の座金部分のサビやら汚れの掃除としてドリルで軽く研磨しておいた(手で軽くね)。

 

 油圧ピストンは旋盤で回して耐水ペーパー、ラビングコンパウンドで磨いておく。

 

 各パーツのクリーニングが終わったので組み立てていく。油圧ピストン部にはちょっと太めのOリングを入れる。

 

 組立終了したので動作確認。ポンプ吐出部を指で塞ぎ、ポンプをしゅこしゅこ動かすと指にぐっと圧力を感じる。うんうんいけそう。

 

 最後に油タンクの蓋をする。ここのOリングをよく見ると一部こそげた後があるので異物の発生源確定です。組み立て時に締めすぎてOリングがちぎれ、それがタンク内に残っていて今回それを吸い込んだということだろう。原因が明確になると気持ちが晴れるよね。

 

 油圧シリンダーと接続して作動油を入れ、空気抜きをして修理完了。気持ちよく動くようになった。作動油は古いのをコーヒーフィルターで濾して再利用してます。

 

 我が家の油圧プレスの構造を整理した。今回Oリングも全て交換したので新品同様に復活。というか購入時より確かな状態になったと思う。

 

 ただし、油圧ピストンのシリンダー部のOリング直下にある青色のオイルシールだけは交換できなかった。ここに使えそうな部品があれば購入しよう。

 

 おまけ

旋盤の自作した四つ爪用ロングチャックハンドルと実家から回収してきたYソケットレンチを旋盤の裏に収納できるようにした。使いたい時にぱっと出てくることはとにかく重要。でもチャックハンドルを取り出す時にYレンチと干渉してちょっと使いづらい。

 

 Yレンチの収納方法を変更して解決。