■2024年1月
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
とか書き出した矢先、能登半島での地震がありました。まだ被害の全貌もわかりませんが、被災した方々にお見舞い申し上げます。当時私はディスクローターの研磨作業をしていた(後日掲載予定)。小さい椅子に座り下を向いて作業に集中していたのだが、なんか視界が揺れる。あれ、なんかめまいがしてる? 立ち上がると揺れも感じなくなり、もう一度椅子に座って下を向いて対象物をにらむと視界が揺れる。あれ? 体調悪いんかな・・・。しばらく休憩してもう一度同じ作業をすると揺れが感じない。うわ、めまいとか体調まずいんちゃうか、とか思ってた。作業を終えリビングに戻ると妻が「結構揺れたよね。呼んでも来ないから見捨てられたと思ったよ (`^´) !」だって。え?あれ地震だったんだ。慌ててTV付けたら能登で大地震。大津波警報発令。大変な年明けとなった。被災した方々に再度お見舞い申し上げます。
ブログの話に戻して・・・、アイのリアブレーキのOHを実施。以前実施したフロントブレーキのOH後に、じゃあ次はリアね・・・と部品だけは買ってたんだけどなんかのびのびになってた。ブレーキ内部をクリーニングして、シールまわり(カップキット)とリーディングシューを交換する。トレーリングシューはまだ残っているので今回は再利用。
購入していた部品。
作業工程を入念に脳内シミュレーションして必要工具を厳選した。
しかし作業開始早々に忘れ物に気が付いた。ドラムハウジングを外すためにM8ボルトを2本忘れていて、慌てて家に取りに帰った。
ブレーキドラムの中はダストでかなり汚れている。前々からブレーキシューなど一式外してクリーニングしたいと思っていたのだが、構造が結構複雑で適当にバラすと元に戻らないんじゃないかと躊躇していた。今回は一応予習もしているしちゃんと記録(写真)とりながらバラしていこう。まずはバネの取付け位置、向きを確認。
上側に2個(手前と奥)、下側に1個のバネ。
まずは上側手前のバネをペンチで引っ張って外す。
次に下側のバネを外す。
そしてシューホールドダウンカップを外す。これを外すために実家から古いプライヤーを取ってきた。先端に切り欠きを入れて掴みやすくしている(自分で加工した専用工具ってかっこいいと思っている)。
ダウンカップを掴んで、押し込んで90°まわせば外れる。
上側奥のバネは付けたままブレーキシューを引っ張って取り外す。
トレーリングシューはサイドブレーキワイヤーにつながっている。
オートアジャスターの取付け向きをよく確認しておく。
トレーリングシューの構造。
パーキングブレーキケーブルを外せばブレーキシューの取り外し完了。
ブレーキシュー廻りの部品を並べて記念撮影。上側バネの取付けの位置(穴)と向きを把握していれば組み立ても大丈夫そう。
次にホイールシリンダーを外す。まずはシリンダーピストンを押し込んでシリンダー内のフルードをリザーバータンク側にできるだけ戻して置く。ばらした時に漏れる量を抑えるためにね。そしてブリーダープラグ、油圧ラインを外す。フルードは塗装を傷めるので、垂れそうなところにウエスをつめておくのがいいと思う。
この時は初めてだったので、ピストンを押し込むという作業をしていなかった。ブリーダープラグと油圧ラインを外して、固定ボルトを外そうと力いっぱいピストンを押し込んでしまいフルードが飛び散って大惨事。慌てて家からバケツ、水、雑巾を持ってきて拭き取った。フルードを放置すると塗装が傷むので (*´Д`)。 ブレーキ廻りの分解で最も注意すべきがフルード液であるのだが、今回はそれを飛散させるという悲惨な事態を引き起こしてしまった。反省である。
ホイールシンダーを外すとシリンダー周辺は塗装が剥がれサビている。たぶんエンジン換装時にリアブレーキの油圧ライン外したんだけど、その時にフルードが漏れて塗装傷めたんだと思う。
油圧ラインの密閉はサランラップ+輪ゴムで実施。サランラップは安全を見て2枚重ねたくなるが、1枚だけのほうが密閉性が良く液漏れしない感じだ。
ブレーキドラムを家に持って帰り、ワイヤーブラシでサビを落とし塗装。
ドラム内側に深めのキズがある。小石でも噛み込んだかな?
耐熱塗料をスプレー。
続いてホイールシリンダーを分解。ピストンを引っ張って外すだけなので簡単。
シリンダー内は非常にきれい。耐水ペーパーとかで研磨しようと思ってたけど、全く問題ない感じだったので、ウエスで汚れを拭き取っただけ。
ブリーダープラグ取付け部辺りはサビがあるのでワイヤーブラシとミニキサゲでさびを落とす。
きれいになりました。
ピストンのカップを外す。精密ドライバを突っ込んで強引に外したが、ピストン側にキズを付けそうだった。
次する時はエッジを丸めたドライバを用意しよう。
後は組み立てるだけだ。フロントブレーキのOH時に余ったブレーキグリスも使う。
整備解説書の組み立て手順。
今回の作業前にネットで色々と下調べしたのだが、ピストンカップを入れるのが大変とのコメントが多かった。その中でシリコンシーラントの注入口を使っていた方がいたので、私もその方法を採用した。しかしながらカップがピストンにはまる寸前に左右にずれる。治具をしっかりピストンに押し付けて作業すればいいんだけど、なかなかうまくいかず結局力ずくで嵌める始末。
作業後にゆっくり考えたんだけど、下写真のようにバイスでしっかり固定してカップをはめこめばうまくいきそう。次の機会にはこの方法を試そう。
カップを嵌めた後にダストシールを取り付ける。取り付けた後に確認するとシールに穴が空いている。おそらくピストンのエッジ部で切れたんだろう。次の機会ではこのエッジをヤスリで丸め加工しよう。まあダストシールなのでちょっとくらい穴があってもいいけど、結局古いダストシールで一番状態がいいのを使った(新品4個中、1個だけね)。
組み立ては左右からピストンを入れるだけ。スプリングを入れ忘れないように。
これでホイールシリンダーの組み立て完了。うんうん、きれいになった。
オートアジャスターの汚れをパーツクリーナーで落としきれいにしてグリスを塗布して合体させる。※この時適当なグリスを使ったんだけど作業指示書にはドラムブレーキ用のブレーキグリスを使うように指示があった。
古いシューと新品の比較。もうちょっと使えそうだけど、まあ替え時だったよね。
各パーツをきれいにしてイザ組み立てだ。
ブレーキ内の汚れをパーツクリーナーで洗い流す。
今後のリアハブのベアリングOHにそなえ、構造をよく把握しておく。油圧ライン、車速センサー、サイドブレーキを外せばハブをまるごと外せそう。
ホイールシリンダーを取り付け、ブレーキシューの摺動面にブレーキグリースを塗布。
ブレーキグリースを塗布する所(作業指示書の抜粋)。
ブレーキシューを組み立てるのにはちょっとコツがいる。はじめは何度もつけたり外したりで塗布していたブレーキグリースがあちこちについて苦戦した。手順はリーディングシューにパーキングブレーキワイヤーを取り付け、トレーリングシューとリーディングシューに上側奥のバネを取り付ける。そしてリーディングシューを取り付け位置につけて、バネごとトレーリングシューを引っ張ってはめ込む。
この時にブレーキグリースがシュー面に着かないように注意する。写真ではアジャストレバーがまだ取り付けていないが、初めからトレーリングシューに取り付けていた方が作業が効率的だと思う。後日談:レバーが落ちないようにマスキングテープで固定すればよかった。
オートアジャスターを隙間から差し込む。二人で作業すればシューの取付けも楽だろうけど、一人作業だと手が2本しかないので手順を良く考える必要がある。
シューをちょっとずらしながらオートアジャスターを定位置にはめ込む。
アジャストレバーを取り付ける。でもこの段階で取り付けるのはちょっと難しかったと思う。はじめからトレーリングシューに取り付けた状態で作業したほうがいいだろう。マスキングテープとかで仮止めしとけばいいかも。下側のバネも取り付ける。
シューホールドを取り付ける。
上側手前のバネを取り付ける。写真ではラジペンで掴んでいるが引っ張る時はペンチでないと力不足である。
リアブレーキは部品が多数あるが、バネの取付け位置を把握しておけば組み立て組み立ては大丈夫そうだ。
オートアジャスターはシューの減少に合わせ自動的に初期値を調整する。名前の通り自動で調整するので組付け時に調整しなくてもいいのだが、まあなんとなく調整しておいた。マイナスドライバでラッチをカチカチ押していく。押し込み過ぎるとドラムハウジングが入らなくなるのですんなり入る所までカチカチ押し込む。
ドラムハウジングを取り付け組付け完了。
最後にエア抜きを実施。
同じように右側のリアブレーキもOHした。作業後の感想としては15年目の車としては状態は予想よりずっと良かった。ブレーキシリンダー内にサビや汚れはなくつるピカだったし、カップ等のゴム製品もまだまだ十分弾力があった。私の記憶ではブレーキまわりのOHは購入以来一度も実施していない。15年使い続けてもこれだけの状態をキープしているとはなんか感動的ですらある。まあそれでも15年も経過しているので今回のOHは適切だったと思う。というか本来は10年に一度はOHすべきだよね。
※追記:リアブレーキの効き具合は特に変化なし。試しに低速でサイドブレーキを引くと以前より簡単にロックするので、多少効きが良くなったという感じ。