■2021年5月
ブースト計はかなり前に入手していたし動作確認も済ませている。このブースト計はできるだけ小径で負圧も出るものを某オクでウォッチし続けて入手したものである。一般的にはΦ52が多いのだが、そのサイズだとちょっと大きすぎるので、Φ40あたりを探していた。カバーガラスが割れてジャンク扱いだったのでまずはカバーガラスの修理から。適当にガラスを探してカットしようと思っていたのだが、ジャンク箱を漁っているとぴったりの両凸レンズがあった。物を捨てる時は使えそうなパーツを外して保管している習慣が役に立ったというわけだ。
メーターカバーに両凸レンズを使うのはどんな感じなのかちょっと不安。
実際に取り付けると意外といい感じ。逆に高級感が出ているのではないだろうか?光学レンズなので表面コートしているのが上品に見えるのだと思う。
固定枠をカシメるため、塩ビ管を保護用治具にした。
紐でしっかり固定してから、固定枠の爪を慎重にカシメていく。
取付完了。
当初想定以上にいい感じ(自画自賛)。
次にブースト計の台座を作る。場所的にはAピラーがいいと思う。視界を妨げないし、ダッシュボードの上とかだと掃除の時に邪魔になる。とにかく影の支配者(アイの仕様最終決定者)に「なんかこれ邪魔」とか「美しくない」とか言われて却下されないための最善の場所がAピラーだと思う。私的にはメーターむき出しでも逆にかっこいいと思うのだが、彼女は絶対そうは思わない。とにかく美しく、そして元から装着されているもののように自然に見えなければNGが発令されてしまうのだ。ということでFRP成型に手を出すことにした。はじめにねんど(かるがみ)で型を作る。
画用紙でメーターパネルと台座を作り、ねんどをつめていく。
できるだけ自然な造形になるように。
FRPは初めてなのでネットで扱い方を研究する。成型時に樹脂の気泡を抜くためローラーを使うというので端材で作った。※でも使ってみるとうまく回転せず却下となった。回転軸部の動きが渋かったのだろう。結局指先でペタペタ押して気泡抜き。
型の外形を布やすりで整える。
FRPをぺたぺた張り付ける時に扱いやすいように台座に固定する。
FRPキットは密林さんで一番安いものを購入。
内容は以下の3点。硬化剤は1%濃度で樹脂に混ぜるらしいが、そんなちょっとでいいのか? というか絶対に入れすぎて最後足らなくなる(樹脂が余る)と思う。
ポリエステル樹脂の説明書き。
硬化剤の説明書き。なんか怖そうなことが書いている。
ガラスマットはイメージより繊維が太い。イメージしていたのはもっと繊維が細くて短いものだと思っていたけど、それはちょっと種類の違うものかもしれない。
メーター台座にガラスマット張り付けて樹脂を塗りたくればいいんだよね。まずは型紙を切り出して、この形にガラスマットを切り出す。
さあ初めてのFRP成型だ。
硬化剤の説明書きが怖かったので厳重に手袋を装着。でも1枚じゃ浸み込んできて手がべたべたした。2枚にするか、もっとちゃんとした手袋のほうが良さそう。
ガラスマットに樹脂を浸み込ませてペタペタ貼っていく。最後は刷毛で樹脂を塗るのだと思うが、刷毛の手入れとか考えたらめんどくさいので、最後は指先で塗りたくった。
ガラスマット1層でもそこそこ強度はありそう。メーター台座として考えたら1層で強度は十分だと思うけど、表面の凸凹を削って仕上げるのである程度厚さがないとだめだと思う。でも表面に2層張り付けるとはじめに作った型と形状が異なってくるので、2層目は内側に貼る。
中のねんどをかき出して・・・
彫刻刀やリューターで内側のねんどを完全に取り除き、内側にもう1層張り付ける。
FRPでの型づくりは思ったより簡単だったけど、思ったように美しくは仕上げられない。表面はそうとう凸凹している。まあ樹脂やガラスマットは後からいくらでも追加できるので、最終的にはなんとかなるけどね。
縁の余分なところをカットする。
そして粗布やすりで表面を整える。けっこう削り粉が出るので掃除機で吸い取りながら作業する。FRPの粉はイメージ的にアスベストに似ているので(繊維的なところが)マスクをして作業した(*´з`)。
Aピラーとの接続状態を確認
Aピラーに圧力チューブやケーブル貫通のための穴をあける。
最後にメーター台座とAピラーの合わせ面の耳を作る。メーター台座とAピラーを接合した状態で、FRPの小さい切れ端を貫通穴経由で内側に張り付けてミミを形成する。
メーター台座はほぼ完成。実際に自動車に取り付けてマジックで水平ラインを引く。
メーター台座にはLEDゲージをつける。水温、油温、油圧を表示する作戦。Φ3mmの穴をいっぱいあける。
FRP成型は人生はじめてだし、思った以上にいいものが出来たので結構浮かれていた。そこでつい油断して妻に「いいのできたぞ~ (=゚ω゚)ノ 」というノリでメーター台座を見せてしまった。彼女は顔を強張らせ、後ずさりして距離を取ってからひと言「何?その汚いの?」 身の内をちぎる一撃が来た~~~。
油断した! 油断してしまった。この作り立てのFRPメーター台座は私の目には高価で尊い、努力と技術の結晶なのだが、見方を変えれば薄汚れた得たいのしれないゴミみたいなものなのだろう。壁の中と外では物の見方がまったく違うように、夫婦の間でも真逆の見え方は往々にしてあるものだ。一度冷静になって、彼女からの見え方を想像してから行動すればこういうすれ違いは防げるものだし、長年の結婚生活でそういう能力は身につけてきたはずだ。でも今回ちょっとウキウキしすぎてしまい、そういう能力を発動する前に素の自分のペースで動いてしまった。反省だな(笑)。
メーターと基盤固定用の金具を取り付ける。
金具の足はFRPで上から接合。
メーター台座の表面は結構荒れているので、本来はパテで表面を仕上げるのだと思うけど、だんだんめんどくさくなってきた。プラサフの厚塗りだけで仕上げる。
プラサフは初めて使ったけど、多少厚塗りしても垂れたりせずなかなか使いやすい。
仕上は100均のグレー。ここまでかなりの時間と労力をかけてきたので、なんか力尽きてきて適当になってきた。
ちょっと色が合ってないけどまあいいや。
LEDゲージの動作確認。
LEDケーブルをケース内に収めるのに手こずるがなんとか完成。
警告灯が諸事情で未接続というのは細かい話なので小さくメモしておく。ICはPIC16F648AでIO点数は16。メインコントローラーとの通信用にシリアル通信を使うが、受信だけでいいので、送信分はLEDに割り振ろうと設計した。でも実際プログラム作成段階になって、通信の受信だけ使うというのはできないようで(たぶん)、送受信で2ポート使ってしまう。そういうミスで警告灯のLEDは使えなくなったというわけ。
なかなかいいね。
裏側はこんな感じ。水温、油温、油圧の計測はリアシート下にメインコントローラを配置して、シリアル通信でこのコントローラーに表示指令を出す。
車体に取り付け。
いいね。かなり満足である。
この仕上がりであれば、最終裁定者のNGは出ないと思う。
キーON時にはLEDゲージが点滅するようにしている。
水温、油温、油圧計測用のメインのコントローラーは製作がまだまだ先なので、LEDゲージが機能する日はだいぶ先だろう。メインコントローラーにはブースト制御機能も実装したいとも考えていて、運転席のSWで高ブーストに切り替わるというのにあこがれがある。俗にいう”加速装置”(奥歯を噛むやつね)、または”オーバーテイクボタン”(90年代のF1にありましたな)。とにかくボタンで速くなるという機能には子供のころからあこがれがあるのだ。いずれにせよメインコントローラーの実装はだいぶ先だし、油温、油圧はオイルクーラーを完成させないとセンサが付かない
イルミネーションはこんな感じ。ちょっと針が見難いけどまあいい感じ。
ブースト計の動作を撮影するために簡易三脚を用意
全力加速の様子。ブースト圧は初期加速で0.6~0.7で軽くハンチングしている。たぶんECUによるブースト制御がハンチングしている領域だと思う。加速後半は0.5気圧ほどで安定するので、電子制御なしだと0.5気圧がブローオフアクチュエーターの本来の動きだろう。アクチュエーターのバネ力を変えれば0.5気圧がもう少し上がると思う。また電子制御でかさ上げている制御領域を今度作るコントローラーでどこまでうまくコントロールできるかが楽しみだ。
もう一本動画。ちょっとした登りか下りで撮影。たぶん登りだったと思う。
平地での0-100km/h加速も撮影したかったが道路が混雑していて撮影できず(テストコースで撮影してま~す(*´з`)~ )。
これにてブースト計の製作は完了。FRPは8割ほど余ったのでインタークーラーのエアガイドでも作ろう。
※後日追記:ブログ掲載後にブースト計の動画を見ていると、生殺与奪権者が聞いてきた。「これ(ブースト計)って運転している時にず~っと見ているの?」 私は慎重に答えた「時々ね。ゆっくり走っている時とか急加速した時とかにチラチラと」 彼女は質問を続ける「これ見てるとどうなるの?」 私は内心『質問の意味がわかりませんよ』と思いながら、その場をもっとも無難に乗り切る答弁をひねり出した。「これはエンジンの状態を監視する一つの情報なんだ。吸気圧とブースト圧がいつもと違いがないかチェックしている感じかな。人間でいうところの血圧を測るみたいなもんだ。」さらに続けて「この車も13年が経過して人間で言えば壮年期。これからは健康状態をこまかくチェックしていく必要があるのよ」さらに畳みかける。「またこれはターボの頑張り状態をモニタするんだけど、ターボが頑張っているということは無駄に燃料を使っている時なので、このメーターができるだけプラス側に振れない運転がエコ運転になる。あなた様もこのメーター見ながらエコ運転を意識してくださるとありがたいです。」 彼女は「ふ~ん」と答えてその話は終了。特段興味はない模様だが、とにかくNG発令は回避できた模様。