O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

4-6.赤道儀二号稼動開始

4-6.赤道儀二号稼動開始
■2016年10月頃

 ここしばらく旋盤に夢中で天体観測はお休みしてた。赤道儀制御のソフトの作成で少し行き詰っていた頃に旋盤を入手したため、ワクワク感の強い旋盤に流れていたのだが、旋盤改造もひと段落したし、昨年のリベンジであるばら星雲の季節も近づいてきたので、再び天体観測に舵を切る。
  L6470ドライバを使った赤道儀制御ソフトもなんとか形になった。当初は楽勝と思っていたのだが、意外とメモリ不足に悩まされた。特にプログラム領域はすぐに容量を超えてしまい、コードの見直しに結構な手間がかかった。同じような処理の関数化とかビットシフトを多用するとかいろいろとね。
  さて一通り完成した赤道儀システムの動作を見てみる。まずはベルトドライブのバックラッシの評価。次の動画は微動動作(恒星速度の10倍速)+自動導入速度(600倍速)なのだが、モータ軸とウォーム軸間のバックラッシはほとんど感じられない。ベルトのテンションは高めに調整している。ゆるくするとベルトの弾性で芋虫みたいな動きになる。

次に自動導入の動作。

動作速度は恒星速度の600倍速。PCのHMI(自作)の画面からマウスクリックだけで目的とする天体を導入できるようになった。


動作音もほとんどせずスムーズに動く。やっぱベルトドライブは正解だったな。
オートガイドの動作チェックや調整のため星空を待っているのだがなかなか晴れない(涙。

そしてやっと晴れた。あまり星は見えないがオートガイドの動作確認には問題ない程度に星は見える。極軸望遠鏡はまだ装着できていないので、目視で極軸を合わせ制御ON。・・・が、思った通りちゃんとは動かない。ソフトを見直すとミスも直ぐに見つかりなんとか制御できるようになった。どうせなら撮影もしてみよう。2倍バローをつけたR-1000で露出はどの程度なのか興味がある。
5分の露出でもまだまだいけそうなので、8分で撮影。

イメージ 3

しかしなんかもやもやが写ってる。カメラのどこかから光漏れかなと思い、タオルでカメラ周りをぐるぐるにカバーしても変わらず。よくよく観察するとわかりましたよ。

イメージ 4

接眼鏡固定ネジに隙間があいている。とりあえず画用紙でカバー。

イメージ 5

これで光漏れはなくなった。どうせなら何かいい対象を・・・ということで、亜鈴星雲を自動導入した。
が・・・、まあ極軸をぜんぜん合わせていないので思った様には導入できない。その近辺を適当に移動しもって撮ったら・・・、あっ!何か見える。左上に写ってましたよ。

イメージ 1
        日時:2016年10月24日 / 月齢23日 /  空透明度50% / 撮影場所:西南ベランダ
        撮影内容:亜鈴星雲 / フィルター:LPR-N / 鏡筒回転角:?° / 1枚コンポジットなし
        撮影:EOSkissD(IR改  / R-1000(D=100mm f=1000mm+2倍)  / 露光:360sec / ISO:1600

初めての亜鈴星雲にちょっと感動。これで6分露出か。まだまだいけそうだね。EOS kiss Dも思ったよりノイズが少ない。まあ前にダークノイズを評価したのは夏場だったし、冬ではもっといけるのかな。じゃあ、とばかり10分にもチャレンジ。

イメージ 2
        日時:2016年10月24日 / 月齢23日 /  空透明度50% / 撮影場所:西南ベランダ
        撮影内容:亜鈴星雲近辺 / フィルター:LPR-N / 鏡筒回転角:?° / 2枚コンポジット
        撮影:EOSkissD(IR改 / R-1000(D=100mm f=1000mm+2倍) / 露光:660sec / ISO:1600

いずれもダーク処理しているのだが、まだまだいけそうだ。次回は20分くらいまで挑戦しよう。
しかし自動導入で目標天体を導入できるように極軸望遠鏡を取り付けられるようにしなければ。NP赤道儀の極望取り付け部を取り外しSP赤道儀に取り付ける。

イメージ 6

上の黒いフランジがそう。しかしSP赤道儀とはネジ径が合わない。我が屋の旋盤はまだネジ切りができないので、ここはパテで対応。フランジとSP赤道儀の隙間をパテで埋めて固定。しかし!なんかこのパテあっというまに固まってくる。商品パッケージを見直すと”作業時間1分以内”と書いている。そんな速乾のパテとは知らなかった。

イメージ 7

あせあせと作業を進めなんとか固定成功。
うん、なんかかっこいいぞ。
イメージ 8

極望カバーをつけてみる。うんうん!いけてる。
イメージ 9

これで次回からマウスクリックだけで天体導入できるかな?

しばらく曇りが続いたので、よし!じゃあちょっとダークノイズ計測してみよう。
外気温15℃
まず20分撮影。左上と右下の隅を当倍に拡大している。
イメージ 10

次に25分
イメージ 11

右端に熱ノイズとおぼしきノイズが多いが、俺的にはまだいけそう(上級者にはNGだろうが・・・)。次回の亜鈴星雲撮影では10分、20分、30分で撮ってみよう。

週末、夜空を見上げると星が・・・。よし今日こそ亜鈴星雲だ。
イメージ 12
      日時:2016年10月29日 / 月齢28日 /  空透明度70% / 気温12℃ / 撮影場所:西南ベランダ
      撮影内容:亜鈴星雲 / フィルター:LPR-N / 鏡筒回転角:90° / 2枚コンポジット
      撮影:EOSkissD(IR改 / R-1000(D=100mm f=1000mm+2倍) / 露光:20min / ISO:1600

  今回は極軸も合わせたし、結構すんなり導入できた。システムとしての完成度は確実にアップしている(満足。亜鈴星雲もまあまあかな。恒星がぼてっとしているのはピントが甘いのか、本望遠鏡の性能によるのか?
  撮影中に気がついたのだが、迷光のようなものが映りこむ。スパイダーの隙間は目張りしたのに・・・と思うが、撮影時は原因究明している余裕はなく、後日確認するとカメラのグリップ部のべたつきがいやで、それを取り外したのが原因。隙間から光が漏れている。まあしばらくは冬用靴下ででもカバーしておこう。今回から撮影記録に気温を追記し、露出時間は秒から分とした。R-1000+2倍バローでは20分くらいの露出が適切のようである。今回は迷光の影響でちょっと残念な絵になったが、それでも本EOSkissDでも20分程度は実用的(俺的にはね)ということでちょっと満足している。もう少しコンポジット枚数を増やせばノイズの影響もそれほど気にならない(俺的にはね)。
ちなみにダークノイズを下記に示す。
イメージ 13

左上、中央、右下部分を等倍に拡大している。

翌々日もう一度撮影。まずまず満足できるレベル。こいつを基準に今後レベルアップして行こう。
イメージ 14
      日時:2016年11月1日 / 月齢1日 /  空透明度70% / 気温12℃ / 撮影場所:西南ベランダ
      撮影内容:亜鈴星雲 / フィルター:LPR-N / 鏡筒回転角:90° / 3枚コンポジット
      撮影:EOSkissD(IR改 / R-1000(D=100mm f=1000mm+2倍) / 露光:25min / ISO:1600

ダークはこちら。
イメージ 15
左上、中央、右下部分を等倍に拡大している。


この後も数回亜鈴星雲を撮影したのだが、いまいち星象がピリッとせず、星象がぶれて写る。初めはオートガイド制御を疑ったのでピリオディックモーションの確認を実施。下がR-1000+2倍バロー(f=2000mm)によるピリオディックモーション。

イメージ 16

ピリオディックモーションは26秒ほど。
イメージ 17
NP赤道儀の50秒に比べ半分になっている。まずまず満足な精度かな。
しかし何度か撮影したのだが気になる画像が出てきた。星の軌跡が二重になっている。
イメージ 18
これは赤経の恒星追尾に起因する自励振動と推測。オートガイド制御時にはガイドカメラ上で±1dotの範囲内で制御できていても、その時の撮影では星が二重に写る。ガイド望遠鏡は主鏡ではなく、鏡筒バンドに固定されているので共振が発生したとしても、赤道儀(+主鏡バンド)側ではなく、鏡筒単独のものであろう。まあR-1000はずいぶん鏡筒が長いし、ドローチューブ部も長いのでそこらに起因するのであろう。今後鏡筒まわりの補強が必要のようである。