O型のまこさん

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趣味でいろいろ作った備忘録

6-4.アイターボ:ヘッドライトをLEDに交換、ワイパー交換

■2021年1月

 アイのターボ化が完了したので、これからのタイトルは”アイターボ:○○○○” とすることにした。今回はヘッドライトのロービームをLEDに交換した話。ターボエンジン載せ替え前に妻から「なんかヘッドライト暗いんですけどぉ」との話があった。私は照明がたくさんある市街地の夜間走行ってヘッドライトなんてなくてもいいんじゃない、とか思っている派なので、「そう? ハロゲンライトなのでこんなもんじゃない?」と生返事をしていた。しかし夜に妻を迎えにいく事があり、その時に「左側のライト点灯してないよ!」との指摘をうけた。たしかに片目になっていた。でも今はそんな些細な事にこだわっている場合じゃない、エンジン換装という一大事業に全集中しているので、ライト交換はその後ね。

 ということがあり、その後エンジン載せ替えもすませ一息ついたのでライトの交換に着手した。まずはアイのランプについて確認。

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ロービームはH11という型ね。ハロゲンライトは1個800円くらいで売っているが、どうせならLED化だよね、と下記製品を¥3,150で購入。ファンの付いた強制空冷式は避けてフィンだけで冷却する自然空冷式をチョイス。ファン付きは壊れやすいイメージがあるからね。

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ヘッドライトユニットの3個のネジを外せばライトユニットが外せる。1個のネジはボンネットを開けるとアクセスできる。もう1個はライト上のカバーを外して、そして3個目はフロントバンパーのクリップを片側2個はずし、側端をカパッと引っ張って外すとアクセスできる。

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パンパーの側端をはがすために外すためクリップは1個はボンネットを開けると見え、もう1個はタイヤハウジングの中にある。

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クリップを外すとだいたい割れる (*´з`)。  まあ12年目の車だからね。

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クリップを外し、バンパー側端をグイッと引っ張ると爪が外れてはがせる。その中にライトユニットを固定しているネジが見える。

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ライトユニット上の固定ボルトはカバーされているので、マイナスドライバーなどでカバーを外す。

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細身のプラスドライバーでネジを外す・・・、のだが固着していて右側はギリ外せたが、左側はネジ頭をなめた。

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ネジ頭は六角ボルトにもなっているので、ソケットで回せば確実に外せるが、そのためにはフロントガラス下のカバーを外さなければならない。中央のカバーを外してから、左側のカバーを外すことになる。中央カバーはクリップ5個を引き抜けば外れる。

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下写真のように慎重に外したが、引き抜く時にやっぱり割れた。

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ワイパーを真上に動かして軸あたりのクリップを外す。

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クリップを外したらカバーを前方下方向にずらすと外せる。

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うわー、12年分の汚れがたまっている  ('Д')

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カバーは持って帰って心行くまでクリーニングしよう。

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左右のカバーは外すのに難儀した。固定クリップは表面からのアクセスができないタイプでどうすれば外せるのかだいぶ悩んだ。クリップは4個で装着時は押し込んではめるだけのタイプ。ひたすら生産性に振った構造だよね。

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外す時は大き目のマイナスドライバーの片側をクリップ縁に差し込んでクイッと持ち上げて(ドライバーをまわして)やるとはずれる。はじめは構造がわからず無理な力を入れてカバー側を少し割ってしまった(見えない所だけど)。

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これでやっとヘッドライトユニットが外せた。

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上部のネジは取り外すと変な所に落ちちゃう可能性があるので、7~8mm緩めるだけでよい。ただライトユニットの上部に爪があるので、ここを持ち上げて抜く。

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ライトユニットには光軸調整用のギヤ機構が装備されている。調整するには相当長いドライバが必要のもよう。今度の車検はできれば自分でやりたいので、光軸調整できる長いドライバーを探しておこう。

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ライトユニットを外した抜け殻。できればこの中もシャーシブラックを塗布したかったけど、今回は余裕なし。

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ライトユニットのネジが固着していて外すのに苦労したので、ネジ部をダイスで修正しておく。頭をなめたネジは手持ちのボルトで代用。

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車体側もタップで成形。ネジ部にはサビ対策としてグリスを塗布。

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バルブの交換。見た目は結構違うね。

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コネクタ部は中央に仕切り板の有無が異なるが問題なく組み付いた。

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バルブはクリッと回せば外れる。

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明るさの比較。撮影条件が異なるので比較しずらいが、色合いが白っぽくなり明るさも確実に明るくなっている。夜間走行中にハイビームにするとLEDの白っぽい明りと、ハロゲンの黄色っぽい光がまざりちょっと違和感を感じる。ハイビームが切れたらLEDにしたいが、切れていないライトを交換するのももったいない。

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レンズ面が盛大に光っている。まるで流行りのイカリングみたい。レンズ内側の散乱が原因だと思う。見た目はそれほど汚れているようには見えないんだけどね。車検前にレンズ内側を拭いてみよう(たぶんやらない)

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一応ヘッドライトの交換は完了したが、せっかくここまでバラシたのだから、ついでに右側のカバーも外して掃除しよう。そのためにはワイパーを外すとこから。ワイパーのカバーを外すとナットが出てくる。

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リンク部はナットを外して引っ張れば外れえたけど、メインアーム部はナットを外しても軸が抜けない。よし、ついにプーラーの出番だ。

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プーラー先端は尖がっているので、間にナット(下写真のボルト記述は間違い)を挟んでプーラーで引き抜く。

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これで右側のカバーを外せる。

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樹脂パーツの艶を復活させるクリーナーを購入。オートバックスとホームセンターをうろうろして一番安いものを購入。ああ!記憶にあるぞ。昔よく使っていたアーマーオールの類だ。この手のクリーナーは確かに艶は出るのだが結構短期間で艶がなくなるので、ひたすら頻繁にクリーニングし続けなければならなくなるやつだ。

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クリーニングすると見違えようにしっとりとした艶が復活。そして部屋の片隅に目をやると・・・、アーマーオール持ってた ('Д')。 

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ついでに劣化していたワイパーゴムも交換。

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バンパーや車体下部のアンダーカバーの固定クリップ。エンジン載せ替え作業でかなり割れたので、交換用のクリップをいっぱい購入しよう。

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フロントガラス下のカバー部のクリップは少し形が異なる。ここは目につく場所なので新品に交換したいけど5個だけ(見えるのは2個)だから購入も割高になる。まあ安く売っているのを見つけたら購入しよう。

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6-2.アイのターボ化_45 Final(インプレ、OBD2通信、補器ベルト交換)

■2021年1月

 ターボエンジンに載せ替えて2ヵ月ほど経過した。エンジンは絶好調で、この1年半の努力の成果を堪能しているところである。アイのターボ化も45回目でFinalを迎えることになるわけだが、最後ターボエンジンのインプレ、OBD2通信、ほか細かい話を掲載しておく。

 インプレであるがまずエンジン音が相当静かになった。NA時代はガシャガシャという雰囲気が感じられ、排気音とエンジンノイズが入り混じった感じで走り去っていたのだが、今は少し図太くなった排気音だけ残して走り去る、という感じ。まあNA時代は特段意識して聞いていなかったし、ターボ換装後は贔屓目に見てしまうので多少誇張した表現かもしれないけどね。※後日追記:静かになったのはターボ化というより、エンジンOHしてカムチェーン交換やタペット調整が効いているのだと思う。クランクシャフトのラッピングも効果あると思いたい

 朝一番のコールドスタート時のエンジン音を録音してみた。

そして、近所から帰ってきた後(十分な暖気後)のエンジン音。

 こうして聞いてみるとエンジンノイズも結構気になるようにも思うけど、NA時代の同じような動画は撮ってないので比較は難しい。それでもやはり普通に乗っているとエンジン音は静かに滑らかになったと感じる。妻も「すごく静かになった」と言っているのでこれは間違いないだろう。

 次に燃費であるが、ターボエンジン換装後、200kmほど走行してから燃費計測した。一回目は355kmを近所のみ、二回目は90kmほど高速走行(70~80km/h走行)を含み、三回目はまた近所のみ。その結果が次の通り。

 燃費1:11.9km/L (355km走行、近所のみ)

 燃費2:15.5km/L (188km走行、90km高速、他近所走行)

 燃費3:10.8km/L (252km走行、近所のみ)

高速に乗ると結構伸びるが、街中では10~12km/Lほど。まあ片道10~20分の近場のみの走行なのでそんなもんかな。NA時代は遠出で高速使った時は17km/Lほどが最高記録なのだが、ターボでもがんばればそれくらいいきそう。NAのミッションのままなのでノーマルのターボ車に比べエンジン回転数が高くなるので、燃費はかなり悪くなると思っていたがそうでもないという感じ。

 乗りやすさ、パワフルさはNAとは雲泥の差である。OH後2000kmは慣らし運転ということで4000rpmをリミットとしているのでまだ全力運転はしていないのだが、4000rpm以下でも今までのNAより十分にパワフルに走れる。平坦な街中では3000rpmで走れるし、4000rpmまで回せば十分な加速をする。特に大きく違うのが坂道。例えば4速60kmで走っていてちょっと急な登りになるとアクセルを少し踏み込んでも60kmをキープできず車速がだらだら落ちてくる。もう少しアクセルを踏み込むとキックダウンして5000~6000rpmくらいでエンジンが唸りながらの走行となっていた。でもターボエンジンにしてからは、軽くアクセルを踏み込むと車速が落ちることなくグイグイ上っていくし、さらにチョイとアクセルを踏めばそのまま緩やかに加速もする。

 とにかく近所の坂道を登ぼるのに4000rpmまでの回転で十分なのだ。T/Mの変速動作もNA時代は気に入らなかった。アクセルを踏み込めばキックダウンしてエンジンが唸るからだ。変速プログラムを変える方法などいろいろ調査してみたが敷居が高そうなので断念していた。ところがターボエンジンになると不満をほとんど感じなくなった。軽くアクセルを踏み込めばトルクを感じながらちゃんと加速するし変にキックダウンもしない。相当踏み込めばキックダウンもするが、私の走りではほとんど気にならない。

 OH後1200kmほど走行した頃に高速に乗ったのだが、これがまた楽しい。80km/hからのアクセル踏み込みでNA時代とは比べ物にならないくらいの加速をする。NAなら3速にキックダウンすることもあったが、ターボなら4速ロックアップしたままグイグイ加速する。4000rpmの制限も解禁して、ちょっとした登り坂で80km/hからアクセルを踏み込んでみると、120km/hくらいまでは余裕で加速する。さらに平地で加速すると135km/hくらいまで確認した。多分このアイでは過去最高速度なのだが、まだまだ余裕はありそう。140km/hくらいでリミッタが効くらしいが、その確認はいろいろ問題がありそうなのでやめておく。120km/h制限の高速を走る機会があれば試したい。

 100km/h巡行ではエンジン回転数は4000rpmあたり。ちょっとエンジン回転数が高目に感じる。ターボ用T/Mなら100km/h走行で3600rpmあたりになる。できれば将来ターボ用のT/Mに載せ替えも検討しよう。

 インプレの締めにターボ付きの軽自動車についての感想を書いてみる。日本での高速を含めた一般走行ではターボ付き軽自動車は最適だ。今の世はダウンサイジングターボの時代だが、軽ターボはその先駆けだと思う。街中走行で普通に乗る分にはエンジンパワーの6~7割を使う感じでの走りができる。高速道路ではフルパワーを使うシーンもあるが、法規を守った範囲ではちょうどいい出力だ。多少負け惜しみも含むのだが、それでも有り余るパワーを使えないストレスを抱えることはないし、フラっと冷静さを失って高額な反則金を払うリスクもない。十分なパワーを持っているという満足感とか余裕とかを欲するのでなければ、軽ターボは最適じゃないか!と思っている。

  ちょっとしたトラブルもあった。エンジン換装後、時々リア周辺から「ゴキッ」とか「ガコッ」とかいう音が聞こえる。いかにも不穏な感じ。ジャッキアップして各ボルトを増し締めして確認したらラテラルロッドのボルトが緩んでいた(下写真)。多分本締めし忘れたのだろう。

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 以前に入手しておいたブースト計も動作確認をしてみた。内径5mmのチューブを6m購入してブースト計をメーター回りに置いて動作確認。加速時には0.5気圧くらいまでブースト圧は上がるが、負圧側が出ない。口でチューブを吸ってみるとちゃんと負圧側に振れるのに。

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なんでかなー? と配管図をじーっと見直してみるとわかりました。下図の構成で接続しているのだけど、スロットルの上流側に接続していた。負圧側も計測するにはスロットルの下流側につけなければだめだよね。

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とりあえず、下図のように接続を変えてみると負圧側も動くようになった。でもこの接続でいいのか? リリーフバルブの制御チューブからの分岐だと、リリーフバルブの応答遅れを引き起こしそうだ。急激なスロットルOFF時にリリーフバルブを開いてコンプレッサー圧を逃がすことで過給機を保護する動きに遅れが発生するのはいただけない気がする。三菱純正のブースト計はPCVバルブの配管を分岐しているようなので、私もそうしたいが今更PCVバルブ周辺をいじるのはめんどくさい。まあ激しい運転をしなければ問題ないと思うのでしばらくこのままでいこう。

※後日追記:純正のブースト圧はPCVバルブ配管から分岐している構成図を見たことあるのだが、みんカラなどの情報を見ると、リリーフバルブラインからの分岐との情報もある。まあ余裕ができたらPCVラインから分岐するということにしておく(たぶんしない(*´з`))。

※さらに追記:その後得た情報からの推測であるが、初期型のリリーフバルブがついているモデルではブースト圧はリリーフバルブライン(下図の青ライン)から、後期型のリリーフバルブなしのモデルではPCVバルブのラインから分岐しているのだと思う。でも精神的にはPCVバルブから分岐するほうがいいと思うので、機会があれば変更する(たぶんしない(*´з`))。

 

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一応動画も撮影しておいた。まだまだ慣らし運転中なので全力加速時などの動きは確認していません。メーターは左水平位置がゼロで0.5、1.0、1.5気圧のメモリがある。

 

 さてOBD2の話である。現代のコンピューター制御されたエンジンをいじる上で欠かせないのOBDツール。そのことは私も重々承知しており、1年ほど前にOBD通信アダプタを入手している。購入時はOBD通信についての知識は乏しく、パソコンで通信して基本動作を押さえて、ゆくゆくは小さなコントローラーを作って必要な情報をメーター横にでも表示しよう、とか考えていた。OBD通信はCAN通信なのだが、CAN通信をシリアル通信に変換するアダプタを購入した。それだとパソコンで基本動作を確認できるし、自作コントローラも容易だからだ。

 しかしそこから苦難の道が始まった。OBD規格を見ると簡単な命令でエンジンECU情報を読み出せるようなのだが、やってみてもエンジンECUから応答が返ってこない。はじめは電圧の確認をしたらちゃんと読めたのでOKOK。楽勝ね。とか思っていたのだが、それ以外の情報はまったく読めない。

 アダプタの機能構成は”⇔RS232C⇔CAN⇔”であり、RS232CをCANに変換する役割である。実際にPCを接続すると ”PC⇔RS232C⇔CAN⇔エンジンECU” という構成になる。PCからRS232C通信は問題ないのだが、CAN通信でエンジンECUへのコマンドの応答が返ってこないようだ。電圧だけは読み込めるのは、アダプタ自身の電圧を読み込んでいるだけのもよう。つまり”PC⇔RS232C”部分だけの動作であり、”CAN⇔エンジンECU”の通信は経由しないというわけ。

 それから情報を集めると、OBD通信ははじめ電気的な通信規格のみを制定していて、通信プロトコルなどはメーカー任せになっていたようだ。その後プロトコルなども統一していくのだが、私のアイはちょうどその端境期にあたり、完全に規格化される前のものみたい。なので規格書通りの扱いではエンジンECUからの応答が返ってこない。通信初めに決められた書式を送信すれば通信できるという情報もあったのでチャレンジしてみた。ヘッダATSHに3桁、4桁、6桁の数字を送信すればいいというものだ。そんな作業は手作業ではやってられないのでプログラミングしてPCに自動でやってもらうのだ。これらの作業はまだNAエンジンで走っていた時なので、ターボ用のエンジンECUを12Vアダプタで動かしてPCに接続する。作ったプログラムの動作は下記の通り。

 ①"ATSP0"       送信

 ②"ATSH????"  送信  ????は3桁、4桁、6桁を実施

 ③" 0100"         送信

 ????の番号を000→FFF、0000→FFFF、000000→FFFFFFと値をインクリメントしながら、②→③の動作を繰り返す。

正しいヘッダ(ATSH????)を送信すれば0100のコマンドにちゃんとした応答が帰ってくるはずなのだが。1回のループで10秒近くかかる(タイムアウトまで待つ)ので、3桁なら数時間、4桁で数日で終わったのだが、6桁だと計算上は2年以上かかるのだ。気の遠くなる時間だが、せっかく確認環境を整えたので動かしてみた。正解の近くの値から始めれば早く終わるのではという願いから。送信はF00000から始め、次にE00000と上位桁をFから順に小さくした。なんとく上位桁はビットがたくさんあるものというイメージがあったからね。24時間PCとエンジンECUがピカピカ光っているので、妻が「これ電気代どのくらいかかるの?」と不満そうに聞いてくる。まあその気持ちもわかるが、ノートPCなので電気代はそんなでもないよ。とかなんとかで9カ月も試験をやってたのだけど、まだヒットしない。6桁の全番号の3/16あたりまで済んだ頃にターボエンジン載せ替えとなった。

 そこでB君の再登場。彼の車はハイエースの200系なのだが、排ガス浄化装置の動作を把握したくて最近OBD通信を使うようになった。この車もアイと同年代の車でOBD通信で、少し骨を折ったとのこと。その通信装置を使いアイの通信を確認してみようとなった。アイのエンジン換装が完了してからB君のOBD通信アダプタ(下写真)をアイに差し込んだ。これはスマホbluetooth通信するタイプ。

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  すると一発で繋がった。スマホにデータをログし、後でPCに移して詳細評価もできる。アプリはたしかOBD Driverというやつ。ターボ化したアイの初めて取ったデータを下図に示す。エンジン負荷とブースト圧をプロットしている。この描画ソフトもB君自作。青ラインは平均を表しているので下図ではあまり意味はない。

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ブースト圧は3500rpmあたりでぐっと立ち上がり1.5~1.6気圧(ゲージ圧で0.5~0.6)になる。走行時のフィーリングでもやはり3500rpmあたりからぐっとターボが効いてくる感じである。ただ、アクセルを踏み込むとロックアップが外れ回転が上がり気味(4000rpm付近)になるので、3000rpm回転で高いブースト値を示すことはない。カタログスペックでは3000rpmで最大トルクを発生しているのであるが、T/Mとの組み合わせでは3000rpmでの最大トルク領域を使うことは1,2,3速ではないのかもしれない。

 アイのOBD通信はスマホBluetoothで実績があるのはネットでも知っていたが、私はガラケー使いであり、できればRS232C通信でプロトコルを確認し車載用のコントローラーを作りたいと思っていたので、あくまでRS232C通信にこだわっていた。しかしながらすでに9か月も動作確認しており一向に突破口が見えないなかで、スマホ通信を目の当たりにすると、これでいいんじゃない! という方向に気持ちが流れた。家に帰ってからすぐに上記アダプタを購入。スマホは妻に相談すると、お古のスマホを出してくれた。調べるとBluetooth対応だ。スマホは通話契約していなくてもBluetoothだけ使えればいいので、これだけでシステムが揃ったことになる。まあスマホの使い方の初歩の初歩から始めなくてはいけないんだけど、それはおいおいやっていこう。

 

 その後しばらく順調に稼働していたアイなのだが、エンジンから打音が聞こえるようになった。カンカンという感じの音で、発生源はクランク軸周辺。まさかメタルからの打音か? アイドルや定速走行時はそれほど大きな音ではないのだが、加速時にけっこう響く音が聞こえる。

 これは焦りました。これがメタルからの打音ならメタル交換? 今更エンジン降ろしてメタル交換なんて無理。もう一度NAエンジンに載せ替えるのなんてのも無理。無理無理づくしで詰んでしまう。  待て待て、まずは落ち着け! 冷静に原因究明だ。とりあえず打音の発生源を特定しなければ。音診断といえば聴診器だよね。密林さんで検索すれば安いのがヒット。送料無料。 信じられない(^^)/。  速攻でポチッ。 でも冷静に情報を見ると届くのは1か月以上先  (ToT)/~~~。 うん、わかってました・・・

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 とりあえず工具箱から金属の棒状のものを探すとスピナーが目についた。これで片側を診断箇所に、反対側を耳に押し付け不自然な体勢でエンジンのあちこちの音を確認。クランク周辺のエンジン内部からの打音ではないことは音から判断できる。ではどこ? クランク周辺で音を出すのは何だ? 音の周期はエンジン回転数より相当遅く、おそらく毎秒3~4回ほど。そうであればおのずと対象は絞られる。犯人らしき周辺を眺め倒すと発見。 犯人はお前だ  m9っ`Д´) !!!

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補器駆動ベルトの端がほつれている。このほつれがベルトケースを叩いていたのだ。カンカンという打音かと思っていたがペシッペシッという叩き音だったのね。エンジン換装時にこのベルトも新品に交換しようかと迷っていたのだが、ケチって交換してなかった。たぶん新車時から交換したことないので、7万キロ無交換。ダメになっても当然の時期でしたな。こういう部品は汎用品が安い。三菱純正だと6600円ほどするが、バンドーのものだと2800円。部品が届くまではほつれた所をニッパでカットして対処。数日走るとまた音がするのでまたカット。

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部品が届いたのでベルト交換。エンジン換装時から気になっていた取り付けボルトのサビサビもきれいにしよう。

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ベルトの外し方はテンショナーのボルトをメガネレンチで右に回してやると緩む。そして固定穴に3~4mmの棒を差し込めばテンショナーが緩んだ状態でロックされる。

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今回は3mmの六角レンチを使用。

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新旧のベルトを比較。古いのはだいぶ薄くなっている。

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ベルトの谷側が削れていくのね。

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ボルトは頭を平らに削りサビを落とす。

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ベルトカバーにも何かサビサビのものがある。

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これはテンショナーの位置(ベルトの伸び)を確認するためのカバーのようだ。

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このカバーのサビも落として耐熱塗料でスプレーし焼き付け処理実施。

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ちょうどベランダから美しい夕焼けが見えたので記念撮影。

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さあ組付けだ。

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カバーを取り付ける。ボルトのサビを落としたので全体的にすごく美しくなった。

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今後の展望についても書いておく。

 ①ブースト計取り付け

 ②オイルクーラー製作&取り付け

 ③外付け水温・油温・油圧センサの取り付け

 ④電子制御式のブースト制御装置の構築 

それ以外にも駆動系やサスのグリスアップなどの日常メンテをしていつまでもアイに乗り続けられるようにしよう。まずは3か月後の車検だが、できればユーザー車検をやってみたい。

 

■以下雑談

 近所のホームセンターに買い物に行った時にものすごくかっこいい車と遭遇。フェアレディーのS30かな? アイをいじる前まではあまり車には興味がなかったのだけど、自分で車をいじるようになると自然と他人の車にも興味が出てきた。フェアレディは昔から知っているけど、こんなにかっこ良かったか? と車の周りをぐるぐる回りながら眺め倒した。ロングノーズのボンネットがものすごくかっこ良くみえる。思わず写真撮影したのだが写真で見るとそのカッコよさがいまいち出てこないんだよね。現物を目の当たりにするのが一番カッコよさを実感できる。

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その後病院でもかっこいい車を発見。3代目のロードスターだね。でもこの車もそれまでかっこいいとは思ったことがない。ロングノーズってかっこいいんだな。

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ついでに近所の気になっていたコペンと勝手に記念撮影。ちょっとストーカーみたいで申し訳ないけどね。このコペンはたぶんアルティメットエディションってやつだ。内装とかもすごく品のいい車で、見かけるたびにほれぼれしていた。

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でもこれらの車っていずれも実用的ではないよね。二人しか乗れないし、荷物も積めない。こういう車を所有していじりたいけどそういう日は来そうもない (*‘ω‘ *)。

  ついでに書いておくと、アイの3気筒エンジンをバラシて部屋で眺めていると、このメカメカしい雰囲気にほれぼれした。そしてメカとして最高のバランスを有する直列6気筒エンジンも同じように眺めたいとい欲求が出てきた。妄想するのは自由だよねと、直6の車で何か気に入るものってあるかな~、といろいろ調査する。今の時代は直6ってあんまりないんだね。できれば2Lくらいの直6でロングノーズの車を所有したい。トヨタ2000GTが要求に合致するけどそんなん妄想すぎるよね。直6ってBMWが頑なにこだわっているエンジンみたいだけど、BMWっておっさんの乗っている高級車というイメージだったので調査すらしてなかったけど、急に思い出した。友人の息子がBMWに乗っていることを。かなりの型落ちなので安かったよ~とか言っていたことを。なのでカーセンサーBMWを調査してみたら意外な車種に心を奪われた。BMW Z4である。これ中古車市場で数が出ているしすごくかっこいい。何よりその価格。手が届く・・・。アイの購入価格の半分で購入可能だ。なんかぐっと現実味を帯びてきた。 もちろんこれだけ手をかけたアイを手放すつもりはまったくないけど、もしもアイに万が一の事態が生じた場合は、次の車の候補No.1がZ4だ。

 

3-9.堀ごたつの断熱処理 & 木星土星撮影できず

■2021年1月

 この1年半アイのターボ化に全集中していてほかの事がおろそかになっていたが、やっとターボ化も一段落したので長らく宿題になっていた堀こたつの断熱処理を実施した。我が家には小上がりに堀ごたつがあるのだが、冬場は足を入れると床が結構冷えるのだ。

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 これは隙間風もあるだろうが、支配的要因はフローリングからの冷気である。というかフリーリング下のコンクリートへの放熱である。フローリングの下は薄いクッションがあり、その下はコンクリート。そのコンクリートに熱が奪われてしまうので足元が冷えるのだと思う。現状はシートを敷いてホットカーペットを置いているが、それでも足裏は冷える。

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この堀ごたつを断熱材で完全に囲ってしまおうというのが今回の作戦。

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堀ごたつの内側は下写真のようになっている。ホットカーペット用のコンセントケーブルを通す穴からも結構冷気が入ってくる感じなので、コンセントも堀ごたつ内に新設する。

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まずはフローリング材の購入からなのだが、できれば現在のフローリングと同じ柄を使いたい。というのもリビングのダイニングテーブルにはキャスター付き椅子を使っており、そこのフローリングが一部剥がれているので、その補修もこのフリーリング材でやってしまおうという考え。でも捜してもなかなか見つからず、結局似た色合いのものを購入した。このフリーリング材と5mmの合板、そして30㎜厚のスタイロフォームで堀ごたつの底面と側面を完全に囲う構造にする。

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これだけの断熱材で囲ってしまえば結構な断熱効果があると思う。

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側面部にはコンセントとスイッチを取り付ける。掘りごたつに座った状態でカーペットの電源をON/OFFできるようにするのである。

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スイッチガードの形状もひと手間加えた。誤ってONしてしまわないように、また足の指先でもON/OFFがしやすいような形状にした。

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床下と側面をスタイロフォームで囲う。

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今までのやっつけ仕事の感じからだいぶ上品な感じになった。

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今まであちこち隙間があったけど、今回の加工で隙間はなくなった。

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これで堀ごたつ内側の加工は終了。

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手前側面部だけはスペースの関係で断熱材を設置しにくかったので、掘ごたつの外側に張り付けた。

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以上で作業終了。

 上記作業から2週間ほど経ったがかなり快適になった。足元の冷気はほぼ感じなくなったし、ホットカーペットをONにしないと暖かくはならないが、今までのようなひんやり感はなくなった。ホットカーペットをONにすると、その下の床まで暖かくなる。床下のコンクリート部への放熱が格段に少なくなったのだ。かなり満足である。

 

追記

 年末に学生時代の友人とネットミーティングしたのだが、その時に「木星土星の写真撮ったか?」と聞かれた。彼は私の星空撮影の趣味を知っているので、この400年ぶりの出来事を私が当然興味を持っていると思ったのだろう。

 「いや、実はこの1年半ほど、自動車にかかりっきりだったので・・・」と言葉を濁して”はっ”と我に返った。そうだ、この一生に一度しかない宇宙事象に対してまったくぼーっとしていた。

 私の望遠鏡システムは星雲・銀河を対象に構築されているので、惑星撮影は対象外という意識があり、さらにエンジン換装に意識を奪われており、今回の木星土星大接近は心の棚からは完全に脱落していた。しかしこの一期一会の事象に対し望遠鏡を一度も空に向けなかったという事実は「逃げた」という記憶として残ってしまいそうだ。とにかく望遠鏡だけでも空に向けなければ!と奮い立った。

 とは言っても現在の望遠鏡システムはR200SSを入手した段階で止まっており追尾システムが載らない。でも惑星なら追尾なしでも撮れるよね!ということで慌てて望遠鏡システムの準備に取り掛かった。1年半ぶりだが機材は行方不明もなくすぐにそろった。細かい使い方はかなり忘れているけど、とにかく対象に望遠鏡を向けよう。

 しかしながらその夜から寒波が襲ってきた。ベランダは風が吹きすさびとても観測などできそうにない。天候が安定するまで数日まち、元旦の夜にやっと望遠鏡をベランダに設置し木星土星を導入しようとした。

 

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 実は10日ほど前に双眼鏡で木星土星は一応見ている。「確かに大きな惑星が2つ並んで見えるな」と思っていたのだけど、今回その星を導入してもカメラのライブビューには土星木星の絵は浮かび上がらない。あれ?っと思いもう一度双眼鏡で見ると、なんとなく二つの明るい星が見える・・・ような。あれが木星土星だよね、と望遠鏡に接眼レンズをつけて見ても1個の恒星にしか見えない。あれ、どういうこと? 

 パソコンの星座ソフトで見える方角を確認すると、私が見ていたのはアルタイルであった。二つに見えたのは私の乱視の問題のようだ。星座ソフトで木星土星の位置を確認すると、地平線のちょっと上。そのあたりを双眼鏡で探すが、高度が低すぎて見えないようだ。ということは400年ぶりの宇宙事象は見損なったということだ。なんかがっくし。

 でも久しぶりに望遠鏡を覗けたし、特にR200SSにカメラを取り付けたのは初めだ。木星土星撮影は失敗に終わったが、長らく錆びついていた望遠鏡システムを再稼働させるいいきっかけにはなったかなと前向きに捉えよう。

 

6-2.アイのターボ化_44(セルモーターのOH)

6-2.アイのターボ化_44(セルモーターのOH)

■2020年11月

 ターボエンジンへの換装を終え、イザ帰路へ。f:id:otypemako:20201210094707j:plain

  行きと比べ荷物がずいぶん減った。基本的に持ってきたものはすべて持って帰っているのだが、インタークーラーやサクションパイプなど、車体に取り付けた部品の分だけ荷物が減ったのだ。ターボエンジンの代わりにNAエンジンを助手席に置いているので、相変わらず左サイドミラーは使えない。片側二車線では行きと同じように左側を走った。エンジン載せ替え後に10kmくらいの確認走行は行っているとはいえ、いきなり高速に乗るのは少し不安だったので初めの20km程は下道を走行。問題なさそうなので高速に乗る。一応2000km走行までは慣らし運転ということで回転数は4000rpm以下に抑えて走る。それでもNA時代とくらべパワフルさは格段に上がっている。エンジンの静かさ滑らかに感動している間にもう自宅は目前だ。

 中継地点(バラン星)あたりから尿意を感じていたのだが、家に帰ってからだと張り詰めた緊張感のなか走っていた。しかし高速を降り家まで10分というあたりで緊張が緩んだのか、尿意の強度が格段に上がってきた。もうダメだと近所の公園に入る。トイレはどこかと捜しているとT字路に公園の地図がある。よし!地図で確認だ、と車を止めエンジンを切って地図を見に行った。右方向100m先に駐車場とトイレがある。もう限界ギリギリだが、それくらいなら我慢できる。さあ、エンジンを掛けて100m先へGO!   キーを回してエンジン始動! ・・・・・シーーーーン。あれ?シフト入っている? とPに入れなおしてキーをON !  ・・・・シーーーーン  ('Д')。なんかわからんけど、もうがまんできないと、茂みに走っていき立ちション。そんな行為ここ10年したことがない。

 とりあえず落ち着いたところでもう一度エンジンスタート。しかしまったく応答なし。血の匂いが作業ミスの可能性が濃くなった。そんな! 首を切った完璧に作業したはずなのに!     焦るな、息を乱すな。落ち着け! 落ち着けば・・・ 今週もやってましたね。そして誰かがさっそうと現れるのです

 状況を整理すると、キーをONしてもセルモーターが回らない、まったく何の音もしない。リレー動作の音も聞こえないけど、荷物が満載だから聞こえないのかもしれない。でもキーをONするとメーターの表示がブラックアウトする。これって、一応セルモーターに通電したから電圧低下でブラックアウトするんだよね!って思ってた。とっさに考えた原因はオルタネーター。今のオルタネーターはターボエンジンについてきたやつ。見た目きれいで問題なさそうだったのでノーチェックだった。エンジン載せ替えた時はバッテリー電圧の変化を確認し、確実に発電していることを確認していた。こいつがちょっと走ったらくたばって発電しなくなったので、バッテリーが放電してしまってセルモーターが回らなくなったのではないか。それが原因なら実績のあるNAのオルタネーターと交換すれば解決するから、たいした問題ではない! とか思いながらテスターでバッテリー電圧を確認。 12.5V。 あれ? ちゃんと電圧あるなぁ。 

 どうする!どーするの? 公園の中とは言えT字路の真ん中に止めたまま悠長に確認作業とかしてられない。とりあえずあれだ! いざという時のため確認していたロードサービスに電話だ。ブースターつないでエンジンがかかればすぐだ! バッテリー電圧は十分あるけど、きっとブースターでちゃんとかかるはずだ(そう信じたい)。ロードサービスの方は20分ほどで到着。でっかいレッカー車でやってきた。このレッカー車で運ばれていく荷物満載のアイの姿を想像して泣きそうになる。

 ブースターで試してみたがまったく応答なし。ロードサービスの兄ちゃんが「レッカーに積んで工場に行きますか?」と言ってくる。俺は身の上話を始める。かくかくしかじかで、この車はエンジンを載せ替えたばかり。でもセルモーター周辺は触っていないので、そこに問題があるとは思えないと力説した。つまり「工場に連行されてちゃんと修理してくれとかは思っていない。とにかくこの場をしのげればいいのだ」という気持ちを目で語ったのだ。”察してくれ!” ・・・と。 

 その兄ちゃんは察してくれた。「じゃあ試しにセルモーターを叩きながらエンジンかけてみましょう」。”セルを叩く”という聞きなれない言葉を発して兄ちゃんは長い鉄の棒(スピナーかな?)を持ってきて、「じゃあキーONしてください」といいセルモーターをコンコン叩き始めた。すると「なんということでしょう!」エンジンはあっさり始動したのであります。30分以内の作業なので費用は発生せず、サインだけして兄ちゃんは去っていった。「俺が来るまでよくこらえた。後はまかせろ!」とかの決め台詞は残しませんでしたが、深々とお礼して見送ったのは言うまでもない。

 そのまま家に帰宅。本来の作戦は家の前に車を止め、荷物を降ろしてから駐車場に戻るというものだったが、またエンジン始動しなかったら困るので直接駐車場に戻った。停止後再びキーをONにしてもセルモーターは回らなかった(*_*; 。満載の荷物を160m離れた我が家に持って帰るのでそうとう疲れた。

 帰って一息ついてからネット情報を見ると、「セルモーターが回らない」「叩く」で検索すると同じような情報が山ほど出てくる。モーターのブラシとコンミュテーターの接触不良やリレーの動作不良が原因のようだ。とにかく「セルモーターが回らなければセルを叩く」ということでしばらくは乗り切ろう。そのための棒も載せておいた。しかしそれから一週間ほどはセルモーターが回らない事態は起こらなかった。でもそのまま放置はできないよね。エンジン載せ替えに全集中しすぎたせいで、日常がおろそかになっていたが、とにかくセルモーターのメンテだけはやってしまわないとね。

 まずはセルモーターの電気系統図。

 

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回路的には簡単で、キーON操作とシフトの位置により、セルモーターのマグネチックスイッチに通電する。マグネチックスイッチは電磁石のようなもので、通電により円柱状のシリンダーがスライドし、それによりピニオンギヤをスライドさせてドライブギヤにかみ合い、そしてモーター用のリレーを押すというわけだ。構成部品は下図の通り。

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セルモーターを取り外してOHすれば原因がわかるだろう。コンデンサータンクなどを移動しないとモーターにアクセスできないので、まずはコンデンサータンク内のクーラントを抜く。

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コンデンサータンクを少し前方に移動すればセルモーターへの道が開ける。

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セルモーターにはマグネチックスイッチ駆動用のコネクタ(1芯)とバッテリー直結のモーター駆動ケーブルが繋がっている。

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セルモーターはボルト2本で固定されている。ボルトを外せばセルモーターは結構簡単に外れた。

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ピニオンギヤ側はこうなっているのね。2cmほどスライドする機構になっておりエンジンスタート時のみエンジン側のドライブプレート外周のギヤと噛合うわけだ。

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今回のトラブル ”セルモーター回転せず!” の原因はセルモーターのOHを経て結論づけたのであるが、このマグネチックスイッチへの接続コネクタ部の接触不良が原因と判断した。写真でみてもわかるがこの端子、表面がほとんど銅の緑さびで覆われていた。コネクタ端子の接触する箇所だけが導通するという状態。このコネクタは1芯で上下どちらの向きでもさせる。

 今回のエンジン載せ替え時にコネクタの上下をそれまでとは逆に差し込んだんだと思う。だってどっちでもいいわけだから、組む時はそんな事考えてもいなかった。でも緑さびで覆われていたので、コネクタの接点以外は通電しない状態の端子になっていたので、コネクタの上下が逆になると接点の位置も変わって接続不良が起きたと推測している。それでもぎりぎり通はあり、初めは問題なく動いていたが、長時間走行による熱によりコネクタの接点位置にわずかなずれか何かが発生し、セルモーターが回らなかったのではないだろうか。

 それを裏付ける事象として、長時間走行(Bくん宅から自宅へ)した後は2度連続で回らなかったが、その後一週間、近場を走行しただけでは問題なく動いていたのである。ネットでの情報を見るとコンミュテーターとブラシの接触不良やマグネティックスイッチの固着が原因の主流であるが、私の場合はエンジン載せ替え前の10年間にはこんなことは一度もなく、エンジン載せ替えしたとたんに発生したトラブルなので、セルモーター内部の問題の可能性より、変更した所(コネクタ部)を疑う方が自然だ。

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とりあえずセルモーターを分解していく。

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マグネティックスイッチ部が外れた。

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なるほど、円柱部品がバネで押されていて、キーONで電磁石力でこの円柱部分を奥に引っ込めるのだな。

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ピニオンギヤのスライド機構も出てきた。

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後端側のカバーを外す。

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回転子はひっぱれば抜けた。でもブラシ4つがバネでビヨ~ンと出てきた。これって入れる時どうするんだろう?

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ブラシ高さは
 12V側ブラシ  :11.3mm、11.3mm
 GND側ブラシ:11.6mm、11.6mm

であった。ちなみに使用限度値は7mm。

コンミュテーターの外径も後で記述するが、使用限度値にはまだまだ余裕がある。というか新品状態からはほとんど摩耗していない感じである。でもこんなんでも修理工場に連行されると新品セルモーターに交換されるんだろうな。
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モーターケースはさびさびだったので、わずかに残っている耐熱塗料で塗装。でも永久磁石が入っているので焼き付け処理はなしね。温度上げたら磁力がなくなるもんね。

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セルモーターの全部品を並べて記念撮影。

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コンミュテーターの状態。まあたしかに”7万キロ走ったお古”という感じはする。

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コンミュテーターは旋盤で回して研磨しよう。そのためにはピニオンギヤのスライド機構部を取り外さないとチャックで軸を掴めない。スライド機構の抜け止め部品は下写真のような形状で、中にCリングが見える。このCリングを広げて抜き取ればいいのだろうと思ったのだ(この考えは間違いでした)。

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精密ドライバーを2本使ってなんとかCリングを外そうと試みました。でも取れない。ちょっとイライラしてきた。今までなかなか購入に踏み切れなかったスナップリングプライヤーを買ってこよう。 ・・・あ! 車が動かないので買いに行けない。ホームセンターまで車では10分だが、歩けば30分以上かかるだろう。駅前からバスで行こうか? でもバスの乗り方がわからん! バスなんて10年くらい前に乗ったきりだ。

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待て待て、まずは落ち着け! 整備解説書読んでみろ。 ということで読んだらちゃんと書いていました。Cリングを挟んでいる部品を適当なロングソケットをあてて、叩き込めということ。12mmのがぴったりだったので、その通り叩き込むと抜けました。

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こういう構造だと理解してしまえば次からは悩むことはないだろうけど、初めて叩く時はビビリながら叩いてました。なるほど、この部品がCリングを外側から押さえつけていたのね。

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これでピニオンギヤのスライド部が抜けた。

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軸に空き缶で作った板を巻いて旋盤のチャックで掴む。

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そしてコンミュテーター部を#400の耐水ペーパーから順に研磨していく。

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表面をサラッと研磨した状態。結構段差ができているんだね。

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最終的に青棒で研磨。ピカピカ。

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これらの作業において、レーシングアート様の情報を参考にさせて頂きました。ありがとうございます。

 さあ組み立てだ。グリスはどういったものを使えばいいのかわからなかったが、家にある一番耐熱の高いのを使った。自転車修理の時に入手したものだ。

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ピニオンギヤを差し込み、

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抜け止め部品をはめる。整備解説書ではプーラーで引き上げろと書いているが、プーラーなんて持ってない(実は持っていたけど忘れてた)。

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下写真のように金属棒(バイト)で挟んでかなづち一発。

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次は気になっていたブラシの組付け。手が4本あればできそうだけど私には2本しかない。いろいろ考えブラシの上側を30mmのボルトを挟んで、下側からコンミュテーターを入れればうまくいった。入った瞬間に気が付いた。ブラシ側の研磨してなかった。でももう一度この作業をするのはめんどくさかったので、もういいことにした。

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組み上げると、サビサビだったセルモーターもキリッと引き締まった感じに見える。

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さっそく組付け。

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ついでに入れすぎていたATフルードを少し抜く。

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アルミパイプを挿した注射器で”チュー”と吸うと簡単に抜けました。

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これでセルモーターのOHは終了。まったく問題なくエンジンスタートするようになり、2週間順調に動いているのでもう大丈夫だろう。

長かったエンジン換装への道のりも、今回の作業で完了したといえる。これでやっと一息つける。最後に各部の最終選別確認とターボのインプレッションを書いてアイのターボ化の項目は終了である。ターボ化の話は45ページで終了となるわけだ。

 

 

6-2.アイのターボ化_43(ターボエンジンの搭載)

■2020年11月

 作業四日目(エンジン載せ替え作業三日目)。今日で載せ替えを終えてエンジンを始動する!  絶対にだ。

止まるな、作業を続けろ
今止まれば無理やり張り詰めた
身心へのはね返りがくる
そうしたら俺はしばらく動けなくなるだろう
だから今やらなければ!
走れ、アイ守るんだ

 ジャジャーン!(BGM)

見えた、コンプレッサーの取付角度
今ここで載せ替えるんだ・・・ たとえ、相打ちになったとしても !!

 だれかが夢の中で語り掛ける

Bくん、Bくん、がんばって、Bくん
義理のお兄ちゃんを助けるの、今のBくんならできるわ
おねがいBくん
アイちゃんまで死んでしまうわよ

 ここでクライマックス!

換装ばっけつ  !!     (ね、ねずこがしゃべった~!)

 敵を倒してエンジン始動してドヤ顔 !!

俺とアイの絆はだれにも引き裂けない  !

 

とかいう感じで鬼を成敗エンジンを換装して始動までたどり着きました。上記文章の意味がわからない人も読み返す必要はありません(笑)。たまたま今日神回の再放送していたので録画して文字起こししたのです。若い頃はマンガとアニメに人生を教えてもらっていたが、この歳になって再びアニメで勇気づけられるとは思ってもいなかった。困難な状況(体力的衰え)でも目標(エンジン換装)に向かってがんばる主人公のセリフにいちいち奮い立たされた。

 

 ここから真面目に本日の作業の話。昨日はエンジンを車体下に移動したので今朝は車体との結合である。車体を少しずつジャッキダウンし、エアコンコンプレッサーをエンジンに接続できるあたりまで下げたところで、コンプレッサーをエンジンに固定する。 ・・・はずなのだが、コンプレッサーが付けられない。奥の方で何かが干渉してボルト固定位置に取り付けられないのである。すでにエンジンと車体の隙間は相当狭くなっており、干渉しているあたりは目視できない。手も届かない。二人で交互に何度もチャレンジするが、奥で何かが当たっている。まさかNAエンジンとターボエンジンではコンプレッサーの形状が異なるのか?  もしそうならコンプレッサーは取り付けられず、ということはエンジンの載せ替えも ”The End” となる。  いや! そんなはずはない、NA車とターボ車でわざわざコンプレッサーを変える必要などないはずだ。そう思いその後何度も取り付けを試みたが、やっぱり奥の見えない所、手で触れないところで何かが干渉している。

 こういう時は休憩して頭のクールダウンだ。取り外したNAエンジンのコンプレッサーの取付位置を見直してみるがターボ車との違いは見られない。なぜ?どうして?  というフレーズが頭の中をぐるぐるまわる。下写真(後日入手した借り物)のフェールユニット(プラ製)のハーネスステーのあたりと干渉している感じなのだ。もうやけくそである。このハーネスステーを切断した。切断といっても車体下の隙間がほとんどないところを手探りで切っていった。そしてコンプレッサー取り付けの再チャレンジ。でもなんか当たってやっぱり取り付けられない。うわ~、もう泣いちゃいそう。

 もう一度休憩して頭を冷やす。冷静に考えてNA車とターボ車でコンプレッサーの形状が異なるなど考えられない。NAとターボでコンプレッサー能力に違いがあるなんて考えられない。NAとターボはしばらく平行して販売されていたので、NA車のがターボ車に取り付けられないなんて設計するのは技術者としてあるまじき行為である。絶対に取り付けられるはずだ。信じるんだ! この名車アイを設計した技術者達だぞ。そう言い聞かせ、「信じる心」でコンプレッサーを取り付けてみた。そしたら取り付きました。もう安堵の涙が止まりませんでした(嘘)。  

 下写真(後日入手の借り物写真)を見直してみると、コンプレッサーはハーネスステーの下側に潜り込む形で取り付けられている。今回の作業ではコンプレッサーへの接続ホース2本を付けたまま取り付けたので、接続ホースにより変な方向のテンションでひっぱっられていて、そのためハーネスステーの下側に潜り込ませようにはめ込むのが難しかったのだろう。車体をリフトアップしての作業であれば、目視でこのあたりの状況を確認して作業できるのだが、今回はエンジンと車体は地面に設置した状態なので、下から確認する方法がなかったのである。家にUSBの内視鏡を持っていたので、こいつを持ってきていたらもっとスムーズに作業を進められたと思う。とにかくめでたしめでたしである。

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そしてエンジンと車体を接続する。エンジンとリアサスアームが干渉するので、車体を少しづつ下げ、エンジンをそのたびに少し動かして車体をジャッキダウンしていく。あと少しで固定ボルトがエンジン側の穴に入る、という所でジャッキがフルボトムした。あれ? そういえばエンジンを外す時もそうだったので、エンジン下に5cm程の板を敷いていたのを思い出した。今更一連の作業をやり直すなんて考えられないので、今の状態でエンジン側を持ち上げよう。私は棒を使って”てこの原理”でエンジンを持ち上げ、下に板を敷く方法を提案したが、エンジンに適した引っ掛ける所が見つからない。B君は「じゃあ僕がエンジン持ち上げるので、その間にボルト締めちゃって」と軽く言う。「えっ、何言ってんの?」と思いましたよ。だってエンジンは単体で40kg程だし、今はさらにトランスミッションも結合している。おそらく80kgくらいあるだろう。疲れてきて思考能力が下がって来たんだね・・・、とか思っていたらロープを持ってきて、車体の中に入っていった。エンジンにロープをかけて、車体のエンジンルームに跨り、肩にロープをかけてエンジンを下半身の力でを持ち上げようというのだ。「なるほど、力学的には効率的な方法だな」とは思ったが、果たして持ち上がるのか? ・・・などと疑念の眼差しで見ていると、「試しに少し上げるので様子見てて」とか言いながらなんか軽く持ち上げてる!! 「しばらくはこの状態保持できそうなので、その間にボルト締めちゃって!」とさらりと言う。私はてこの原理を使うなど”機械文明的解決”を考えていたが、腕力での一発解決である。脱帽というかあぜんというか・・・。

 そんなこんなでエンジンの車体への結合は完了。次の難関は左側ドライブシャフトの取付である。取り外す時に難儀したが、そのおかげで手順はわかっている。リアサスアームの支点ボルトを外し、アーム全体を左に10cmほどずらせばいいのだ。 

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そうすると、左ドライブシャフトはすんなり取り付けられる。下写真の状態からグイっと押し込めば取り付け完了である。そしてリアサスアームの支点ボルトを付け直す。

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右のドライブシャフトはすんなり付くはずだった。抜くときはすんなり抜けたんだからね。でもスプライン部が2~3cm入った所でそれ以上入らない。何度やり直しても同じ。まあすったもんだの末に組付けできたんだけどね。

 ここでドライブシャフトの取付部の構造を整理し直しておく。まずは左側のドライブシャフト結合部。先端にCリングがあり、トランスミッション側にこのCリングが嵌る溝があるのだろう(奥すぎて目視では見えない)。このCリングだけで固定されているってことに驚く。このドライブシャフト結合部とドライブシャフトには軸方向の伸縮機構があるので、結合部には軸方向に引き抜く力は働かないのでCリングだけで固定されていても問題ないのだろう。

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次は問題の右ドライブシャフト結合部。

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トランスミッション側にCリングが付いている。

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構造を図で示すとこんな感じ。

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取り付け時に問題になったのは、2~3cm入った所でそれ以上入らないというもの。右ドライブシャフトのスプライン部の2cm程の所に謎の溝があるのが原因だ。この溝でCリングが固定されてしまい、それ以上奥に入らないのだ。この”謎の溝”は何のためあるんだろう?  初めはCリングが噛んでしまっているのかとも思ったが、Cリングの向きを変えて何度も試したが、そういう雰囲気ではなかった。金槌で叩きこめば良さそうなんだけど叩く場所がない。「ユニバーサル部のブーツを外せば叩けそうだがどうしたものか?」と悩んでいるとB君がクランプを持ってきた。これで図のように締結部を掴んでそこを金槌でコンコン叩けばすんなり入っていった。

※後日談:ドライブジョイントインサーター という工具があることを知った(一番下に写真掲載)。しかしこれを使っても溝が2つあるので役に立たないだろう。

 さあこれで大物の取付は完了したので、後はサスまわりを組み上げ、

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過給機や、その油圧ラインと冷却ラインを取り付ける。

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インタークーラーもどんどん取り付けていく。ただインタークーラーの取付はネット記事にも多数あるのだが、右側の固定ステーへの取付がすごくやりにくい。まあ今までの悪戦苦闘に比べれば軽いもんだけどね。

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マフラーも取り付ける。

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コンデンサータンク、そして力作であるオイルキャッチタンクも取り付ける。

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最後にウエストゲートバルブのソレノイド駆動用のケーブルをはんだ付け。

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さあこれでエンジンが掛けられる状態まで来た。ついにその時が来たのだ。はやる心を抑え、もう一度抜けている作業がないか確認する。

そしてクライマックスであるエンジン始動!

なんか思った以上にあっさり始動した。思い起こせば1年半前にポチッった時からこの日が来るのを夢見ていた。いやこんな日が本当に来るとは思ってなかった。

 今 万感の思いを込めて エンジンが起動する
 今 万感の思いを込めて ターボが過給する
 ひとつの改造は終わり また新しい旅立ちがはじまる
 さらばNAエンジン
 さらばOHの日々
 さらば中年の日よ

まさにそんな感じなんだけど、エンジン始動後の「おおおおおー!」って感嘆詞。何あれ!  まったくなんの”万感”感も感じない。ちょっとうまいファミマの鮭弁食べた時の感動くらいにしか感じない表現力。もう少し感動の雄叫びの練習しとけばよかったわ。

 エンジン始動後のあちこちの音を撮影しておく。ファーストアイドルということでエンジン回転数が高めという理由もあるが、ノイズ音も含め音が大きく感じる。シリンダーヘッドからは「カチカチカチ」というタペット音が耳に障るし、エンジンとトランスミッションの結合部あたりからの「ガシャガシャガシャ」という音も気になる。でも暖気が済めばタペット音はほとんど聞こえなくなったし、200km程走行した後ではこれらのエンジンノイズはほとんど聞こえなくなった。というか今までNAエンジンでこういうエンジン音を気にして聞いたことなんてなかったしね。ターボ換装後は運転中はエンジン音がものすごく静かになった。

さあラストスパート。マフラーの防熱カバーを取付て、

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リアバンパーを取り付ける。リアバンパーは簡単に組み付いており、取外しと組付けは慣れれば10分くらいでできそうだ。

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最後にバンパー左右をボディの爪にパチンと押し込めば完了。

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 バンパーをつけようとしたら、左のアーム部の穴の位置が合わなかった。そういえば7年前に妻がリアバンパーぶつけて修理したことがあった。修理屋さんは曲がっていた左側のアームを結構適当に直して修理していたようで、右側のアームはまっすぐなのに左側は”ぐねっ”と曲がっている。おまけに曲がった所の塗装も剥がれてサビていた。左アームをちゃんと伸ばしてサビているところはやすり掛けしてシャーシブラックを塗布しておいた。

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NAエンジンのマフラーボルトはネジ山が完全になくなっていたので、すんなりと外れないだろうからグラインダーでのカットを覚悟していたし、新品も購入していた。しかしながら結構あっさり外れて再利用も可能な雰囲気だった。でもまあせっかく新品部品買ったんだし、新品を取り付ける。

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リアバンパーも取り付きターボエンジンへの載せ替え完了である。

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Before/Afterの写真。今まで汚いものでも見るような目で見ていたエンジンルームだが、今は愛しいものを見つめる気持ちでエンジンルームを見るようになった。

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降ろしたNAエンジン。君の将来にはどんな未来が待ち受けているのか。

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7~8年後に再びこのエンジンをオーバーホールして、こいつをターボエンジンとして復活させたい気持ちが心の片隅にはある。でもこの1年半、趣味の時間をほぼエンジンのOHに注ぎ込んでいたことを思い返すと、ふたたびあの日々を送る自信があまりない。まあすごく楽しかったのではあるが、他の趣味はほぼストップしていた。今回実感したよね!いくつもの趣味を並列で進めるのは無理だと。運動系とモノづくり系などジャンルの異なる趣味ならできるだろうけど、モノづくりで複数の並列作業は難しい。お風呂に入っている時など頭が空っぽの時に作業方法や改造案を考えるのだが、そういう種類の思考の同時並行は私には無理っぽい。

 しかしこのNAエンジンをターボエンジンとしてOHして復活させ、アイに搭載することが”真のNAアイのターボ化”と言えるのではないだろうか。未来の俺よ、そういう気持ちを忘れないでおくれ。今の俺はエンジンOHにかかりっきりで妻からの家のメンテ要求を断り続けていたので、妻の”不満のマグマ”が蓄積されているこの危険な状況を解消しなければならないのである。

 

 とにかくこれにてエンジン載替え作業は終了。お世話になったBくん家族には再度お礼申し上げる。荷物を積み込み我が家へGO! 自宅すぐ近くまでは順調に動いていたのであるが、我が家が近づき安堵感が漂い始めた時に、問題が起きたのである。

   風雲急を告げる!  次週、誰も想像すらしなかったクライマックスへ。

                           つづく!

追記1

 今回はリアサスアームを取り外さない方法を採用したが、やってみるとやっぱり取り外した方が楽だということ。まずドライブシャフトの抜き取りがめんどくさい。左側を抜き取るには結局リアサスアームの軸を外している。リアブレーキライン、サイドブレーキワイヤ、車速センサを取り外しと再取り付けがめんどうと思っていたけど、リアサスアームをつけたままの作業はそれ以上に手間だった。車体の上げ下げでエンジンを降ろすわけだが安全確認しながら少しづつ上げ下げするのって想像以上に時間と体力と神経を使う。また、エンジンとリアアームが干渉するので、少し上げてはエンジン位置を動かし、という作業も心身を削ぐ。さらにエアコンコンプレッサーの取り付けが車体もエンジンも地面に接した状態でしなければならないので大変だった。これは慣れれば大丈夫かもしれないけど。リアサスアームを外してエンジンのリフト装置を作って作業すれば、時間も体力も作業の正確さも向上すると思う。次回(があれば)はそうしよう。

 

追記2

 作業二日目までは色々トラブルもあり相当追い詰められていたので、姪っ子ともあまり遊べなかった。エンジンが始動し精神的余裕ができたので、やっと姪っ子に遊んでもらった。姪っ子は自然の中で育った虫愛でる姫である。昨年会ったときはカナヘビ(トカゲの種類)が好きで、自分で描いたカナヘビTシャツを着ていた。今回Bくん宅に行くと、離れの壁にはカナヘビが3匹描かれていた。玄関にもカナヘビの絵が飾られており、姪っ子は相変わらずカナヘビTシャツを着ていた。また学校の宿題ではカナヘビの観察日記を書いており、切れたしっぽが再生する様子などを図解入りで解説していた。なかなか読み応えのある観察日記であった。

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 またモノづくりにも並々ならぬ興味を持っており、最近はストローを使った作品を毎晩作っていた。下の写真は私がいる間に作った製品群である。龍の背中のうろこなど、はさみで細かい切込みを入れて表現している。おそれいる。

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 また運動も大好きで、毎晩元気なねこみたいに跳ね回ったり、器械体操したりしていた。私も参加したかったが、もし体を痛めでもしたらエンジン換装作業が絶体絶命の状況になるので、うずうずしながら見学していたのだが、エンジン始動した晩は私も参戦。若い時は体を動かすのが大好きで特に前転が得意だった。前転といっても大した技ではなく、逆立ち状態から背中側へ倒れる時に右手首と肩をくるりと180°まわして猫のように体をひねってストンと着地するのだ。この技を持っていると逆立ち状態から背中側に倒れる時に確実に両足で着地できるので、コンクリートの上でも不安なく逆立ちできた。友達とよく砂場などでそういう遊びをしていたが、私のその技はだれも真似する事はできなかった。10年くらい前までは普通にその前転をしていたのだが、その動きは体に染みついている(はず)ので姪っ子の前で披露した。しかし10年のブランク(というか体の老化)は思った以上に大きく、足とお尻が同時にドスンと床に着地(墜落)した。これには自分でも驚いた。昔は歩くように普通にできていた動作ができないのだ。結構ショックで、ムキになって3回チャレンジ。この技の肝は倒立状態からゆっくりと背中側に倒れても”ひらり”と手と肩を回転させて両足で着地できるところなのだが、今回は多少勢いをつけて前転時の回転の勢いを利用し(第二の型)なんとか両足で着地できた。ちょっと腰が痛かったけどなんとか面目は保てた感じ。驚いたのは翌日、姪っ子はほぼその前転を再現していたのだ。写輪眼でも持っているのか?

 

 

※ドライブジョイントインサーター という工具。

でもこれ使ってもだめっぽいよね。

 

6-2.アイのターボ化_42(NAエンジンを降ろす)

■2020年11月

 作業二日目。といっても初日は午後からの移動とクーラント抜きだけなので、エンジン載せ替え作業としてはこれが一日目になる。今日からB君も参戦してくれる。まずはリアバンパー、マフラーを外す。バンパーはクリップで付いているだけなので、外し方がわかれば簡単に外せる。マフラーもボルト6本外すだけなので、下写真の状態には30分くらいの作業。これくらいなら月極め駐車場でもできそうなので、今後定期的にこの状態までばらしてメンテナンスしていきた。

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T/M側のドレンを外してオートマオイル抜く。T/Mはそのまま使うのでオイルは抜かなくてもいいかな?とも思っていたけど一応抜いておく。といってもドレンから抜けるオイルは半分くらいしかないようだ。

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エンジン載せ替えの方法は前の検討ではじめに検討したのを選択。車体側を上下させ、エンジンリフトは使わない方法。B君宅には枕木など車体下に敷く木材が多数あるので、エンジンを引き出すために車体を高くジャッキアップするのも問題なくできそうだったから。 

 

 エンジン載せ替えに際しての不安事項のひとつがドライブシャフトの取り外し方法。整備解説書を見る限り、ドライブシャフトはミッション側にCリングのみで”かぽっ”とはまっているだけで、下図のようにレバーを使って”てこ”の原理で”クイッ”とすれば外れるとのこと。でもB君にも意見を求めたのだが、そんな軽い感じで固定されているの? と納得し難い。ドライブシャフトのEDJ ASSY(ETJ ASSY)はユニバーサル機構と軸方向への伸縮機構の役割があるのだが、ドライブシャフトの付け根には軸を引き抜く方向の力はかからないのだろう。でなければ”かぽっ”とはめ込んむだけということはないはず。

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リアサスを伸びきった状態にして、右側のドライブシャフトをレバーで”クイッ”とすると、たしかに簡単に抜けた。しかし問題は左側。左側はドライブシャフトの長さが短くてシャフトの曲がり角度も大きくこのままでは軸がT/Mから抜けない。リアサスのダンパーを外してリアアームをもっと下げようとしても、左ドライブシャフトとリアアームが干渉してあまり下げられないし、がんばればぎりぎりドライブシャフトのスプライン部までは抜けるのだが、オイルシール部を超えて抜き取ることはできない。

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かなり行き詰ったが、結局リアサスアームの支点ボルトを外し、リアサス全体を少し左に移動すれば左ドライブシャフトが抜けた。初めからリアサスアームを外せばいいのだが、そうするとリアブレーキライン、サイドブレーキワイヤー、車速センサを取り外す必要があり、その手間を省くためリアサスアームは外さない方法を選択したわけだ。今回左ドライブシャフトを抜く時はリアサスアームの支点ボルトを外して、ブレーキラインの長さの余裕分の範囲でアーム全体を左側に10cmほど移動したらシャフトは抜けた。

 ドライブシャフトが抜けたので、もう一度リアサスアームの支点ボルトを再度取り付け、リアサスのジャッキポイントにジャッキを掛け直して車体全体を下げていき、エンジンが接地するまで下げる。エンジンが接地すればエンジンを車体に固定してナットを外していき車体とエンジンの分離完了。

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アイのエンジンは片側3本づつ(左右で6本)エンジン固定ボルトがあり、一本は位置決め用に長くなっている。この6個のナットを外せばエンジンは分離するのだが、ナットを緩めていくと6本中3本のボルト自体が抜けてしまった。

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ボルトはエンジンマウント側に固定されているのだが、このボルトがナットと一緒に回って抜けてしまったのだ。ボルト山が腐食かサビかで回りづらくなっており、それを無理に回したのでボルト自体が回ったというわけ。事前にボルト山を綺麗にしておけば良かったのだが、そんなところまで気は回らない。まあ抜けたボルトのネジ山をダイスで修正しておけば問題なく取り付けられるだろうと思ったのだが、B君の指摘で気が付いた。抜けたボルトは車体側がM12、エンジン側(取付ナットが付く方)はM10。M12はたぶん細目。そしてM10の方は車体側のM12とネジピッチが同じなのだ。えっ!どういうこと? M12とM10が同じピッチ? なんか特殊なネジなの? ・・・と混乱したが今はそんな細かいことを確認している余裕はない。(後日確認したらM12とM10の細目ピッチはいずれも1.25mmで同じでした)。細目のダイスはもってないので、その夜にカッターでちまちまネジ山をきれいにし、ボルトがスムーズに回るようにした。

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それからハーネスやラジエターパイプなどのエンジンに接続しているものをすべて取り外した。エアコンコンプレッサーはエンジンから離し、車体側にぶらぶらさせている。

エンジンが切り離されたので、車体をさらにジャッキアップしリアアームの下側からエンジンを引き出した。ここで日没サスペンド

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 作業三日目(エンジン載せ替え作業二日目)。当初立てた理想の計画では、エンジンルームの汚れやサビを落としてシャーシブラックを塗布するつもりだったが、理想計画からは大きく遅れており一切の余裕がないのでパス。加えて写真などもいっぱい撮ろうと思っていたが、そんな余裕もまったくなし。

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エンジン前側のクーラントの配管系統を確認。あれ?なんかスロットルにもクーラントが廻っている。ターボ用のスロットルにこんな配管は無い。どういうこと? エアコンヒーターへのラインと合流するんだけど、ターボ車用のパイプにはこの合流ラインも無い・・・と混乱するがこれに関する情報を探す余裕もなく「ターボ用スロットルにはクーラントラインが無いんだから不要流路は塞げばいいよな?」と自信なく決定。オートマウォーマーから出てスロットルに分岐するラインを栓で塞いでおいた。

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エンジンとトランスミッションを分離する。まずドライブプレートとトルコンを接続しているボルト3本外す。ミッションとエンジンの間に小さなカバーがあり、それを外すとドライブプレートが見える。3か所ボルトがあり、クランクを回して順に外していく。

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エンジンとトランスミッションの接続ボルトを外し、左右からひっぱれば簡単に分離。でもトルコンがエンジン側にくっついて出てくる。ボルトは外しているんだけど、軸部の摩擦でエンジン側に引っ張られる様だ。トルコンが出てこない様に手で押さえてエンジンを完全に分離する。ちなみにトルコンはトランスミッション側の軸と噛み合う位置が決まっていて、ちゃんと奥まで入っているか確認しないといけない。解説書で読んではいたが、軸の奥に切り欠きがあり、スプラインのはめ合いが1山ずれてもダメ。ここでも結構難航した。まあ一回経験すれば難しい作業ではないけど初めてだと戸惑う。

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そして精魂込めて整備したターボエンジンとの結合。

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エンジンに比べトランスミッションが汚すぎる。いや、エンジンが綺麗すぎるんだね。

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結合時は長いボルトを2本案内ガイドとして取り付ければ結構すんなり結合した。ただ、ドライブプレートとトルコンの結合用ボルトの位置は合わしておかなければ、結合後に位置合わせするのは結構難しそう。

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エンジンを車体の下に押し込む。

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エンジンに接続するパイプ類は下記写真の通り。

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コンプレッサーを挟んで傷付けない様に気を付けながら車体をジャッキダウンすればエンジンと車体を結合できる。

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そろそろ暗くなってきたので作業終了。なんとかエンジン搭載まで進めたかったが暗い中で作業すればミスも出るだろうし、エンジン搭載は翌日に持ち越しとなった。

 

ラジエターパイプの接続を下図に整理。

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右側のドライブシャフト(長い方)の構造。等速ジョイントは鋼球が8個使われている。この鋼球部分は軸方向に移動可能で、ドライブシャフトの伸縮部となっている。

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左ドライブシャフト(短い方)の構造。こちらはボールベアリングの様なものが三又状になった構造。右側と比べ等速ジョイントっぽくない気がするけど、左側の方がドライブシャフトの曲がり角が大きいのと関係しているのかな?

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6-2.アイのターボ化_41(エンジン換装:イザ! 出陣)

■2020年11月

 このエンジンをポチッた時にもっとも気がかりだったのが、エンジン載せ替え作業が本当にできるのだろうか? ・・・というか載せ替え作業の場所を確保できるだろうか? ということだった。ぼや~っと考えていたのは、うちのマンションには車を置いていない駐車場が一つある。駐車場は個人の持ち物でその駐車場の持ち主が今は駐車場を使っていないということだ。その人と交渉して1週間程借りるというのがAプラン。しかし、借りることができるのか? またエンジン載せ替えという重作業を借りた駐車場でしていいものか? さらに駐車場は壁で囲われているとはいえ、近所迷惑では? 駐車場の壁を傷つけたら? オイルをこぼしたら?  など不安は山ほどある。

 Bプランは近所に上記のような不安の少ない空き地を探して持ち主と交渉するというもの。家の近所をぶらぶら回ると荒れた空地は結構ある。でもこういう場所でエンジンの載せ替え作業をしていいものか考え込む。また近所とは言え工具や外した部品を夜中に置きっぱなしにするのは不安だし、物置小屋でも作らないといけない雰囲気。

 Cプランは実家(50kmほど遠方)にエンジン・工具一式を持っていく作戦。

 

 そもそもエンジン購入時、エンジン載せ替えの実現性は50%以下と考えていた。それでも明るい未来を信じてエンジンのOHを進めていたのだが、妹の旦那のB君から「うちでエンジン載せ替えしない~? ぼくも手伝うよ」というまさに起死回生の提案が来たのだ。B君の家は70Km程の距離なのだが、作業場所(駐車場)は十分に広く、なにより信頼できる技術者のサポートがあるというのは決定的なアドバンテージである。それまでは一人での載せ替え作業を想定して作業手順を考え、必要な設備(ジャッキスタンドなど)を製作してきたのだが、考えれば考えるほど「本当に一人でできるだろうか?」という不安が膨れ上がっていた。

 そんな状況での「場所提供&手伝う」という提案。これは天から降りて来た蜘蛛の糸だ。これにすがるのはあまりにも当然な話であった。アイは来年の3月に車検なのだが、この蜘蛛の糸が降りてくるまでは”車検までに載せ替え作業は無理だな”という諦めムードが支配的であった。寒くなるしいろんな意味で自信が持てなかったから。でも助けがあればがんばれる。俄然勇気が湧いてきて、載せ替えの準備作業を猪突猛進に進めた。

 まずはエンジンをアイに載せなければならない。リアトランクまでの高さ75cm程で、部屋で一度エンジンをそこまで持ち上げられるかトライした。持ち上げレンジが長いので体勢の変化も大きく、腰がやばそうな姿勢は通過できそうにない。当初は全集中すれば大丈夫と考えていたが、ちょっと無理そう。

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下写真のように片側づつ上げていくのは大丈夫そうなので、台や椅子を使って高さを上げていけば大丈夫そう。でも突然妻から「椅子が汚れる!」とかの想定外のNGが発令されそう。それを回避するには椅子をダンボールできれいに覆って・・・、とか考えてたらめんどくさくなってきた。

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少し頭を冷やしてもう一度考える。そうだ!助手席に載せられるんじゃない?。どうせ荷物搭載のため助手席は取り外すんだし、助手席なら高さも低い。さっそく助手席を外してみたらシート下の床がぽっこり膨らんでいる。そうそう、アイはセンタータンクだったのだ。エンジンを置くためにはまずは台座造りから必要だ。

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2x4材でエンジンが置ける台座を製作。

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よし!これで出陣準備は整った。今一度全部品を確認。

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ベランダにも勢ぞろい。忘れものないかな~?

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まずは大将からの出陣だ。エンジンをお迎えした時と比べ、きれいに箱に入っているので移動はすごく楽だ。エレベーターで一階に降り、自転車用の道(スロープになっている)を通り、160m先の駐車場へGO !

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アイに横付けして、

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前方を持ち上げて台座を置き

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後端にも台座を置く。これで取手の位置が持ち上げるのにちょうどいい位置となり、余裕で持ち上げられる。

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20cmほど持ち上げて端っこを台に乗せると、あとは押し込んでいけばいい。思った以上に楽勝!

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こんな感じで台座に乗る。急ブレーキを踏んだ場合に備えて台の前側にストッパーをつけているが、もう少し大きい木片のほうが良かった感じ。次回(たぶん無いけど)はそうしよう。

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補器類などの荷物を一式積み込む。

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車内は思ったよりパンパンだ。

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左サイドミラーはエンジンが邪魔で完全に見えない。センターミラーも見えにくかったが、一番上の箱(サクションパイプ)をいろいろ動かしてミラー視界は確保した。

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左サイドミラーが見えないというのは思ったよりも気を遣う。左へのレーンチェンジ時は左すぐ後方がサイドミラーで確認できないし、直接見ようとしても荷物が邪魔で見にくい。背の低いカウンタックなどは見えないと思う。なので二車線ある道路では左レーンをずっと走った。万が一の事態を考えレッカー車手配の連絡先も確認している。

 

そしてB君宅へ到着。B君は今日は夜まで帰ってこないので、一人でできる作業を進める。作業場は少しスロープになっているので、前後どちら向きで作業するか悩む。アイはリア駆動でサイドブレーキを引いても前タイヤはフリーになる。安全性をいろいろ考え、前側が高い向きで作業をすることにした。リアを高く持ち上げた時に前上がりの地面の方が車体傾斜が少なくなるからね。

 まずはクーラント抜き。フロントをジャッキアップし、クーラントのドレンボルトを外す。

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ドレンは並んで2か所ある。エンジンが冷える前に作業したので、ドレンが外れた時にクーラントが噴き出して顔にかかった。悠長にエンジンが冷えるのを待っているほど余裕がないので仕方ないよね。※後日追記:コンデンサータンクのキャップを外しておけば良かった。

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このままではエンジン側のクーラントが抜けないので、リアをジャッキアップして残りのクーラントを出し切る。

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できれば、リアバンパーやマフラー、そして過給機回りまで外しておきたかったが、暗くなってきたのでここで初日の作業は終了。

 

 

 

6-2.アイのターボ化_40(IC2号機と最終兵器入手+プラグ組付)

■2020年11月

 エンジン載せ替えはまだなのか~!  と天使が耳元で叫んでいるのだが、なかなか物事はうまく進まない。寒くて動けなくなる季節を目前にしてあせる心をなだめ、とりあえず備忘録として記録していく。

 まずインタークーラーの話。某オクで入手したのはかなり前だが、これは導風カバーが付いてない。適当に作ろうと思っていたし、これからの寒い季節であればとりあえずなくても問題ないかな~っとあまり真面目に考えていなかった。

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姉の家からDELLのジャンクプリンターを回収してきて、シャフトなどのDIY材料になるものを外しケースをまじまじと見る。「これでインタークーラーのエアガイド作れるじゃねぇ?」っということで、とりあえず板状に切り出した。ちょっと強度的に不安だが、要所要所をアルミで補強してやればなんとかなりそう。とか思っていたんだけど、実際にはなかなか手付かずのまま止まってた。

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そんな感じで停滞していた頃、某クションでエアガイド付きのインタークーラーハンバーガー程の価格で出ていた。「とりあえず入札!」  ・・・したんだけど、なんとそのまま落札してしまった。送料が漱石さん二人とちょっとお高めだったので、お買い得かどうか微妙なところだけどエンジン載せ替えが目前の今の状況ではすべてを前向きに考えられる。

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インタークーラーの純正エアガイドってどうしてこんなに小さいのって思っていた。自作予定の段ボール試作品だと開口部は50%アップできる。

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あと、小石防護のため、金網も入手していた。ブックスタンドの処分品らしく100円で入手。ちょっと目が細かすぎて空気抵抗になりそうな気もする。とにかくまずはエンジンの載せ替えであり、その後余力が出来たらインタークーラーのエアガイド製作や、リアバンパーに放熱用の穴をあけたいと思ってる。

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オリジナルのエアガイドをまじまじと観察。

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ふむふむ。

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後端の穴は水や小石の逃がし用かな?

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このエアガイドは10年以上前の製造品だけど、そんなに古さは感じない。プラスチックの寿命的にはまだまだ大丈夫な感じ。

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2号機のインタークーラーコア部をまじまじと見ると、1号機のよりも腐食などが少ない。なので、2号機のインタークーラーを本番用に採用決定。フィンの曲がりや歪みをピンセットでちまちま修正していく。

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 次は工具の話。最終局面の直前に入手した秘密兵器。つぶれたナットやボルトを強制的に緩める工具。これは昔から欲しかったのだけど、絶対に必要となる状況になったことがないので、なんとなく購入できずにいた。

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でもNAエンジンのエキゾースト周辺のボルトを見たとき、これは絶対にすんなりと緩んでくれない!と思えた。また常日頃、非常に参考にさせて頂いている整備士さんである「MHO ENGINEERING」さん記事1記事2を見て購入を決意した次第である。

 この製品にはソケット部の高さが高い”ハイタイプ”と、低い”ロータイプ”がある。低い方が細かい所でも届くんじゃね!っくらいの軽い気持ちでロータイプを購入。でも届いた商品をよく見ると、ハイタイプは3/8”の四角穴があり、スピナーなど使えるが、ロータイプはメガネレンチやソケットを使うしかない。なんとなくハイタイプの方が使いやすそうな気がする。

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そしてエンジンまわりの最後の作業。燃焼室部に防錆対策のために入れていたオイル抜く。プラグホールから覗くとピストントップの凹み部にオイルが溜まっている。

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まずはピストンを上死点にし、スポイトでオイルを吸う。でもどうしても吸い残しがでる。

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なので、竹串にティッシュを巻き付け、オイルを吸い取る。

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点火プラグはエンジンについていたお古を使用。これはイリジウム-白金の高級品だ。汚れを落とせばまだまだ使えるよね。というか私的には点火プラグの寿命ってよく理解していない。カーボンなどが溜まって絶縁不慮になるのであれば、カーボンを落せばいいのだし、電極部が摩耗したのであれば研磨しなおせばいいのだから。最後は材質の経年劣化なのかな?  すくなくとも、下写真のプラグは私的にはまだまだ使える。

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購入当初の点火プラグの状態。結構汚れてる。

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 ガイシ部が変色しているのって悪くなっているのかもしれない。

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でも先端部は十分きれいだと思う。

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後はいかに交換用エンジンをアイに積むかだな。リアトランクに入れる予定だったけど、一人では危なそうだったので、助手席のシート外したところに載せる予定。

さあ、心を燃やせ。

 

 

6-2.アイのターボ化_39(換装への最終選別)

■2020年10月

 エンジン換装手順について検討を進める。いろいろ考えた中でもっとも効率が良さそうな方法を下図で示す。でも不確実性があり本案は予備案になったんだけどね。

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このエンジン載せ替えの手順を記述しておく。アイはリアのジャッキアップポイント(JUP)がリアサスアームの中央にあるので、このJUPを使って車体を上げ下げし、エンジンを降ろそうという作戦。まずリアサスを外して、リアサスをフルボトム状態としてJUPをジャッキで支える。そのまま車体を下げてエンジンをエンジンスタンドに降ろす。その状態で車体とエンジンを分離し、再び車体を持ち上げればエンジンが降ろせる。メリットは①リアサスアームを外さなくてもいい、②エンジンのリフト装置が不要。デメリットは③車体を相当高く持ち上げないと、リアサスアームが邪魔となりエンジンを車体の外に出せない。特に①のメリットは大きい。リアブレーキ周りを外さなくていいわけだからブレーキフルードの再充填などの処理も不要になる。一応この方法を念頭に必要な台座を製作した。

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右側の3つの台座を2x4材で製作。

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この3つの台座をジャッキの底上げに使う。

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まずはタイヤ台として使ってみる。ジャッキスタンドより3cm程車体は高く上がる。車体の下に潜るような作業ではジャッキスタンドよりタイヤ台を使う方が安心感が高い。今後も車体下に潜るような作業ではタイヤ台が活躍するだろう。

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次にジャッキスタンドで車体を支え、ジャッキの下にジャッキ台として使う(今回はリアサスを外しての確認はしてない)。

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この状態ではリアサスは全伸び状態で、フルブトムまで18cmほど。

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リアサスアームは地面から27cm程の高さ。

リアサスのバネを外してリアサスアームをジャッキアップしていくと、18cm持ち上げるとフルボトム状態となりバンプラバーがリアサスを支える形となる。この状態でリアサスアームは地面から27+18=45cmの高さになる。リアサスアームの下をエンジンが通るようにするには、リアサスアームは65cmくらいの高さが必要なので、あと20cmかさ上げが必要。ジャッキスタンドや、ジャッキ台の下に木材を敷いてかさ上げすればなんとかなるかもしれないが、車体が上がりすぎて左右に倒れてしまいそうな不安が出てくる。この手順はまったく不可能って訳ではないが、予備案として別の作戦(プランA)を考える必要がある。とりあえず製作した3つの台座も白塗装した。

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旋盤BOXにすっぽり収まる。いよいよ旋盤BOXが乗っ取られた感じ (^^;)。

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ジャッキアップ時に車体側にキズがつくのを防止するため、今までは適当な板を挟んで作業していたが、どうせならぴったりなものを製作しよう。旋盤でジャッキアップ部にピッタリな円盤状の板を切り出した。

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さらにサイドジャッキポイントを上げ下げするためのアダプターも製作。

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エンジン換装手順のA案を検討。というか普通にまず出てくる方法である。

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車体をジャッキアップしてリアサスアームを外し、エンジンをリフターで保持した状態で、車体とエンジンを分離する。そしてエンジンリフターを下げてエンジンを降ろす。

この方法だと面倒なのが、リアサスアーム(下写真)の取り外し。リアブレーキライン、サイドブレーキ、車速センサーも外さなければならない。

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 製作したアダプターを使ってリアサイドのジャッキアップテストを実施。リアサイドジャッキポイントを上げたら、フロントも一緒に上がった。さすがミッドシップ。重心がかなり後ろ寄りなんだと実感する。

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次にリアをジャッキアップし、車体上げ台(タイヤ台)をタイヤの下に入れる。ジャッキスタンドだと車体下に潜るのは不安感があったが、タイヤ台を入れる方法だとかなり安心感がある。この時に初めて車体下に潜り車体下の様子をまじまじと観察した。

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車体下に潜りこむ時の見え方。安心感あるよね。

※ただしその安心感とはあくまでも静的な状態での話であることは肝に銘じておく。というのも1994年の地震の記憶が今でも頭から離れない。その時は社宅(5階建ての鉄筋コンクリートの1階)で寝ていたのだが、震度6の縦揺れは強烈だった。直感的に建物が崩れると思った。自動車の下に潜っている時に地鳴りが聞こえたら間髪入れずに這い出すことは常に意識しておく。

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車体下に潜りこんで、エンジン台座を置いてみる。このままだとドライブシャフトやリアサスアームが邪魔でエンジン台座とエンジンは密着できないけど、部品を外してエンジン台座をリフトアップすれば、ちゃんとエンジンを支えられそうだ。

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エンジン台座をジャッキでリフトアップできるように木枠を追加。

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エンジン台座をリフトアップ後に台座を支えるための木材も用意。

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エンジンを降ろしてからの移動をスムーズにするための作業板も用意。

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これで必要なモノはほぼ揃った。さあ出陣間近。

エンジン本体。

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エンジン換装時の交換部品

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エアフェールモジュール、過給機周辺の機器

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ダイナモ、ウォーターパイプ、テンショナー、インタークーラー

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サクションパイプとマフラー

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さあ、全隊員  揃い踏み!

いよいよ最終局面まで秒読み段階。よーし!  腹が減るぜ~!  ”腕が鳴る”だろ~~ (  ;´Д`)

 

後は分解方法等の確認。ドライブシャフトの外し方、ドライブプレートとトルコンの外し方、シフトワイヤーの外し方など。エアコンコンプレッサーはどうすればいいのかな?

とにかくちゃんとした作業手順書を作らないとな~。

 

 

6-2.アイのターボ化_38(オイルキャッチタンクの軽量化)

■2020年10月

 某クションで入手したサクションパイプやインタークーラーは内側がオイルでべっとり汚れている。これはブリーザーパイプからオイルが吸気側に回っているからだろう。下の写真はよそ様のアイのターボエンジン写真なのだが、すごく短いブリーザーホースでシリンダーヘッドとインテークが繋がっている。ここにはぜひオイルキャッチタンクを設置しなければと前々から考えていた。

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オイルキャッチタンクなんて簡単な容器で作ればいいわと思い、使えそうな容器を家や100均で物色していたのだが、半年経過しても見つからない。だんだんとめんどくさくなってきて結局下記の製品を購入した。

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アイのブリーザーホースはΦ12mmで(13かも)、こいつにはちょうど12mmのアダプタがついている。価格も手ごろ、大きさも手ごろなのでこれをチョイスしたのだが、ひとつ大きな欠点がある。それは重さ。口コミでもこの点についての指摘は多く、私的にもただのタンクにそんな重さがあるのは許せない。なにより取り付けステーが耐えられるのかという疑念があるので、購入までにものすごく長考した。しかし長考にも疲れたので、力づくで解決しようと思い購入した次第である。

 まずは届いた製品の重さを確認。手に持つとずしりと手応えがあり重さは500g超え。この製品を単体で見るとヘビーディーティーで分解もしやすくかっこいい形なのだが、これを車載するのはどうしても抵抗がある。

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なので削れるところをどんどん削って軽量化する。まずはカップ部を旋盤で掴んで、内側を芯出しを兼ねてぐるりと切削。

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そして外周を切削。カップは5mmの厚さがあるのだが、これを2mmまで切削する。もっと切削できそうだがあまり無理はやめておく。

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そしてカップを掴み直して底部も切削。これでカップ部は半分以下に軽量化できた。

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次は上部パーツ。まずは上面を2mm切削。ディップスティックのネジ部を残す必要があるのであまり薄くはできない。

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内側の不要な部分をドリルで肉抜き。

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エンドミルで形状を整えるのだが、ボール盤+エンドミルはちょっと怖い。フライス盤を持っていれば相当攻めれるんだけどねぇ。

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外側の関係ないところもどんどん削っていく。

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だいぶ頑張ったが、形状が複雑なので半分までは軽量化できなかった。

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ひたすら削った切りくず。

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オイルキャッチタンクはコンデンサータンクの固定ボルト部にステーを作って取り付ける。

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細かい仕上げ。バッフルのバリを面取する。

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本体は黄色に塗装。車体は青で、エンジンは黒、カムカバーは赤とセンスは一切感じられない配色だが、どうせ見えない場所だし目立った色であれば作業性も上がると思う。今回初めてアクリル塗料を使った。一番安かったから。アクリル塗料って塗った後はしばらくビニールでラッピングしたみたいなゴム的な感じなんだな。数日経過して十分硬化すればラッカー系とあまり違いは感じないけどね。あとアルマイト処理が残っている淵部分などはちゃんと塗れていない感じで剥がれてきそう。

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数日してほぼ乾燥したので組み立てていく。ホース接続口は一応ロックタイトを塗布しておく。

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バッフルはちゃんと2重でケース状になっているんだな。この価格を考えれば十分すばらしい製品だと思う。

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空気の流れはこんな感じ。エンジン側から吸い込むオイル飛沫をバッフルでキャッチしてオイルタンクに貯めていく。バッフルの中に金属たわしを入れておけば、オイル飛沫のインテーク側への吸い出しはより抑制されそう。

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ディップスティックには手持ちのOリングを装着。

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完成。ディップスティックは赤のままだけど、誰も気にしないし誰も見ない。固定ステーは適当なL金具で作ったけど、強度的にちょっと弱い?。重さと振動で曲がってこないか定期的にチェックしよう。

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最終的な重さは312g。当初の500gからは40%の軽量化。本気出せば200gくらいまで削れそうだけど・・・(^^;)。

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加工前後の比較。記載している重さはいずれもホース接続部やステーを含んだもの。

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これでオイルキャッチタンクの軽量化は終了だぁ~~~! ・・・なんだけど、なぜか心は晴れない気持ち。こんな作業はエンジン換装後にゆっくりすればいいだろう、そんな事より早くエンジン換装を進めろ! と耳元で急かすもう一人の俺がいるのだ。でもね・・・、エンジン換装手順を考えてもすぐに壁に突き当たるんだよね。どうやってエンジンを降ろして、載せるのか。設備のない環境ではなかなかいい方法が出てこない。